9撃目 由奈の本質
受け付けを済ませた俺達は、控え室へ招かれた
そこには、数人の先客がいた
その内の何人かは外国人で、明らかに殺気立っていた
俺は気にせず椅子に座り、由奈と他愛もない話しをしていた。すると、一人の黒人が話しかけてきた
「ココハ、ガキのクルところジャないヨ!カエッテママのミルクでもノんでなヨ」(注:以下全てカタゴト口調
笑いながら、バカにしてた、俺はカチンと来たので、立ち上がろうとしたが、由奈が俺の袖を引っ張って止めて来た
「ダメ!試合出来なくなっちゃう」
「だけど・・・」
「今は我慢して!」
「フッ、ナニ?オジケづいちゃった?コレだからジャパニーズは・・・」
「クッ・・・」
俺は再び、立ち上がった
「ダメ!」
由奈が俺の腰をしっかり掴み、止めた
「由奈!腹が立たないのかよ!」
「立ってるよ!でも、今ここでやる必要、ないでしょ!」
「ナニ、キミたち、ツギのタイセン相手?ラクショーダナーこりゃー」
「今の内に笑っとけ・・・それを悲鳴に変えてやるから」
今言ったのは、俺ではない。そう、由奈だ!
余りの迫力に、黒人は黙ってしまった。
「なーんてね!エヘヘ」
さっきの表情が嘘のように、舌を出して笑っていた
「フン!ワタシがジャパニーズガールにマケルなんてアリエナーイデース!」
「それはどうかなー」
ニコニコしながら由奈が答えた
「ソレに、ワタシには、パートナーがいマース」
そう言うと、背が2メートルはあるだろう、ゴツイ黒人の大男が出てきた
「・・・ヨロシク」
だが、そいつは俺に握手を求めて来た
「ああ、よろしく」
俺はその大男と握手をした。すると、大男がニヤっと笑い、急に手を物凄い力で握り潰してきた
「ぐあー」
「ハハ、コイツの握力は100キロもありマース!ツブサれなサーイ」
俺は悲鳴をあげ続けた
「ぎゃー、・・・・・・なんちゃって!」
グシャ!
「ギャー!」
この悲鳴は俺ではなく、大男のものだ。
「ナッ!オマエ、ナニをしたデスカ?」
「はっ?ただの握手だろ?それに、俺の握力は260キロだ!お前も握手するか?」
「ヒー!!」
黒人は部屋の隅に逃げて行った
「やれやれ」
俺は呆れながら、また椅子に腰掛けた
「やるね、シー君!」
「いや、たいした事ない。そろより、由奈はこんな試合に出て、大丈夫なのか?」
「フフッ。それだったら心配ないよー」
由奈が不敵な笑みをあげていると、部屋の扉が開いて、スタッフらしき人が入ってきた
「お待たせしました、試合の準備ができましたので、会場に移動して下さい。
俺達と、さっきの黒人のペアが呼ばれ、途中で入口が異なるため、別れた
「多分、さっきので二人はシー君を警戒しているから、まずは僕を攻撃してくると思う。だけど、シー君は何もしなくていいよ。あれくらいなら僕が倒すから!」
なにか、由奈には自信がある用に思えたので、信じることにした
入場の合図のコールが鳴り、俺達は煙りとともに入場した
「さあ!今日はなんと、新旧チャンピオンがタッグを組んでやってまいりました!現チャンピオン、アビリーズ所属、覇人こと【サイコ・キラー】と、元チャンピオン、元バリシャン所属、無敵少女こと【YUNA】の夢の共演です!」
!!!!
「お前、チャンピオンだったのか!?」
俺は驚き、由奈に聞くと、あっさりと
「そうだよ、でも引退したけど」
「じゃあなんで、またやろうと?」
「シー君を見つけたから!シー君を鍛えて、僕より強くなって、そして戦いたいから!」
「待て!俺はお前より弱いのか?」
「うん」
キッパリと言われた
ショックです
「じゃあ、証明して見せてよ!」
俺は弱いと言われて、少し腹が立っていた
「今、から見せてあげる」
由奈がニコニコ無邪気な笑顔をしているため、カワイイと思ってしまい、いらいらがどっかに行ってしまった
そして、先に入場していたさっきの黒人達と対峙した。黒人達はさっきの司会者の話しを聞いたせいで青ざめていた
「マジかよ、ヤベーヨ」
「ドウスル?キケンするか?」
「イヤ、あのオンナがツヨイとはオモエないネ、オンナをツブスよ」
「OK!」
なんだか、話しが終わったみたいだ
「では、只今からチーム【ブラスターズ】(相手チームだろう)VS【にゃんにゃん猫ちゃんず】の試合を始めます」
ズルッ(俺と黒人達がこける音)
「待て待て、由奈!なんだよこの名前は!しかも、【ズ】って俺も入ってるのかよ!」
「えー、いいじゃん猫カワイイし」
「いや、意味わからんから」
「ダメなの?」
なんか、上目使いで瞳を潤ませて、声を震わせて言ってきた。
かわいい。
「いや・・・もう決まっちゃってるんだから、仕方がない。これで行こう」
思わず、俺は由奈の反則攻撃にぶちのめされてしまった
「やったー、ありがとうシー君!」
また、明るい笑顔で笑っていた
「あの・・・試合を始めたいんですけど・・・」
レフリーが困っていた
「始めればいいだろ!」
俺が身も蓋も無いことを言った
「すいません。では、レディ、ファイッ!」
黒人の二人は、由奈の予想通りに、由奈目がけて襲いかかっていた
由奈は二人同時に顔目掛けて殴りかかられているにもかかわらず、動かない!
しかし、顔面スレスレで足を差し替え、体捌きだけでかわす。そして相手の左側に半時計回りに回転しながら、脇腹に肘を捩込んだ
「肘抜き勁突破!」
肘を捩込んだのは、背の低い方の奴で、由奈は捩込んだ後、さらに体の捩りを加えて寸勁を加えた。すると、その低い黒人は、大男の黒人を巻き込んで吹っ飛んだ
「なっ!」
呆気にとられた俺は、しばらく口が開いていた
「だから、任せろって言ったんだよ」
由奈が自慢気に言ってきた
「なるほど」
俺は納得をした
黒人ペアは大男はかろうじて起き上がるが、片方は口からよだれを垂れながして失神していた
俺は起き上がり際の大男な近付き、溝を拳で突き上げ、一撃で沈めた
「なあ、由奈」
「何?」
「俺はお前が強いことは認めるが、俺より上とは認めないぞ!」
俺はかなりの負けず嫌いである。
だから
俺は
全ての重りを外した・・・
すいません、忙しくて更新が遅れました。次回は日曜更新になると思います。