15撃目 助けたJKに連れられて
昼休み、俺、新治、祐樹、由奈が集まり、新治と祐樹が部活に入ってくれるように頼んだ。
「俺はサッカーやってるから無理だぞ」
新治は部活に既に入っているのだが、そんな事は関係ない
「掛け持ちしろとは言わないからせめて名前でも貸してくれ」
「・・・まぁ、名前くらいなら」
「サンキュー!祐樹も入ってくれるか?」
「もちろんです!砕児さんのためならこんな事やるに決まってます!」
「よし、まずは4人だな・・・」
「同好会として認められるのは5人だろ。あと二人なんだけど由奈のツレとかでいないのか?」
「一応聞いてみたんだけど、みんな部活が忙しいって断られちゃった・・」
「まぁ、あと一人くらいなんとかなるだろ!」
由奈も頷き、放課後に勧誘するための作戦を考えた。とりあえず、俺と由奈で校門で勧誘をすることになった。祐樹は塾があるらしく、帰るらしい
俺達は午後の授業が終わると即効で帰り支度を済ませ、校門に向かった。
しばらくすると、部活に所属していない生徒がちらほらと校舎から出て来た
「シー君!あの人なんかどうかな?」
由奈が指を指した方を見ると、そこには眼鏡を掛け、いかにもオタクっぽい細身で背の低い男がいた
(・・・まあ、やってみるか・・・)
俺は余りそいつを誘うのは乗り気ではなかったが、この際、人は選んでいられないので、そいつに近付いた
「なあ、俺達の部活に入らねーか?」
俺がそう言いながら近付くと、そいつは俺の姿を見るなり逃げてしまった
「・・・シー君、その格好で誘ったら普通はビビるよ」
俺は由奈に言われ、自分の姿を見た。片手をポケットに突っ込み、人差し指で相手を指し、獲物を狩り猛獣の眼をして192cmの男が殺気を出して近付いてくるのだ。誰だって逃げるだろう
「どこが?」
だが、俺にはそんな自覚はなく、気付いていなかった
「もう、仕方ないなー、今度は僕がやるよ」
そう言うと、今度はいかにも普通そうな短髪の生徒に近付いて行った。
「ねえ、君、僕達の部活に入らない?」
「いきなりなに?新手のナンパ?」
「いや、そんなをじゃないです。ただの部活の勧誘です」
「いやー、モテる男は辛いねー」
(聞けよ人の話し!)
「君、かわいいし付き合って上げてもいいよ?」
「もういいです・・・」
由奈はそいつのナルシストぶりに呆れて、流すことにした
「ちょっと待ってよ」
ガシッ
そのナルシー野郎は由奈の肩を掴んで抱き寄せた
「やめて下さい!」
由奈は抱き寄せられたが、全く抵抗せず、低い声で言う
「そんな固いこと言わないで俺といいことしようよ」
ブチッ!
ついに由奈がキレた
「調子に乗るな!」
由奈は裏拳でナル野郎の鼻っぱしを殴り、前のめりになった男の後ろに回りこむ、そして思いきり振りかぶるって股下を蹴り上げた
「んなーぁぁぁぁ!」
野郎は口からヨダレを垂らし、なぜか顔がにやけながら気絶していた
「ふんっ!自分の顔を鏡で見てから来い!」
そう言って俺のところへ戻ってきた
俺は正直引いた・・・
「あのな、由奈。おまえ俺に言った事矛盾してないか?」
「へ?なにが?」
「あれはどう見てもやり過ぎだろ・・・、俺がやり過ぎたら注意するくせに」
「えっ!べつにやり過ぎじゃないよ!それに、潰れたってまた生えてくるっしょ!」
「生えねーよ!ていうか潰すなよ!男じゃなくなるだろ!」
「えっ!潰すと女になっちゃうな!知らなかった・・・、じゃあ僕も以前は男だったのか・・・」
由奈は自分の両手を見ながらオロオロしている
「おまえ、それマジで言ってる?」
「いや、んなわけないでしょ」
「よかった・・・、ほんとの馬鹿だと思っちゃったよ・・」
「あっ!でも潰したら生えてくるのはホントだよ!」
ごめん、訂正する。こいつは本物の馬鹿だ!
「そうか・・・」
「なんでそんなかわいそうなものを見る眼で僕を見てるの?」
そうこうしている内にほとんどの人が帰ってしまっていた
結局誰も捕まらなかったので、俺達は帰ることにした。由奈は部活帰りの友達と帰るらしく、その場で別れ、俺は帰宅することにした。今日は闘技場は休みで、夏美のお見舞いもそう何日も連続で行くと、うざがられそうなのでやめ、真っ直ぐ家に帰る事にした
「やめて!放して下さい!」
いつもの通学道を歩いていると、女の子の声がし、ふと路地を覗くとよくは見えないが、女子高生であろう者が耳や唇にピアスした男に壁に両腕を押さえつけられていた
「いいじゃん、俺といいことしようよ」
「放して下さい!警察に通報しますよ!」
「やってみろよ!俺はサツなんか恐かないんだよ!今ここで犯ってやってやるよ!」
「いやーっ!だれか助けて!」
女子高生は男にどこから取り出したのか、刃渡り10センチ程のナイフでブレザーを強引に裂かれ、ワイシャツを手で無理矢理引っ張った。
ワイシャツのボタンが弾き飛び、白いブラジャーと谷間が少し見える
「めちゃくちゃにしてやる」
「やっ、やめて!」
女子高生はもう泣きそうになっていた
男はその娘の胸を触ろうとしたてき、
俺はその手を制す
「なんだおまえは?」
ピアス男は俺にガンたれる
俺いますぐでもこいつを殴りたいのだが、その衝動を抑える
由奈が言う正義が俺を抑えていた
(まあ、改心の余地は与えか・・・)
俺は掴んだ男の腕に力を入れる
「がっ!おっ折れる・・・」
男は痛みに耐え切れず、崩れ落ちる
「謝って、この場を去るなら見逃してやる!」
「すっ、すいません。見逃して下さい・・・」
俺はそれを聞いて男の腕を放す
「はっ、馬鹿が!」
(くせっ!)
男が口を開けて叫んだ瞬間、とてもきつい臭いがした
(こいつ、シンナーやってやがる・・・)
俺の学校でも、年に数人はシンナーで退学になっている。しかし、今はそんなことはどうでもいい!俺が放した後、男はポケットから制服を裂いたナイフを取り出し逆手で振りかざしてきた
「邪魔するやつが悪いんだよー!」
もうラリって自我が崩壊していた
俺は振りかざしてきたナイフを片手で受け止め、顎に右で一発、そのあと腕を畳みエルボー、体制が崩れ、地面に向かって倒れるまえに顔面を蹴り上げる、男は血を豪快に噴きながら仰向けに倒れ、気絶した
「・・大丈夫?」
俺は襲われていた女子高生に近付き、恐怖のせいか、尻餅を着いていたので右手を差し延べ、立たせてあげた
「あっ、ありがとうございます。あなた、獄錬高校の人ですね」
彼女は裂かれた制服の胸元を片手で覆いながら俺の手を握り、そうつぶやく。俺の手を掴んだ彼女の細い指先が微かに震えていた。よほど怖かったのだろう
そして、彼女の制服をよく見ると、裂かれて気付かなかっが彼女も獄錬の制服だった。
「そんな格好じゃ出歩けねーな・・・」
彼女は胸元をさらに両手で隠して俺の発言が恥ずかしめたのか赤面した
「ほら、これでも羽織っとけ」
俺は学ランを脱ぎ、彼女にぶっきらぼうに投げ渡す。というよりかは、目のやり場に困るので直視できないのだ
「えっ、そ、その・・・ありがとうございます」
彼女は受け取った俺の学ランで胸元を覆いながら、後ろを向き、学ランを着だした。いくら前が見えないとは言え、エチケットとして俺も見ないように背中合わせした感じでいくつか質問をした
「こいつ、ないとは思うけど知り合い?」
「いえ、下校してたらいきなりここに強引に連れ込まれて」
たしかに、ここは袋小路で人通りもかなり少ない。いろいろこの男にとっては好都合だろう
「じゃあ、こいつ強姦の容疑で訴えるか?」
俺は携帯を取り出し、警察に通報しようとすると、ボタンを全部とめた彼女が俺の携帯を取り上げた
「未遂なんでいいです」
「でも、あんたに害を及ぼしたのは事実だ。制服だってめちゃくちゃにされたし」
「・・・でも、刑務所に入るのはかわいそうじゃないですか・・・」
「いや、罰金とか損害賠償とかもあるから刑務所に入るって決まってるわけじゃない・・・」
「でも、前科がつくじゃないですか」
「まあ、そうだけど」
「なら、やめときます」
「あんた・・変わってるな」
「よく言われます」
何故か彼女は笑っていた
「まあ、制服代くらい抜いとくか・・・」
俺はピアス男のポケットから財布を取り出した、中には五千円ほど入っていた
「なっなにしてるんですか!?」
「えっ?あんたの制服の埋め合わせ」
「そんなの泥棒ですよ!だめです!」
彼女は俺の右手にあった札をぶんどり、左手に持っていた財布を引ったくる
「痛っ!」
「あっ、ごめんなさい・・・、って、手から血が出てるじゃないですか!」
俺はナイフを受け止めたときに切れたらしく、小指の付け根あたりから血が滴っていた
「まあ、たいしたことない。俺、血の気多いしこれくらいがちょうどいいさ」
「だめです!手当てしないと!」
彼女は血を見るなりオロオロしだした
「早くしないと死んじゃう!」
「いや、落ち着け。これくらいで人は死なないから」
俺はケガのしていない右手で彼女の肩を叩き、気を落ち着かせる
「そ、そうですね!これくらいで取り乱してすいません」
そう言って彼女は俺のケガしている右手をぽんぽんと軽く叩いた
「ぐぉおおっ!」
俺は余りの痛さに膝をつく
「あっ、ごめんなさい!」
彼女はまたオロオロし始めた
「いや、大丈夫だ」
俺はやせ我慢で平気風を装う。内心、めっちゃ痛いし、血がなかなか止まらない
「とりあえず、私の家、少し行ったところにあるので手当てしますから寄っていって下さい」
「いや、そこまでしなくても・・・」
「助けていただいたのですから、せめてこれくらいさせて下さい。とりあえずこれで止血を」
彼女はそう言って、スカートのポケットからハンカチを取り出し、俺に手渡した
「サンキュッ!」
俺もハンカチは持っているのだが、学ランにしまっているため取り出せずにいた
俺は彼女からハンカチを受け取り、左手を縛ろうとすると片手だけでは上手く縛れず、もたもたしていた。それを見兼ねた彼女は細い指で俺の左手を縛ってくれた
「まずはこれでよし」
「悪いな」
「いえ、魂胆は私のせいですし、御礼を言うのは私です。すいません怪我を負わせてしまい」
「俺が勝手にやった事だ、気にするな」
「そう言っていただけると、救われます。ではそろそろ私の家に向かいましょうか」
「ほんとにいいのか?」
「ええ、もちろん」
彼女はまた微笑んだ
歩き始めてから少し断つと彼女が何かを思いだしたらしく、突然口を開いた
「そういえば、お名前を聞いていませんでしたね。私の名前は夕凪 白愛 (ゆうなぎ はくあ)です。高等部2年C組です。あなたは?」
「俺か?椎名 砕児。高等部2年D組。夕凪さんと同級生だな」
「!!!」
「どうした?」
夕凪の顔が突然青ざめた
「あなたがあの、さ、サイコさん?」
「その呼び方はやめてくれないか?まあ、そうなんだけど」
「人を平気で殺したり、埋めたり、犯したりと極悪で有名な?」
「いや、そこまでしねーよ!しかもそれ極悪どころじゃねーよ!かるくトリップしていっちゃってる人だろ」
「す、すいません。噂を聞いただけです。殺さないで下さい!」
「だから殺さねーって・・」
「そうですよね・・・、こんなに優しい人がそんな事するわけありませんよね」
夕凪は俺の学ランの胸元あたりをきゅっと握ってそこを見つめていた
「優しいかはしらないが、俺は正義を目指すことにしているんだ。何か困った事があればなんでも相談に乗るぞ」
「ありがとうございます。そういえば、んーーと」
彼女は困った顔をしている
「なんでもいい、椎名だろうが砕児で呼び捨てだろうがあだ名でシーと言うやつもいる」
「じゃあ、サイコさんは?」
「却下だ!何故、俺が今避けたあだ名をわざわざ選ぶ!」
なんでもいいとはいったが、これは悪口の一つとして俺は思っている
「冗談ですよ、椎名さん。ところで椎名さんは何か部活をしているんですか?」
「今は入っていると言うか、作ってる最中かな」
「名前はなんて言うんですか?」
「いや、まだ決まっていない」
「じゃあ何をする部活を作ってるんですか?」
「うーん、一言で言うと正義の集団?」
「???」
彼女は俺の言った意味が当然だが理解できておらず、小首を傾げている
「まあ、なんだ・・・不良達を更正させて、学校を整えていく部活かな?」
「はは。それ部活じゃないじゃないですか」
夕凪は両手でお腹を押さえて笑っている
「俺もよくわからない。詳しく知りたいのなら、俺のクラスにいる小柄で由奈って言う女の子がいるから聞いて見るといい」
「ええっ!女の子もやってるんですか!?」
「まあね」
「なんで、部活として成り立たないのですか?」
「部活依然に同好会として必要な人数が5人なんだけど、まだ4人しか集まっていなくて・・・」
「えっ、じゃ、じゃあ私が入りましょうか?」
「まじで!?」
「あの、ダメですか?ダメならダメでいいんですけど」
「いや、全然ダメじゃない!むしろ超歓迎!でもなんで?」
「椎名さんが困っているので、助けていただいた御礼ということもありますが、1番は私、曲がった事が嫌いなんです。だから、正義感も強いですし、正直今の学校は荒れすぎです。だから入りたいと思いました。」
「なるほど。じゃあ、5人目決定だな!明日、集まるかもしれないから携帯のアドレス教えて?」
「ええ、よろしくお願いします」
俺は携帯を取り出し、赤外線でアドレスを交換した
「あっ、着きました。ここが私の家です」
俺は彼女の家を見て驚いた。彼女の家は豪邸だったのだ。富豪のようなバカでかい家ではないが、一般の家よりもかなり立派で庭も広い。ガーデンまである
「お父さん、社長かなにかなの?」
「いいえ、政治家です」
!!!
まじかよ・・・
「すげーな・・・」
「そう?普通じゃない?椎名くんのお父さんはなにをしてらっしゃる?」
俺はピクリと肩が動く、俺の親父、つまり龍矢という人外の生物である。
正直に答えても俺は構わないのだが、家族の事をあまり話すと親父の殺人術の嵐が来るので口が裂けても言えない
「っじ、自衛隊みたいな仕事」
「みたいな?なにかの兵隊ってことですか?」
「さ、さあ。俺もよく知らないんだ」
もちろん知っている。ばりばりのアメリカ特殊部隊、しかも階級は小将でかなり偉い
「そうなんだ、私もよく知らないから似たようものですね」
いつのまにか俺達は玄関前まできていた
「待ってください、今開けますから」
ピピッ
(すげー、指紋センサーかよ)
「さあ、入って下さい」
俺は少し緊張しながら彼女の邸宅に入った
「私の部屋に行きましょう、2階です」
俺は高そうな絵画や骨董品を眺めながら、階段を上がった
「ここです。少し散らかってますが、お入り下さい。私は救急箱を取ってきます」
彼女はそう言って1階に急いで降りていった。
俺は彼女の部屋を開けることに少し躊躇していた。なんせ、高校に入ってからは1度も女の子の部屋に入ったことなどなかった。だから抵抗が激しいのだ
俺がしばらく部屋の前でうろうろしていると、救急箱を持ってきた夕凪が戻ってきた
「どうしたの?」
「いや、なんか入りずらくて・・・」
「そんなに散らかってたました?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて。その、俺なんかが入っていいのかな?って・・・」
「そんな事、気にせずどうぞ、私は椎名さんでしたら全然構いませんし、それに男性の方を部屋に入れるのは初めてです」
夕凪はまた顔を赤面させた
俺まで照れて赤くなってしまう
「じゃあ、入ります」
俺は部屋の扉をガチャリと捻り、開いた
すると、部屋の中はすごかった。まずすごいのはぬいぐるみの数。ざっと50はいる
「すごいな・・・」
「ぬいぐるみですか?そうなんですよ、今だに買っちゃうんですよね・・・」
「いや、いいと思う。女の子らしいし」
俺は部屋の中に入ろうとした
しかし、入口の高さが低く、思いきり頭をぶつけてさまった
俺はぐらつく倒れせうになった
「危ない!」
夕凪が救急箱を放し、俺にを抱きしめるように掴む。しかし、夕凪が放した救急箱に俺の足がひっかかり、そのまま仰向けに倒れてしまった
「痛ててて」
俺はとっさに頭を上げ、頭部のダメージは避けたものの、夕凪を庇って抱き寄せ倒れたため、背中を強打した。しかも重りの金属が当たり、威力倍増だ
「す、すいません。大丈夫でしか?」
「俺は大丈夫だけど、夕凪さんは?」
「平気です。あと、その・・・白愛でいいです」
彼女は起きあがり、斜め下を向きながら呟いた
そうして、部屋に入るという簡単な動作にてこずった俺は、ようやく部屋に入った
「ひろいなー」
そう、2つ目に驚いたのは広さ
ざっと16畳くらいありそう、ピアノまであった
「どうぞ」
彼女は勉強用であろう椅子を俺のために持ってきた。俺はその椅子に座り、彼女は救急箱から消毒液た脱脂綿、ピンセットを取り出し、脱脂綿に消毒液を染み込ませ俺の傷口に当てる
その後、薬を塗られ、透明にシートを貼り傷口をカバーして、包帯で巻かれた
「ありがとう、ずいぶん手際いいんだな」
「いいえ、ただ看護士になりたくて勉強してるだけづすから」
「看護士か、なれるといいな」
「ええ」
彼女はまたにっこりと笑った
「そういえば、白愛さんは俺達の部活に入るって言ってたけど、他の部活はしていないの?」
「私は習い事が多くて、部活をしている余裕がなかったんです・・・、でも大会てかがないこの部活ならやれそうですね」
「そうか。習い事って何をやってるの?」
「水泳に書道、英会話、バレエ、ピアノですね」
「多才だな・・・」
「椎名さんは前までなにか部活をしていたんですか?」
「野球をちょっとやってました」
「そうなんですか、だから運動神経がいいんですね」
俺は何故辞めたのか聞かれると思ったが、彼女は敢えてそこには触れなかった。おせらくこの場合で由奈だったら確実に聞いてくるだろう
「いや、それはトレーニングしてるからだ」
「トレーニング?」
「毎朝走ったり、体に負荷をかけたりしている」
「アスリートですね」
そんな他愛もない話しをして時間が過ぎていく
「夕凪さん、着替えた方がいいんじゃないですか?」
今まで触れなかったが、彼女は俺の学ランをずっと着たままだった。本音言うと、下はスカートで上は大きめの学ランで袖が余っている。かなり違和感があり、やばそうなにおいがする。
マニアが好きそうだ
「そうですね」
彼女は自分の格好に気付いていなかったらしい
「じゃあ、俺、一旦出るから、着替え終わったら呼んで」
俺ひ気を利かして出ていこうとした
「待って下さい。べつに構いませんよ」
「へ?」
「ですから出ていかなくてもよろしいです。椎名さんは信用できますし、もし見られても椎名さんなら構いません」
彼女は自分で言ったことが、考えようによっては告白に聞こえることに気付き、口を両手で覆う。もちろん告白のつもりで言ったつもりはないはずだ
「すいません、変な事を言ってしまって」
彼女は急に恥ずかしくなったのか、再び赤面する
「いえ、信用してもらいありがたい、裏切らないので安心して下さい」
俺はその場にとどまり、彼女に背を向けた
すると、後ろからパサッと衣服を脱ぐ音が聞こえた。俺は紳士を貫くためにものすごい葛藤をした。正直言うと俺も男なので見たくないわけがない。そう思って前を見ると
!!!
なんと、鏡があった。一瞬、夕凪の背中が見え、ブラの白いラインまではっきりと見てしまった
「わっ、悪い、やっぱ出るわ」
俺は自我が崩壊する前に、退却することにした
ガシッ
しかし、後ろから夕凪に掴まえられた
「どうされました」
「いや、その、やっぱ出てかないと理性が持たないから」
「いいんですよ、助けていただいた御礼です」
「えっ?」
俺は予想外の返答に思わず振り向いてしまった
そこには、上下お揃いの白い下着姿ね夕凪がいた
「その、少しくらいなら触ってもいいんですよ」
そう言うと彼女は手を自分ね背中廻して、ブラのホックを外した
ブラを肩から外した夕凪の胸はとても綺麗だった。乳首も薄いピンクだった
俺はもう我慢の限界である
俺は夕凪の肩に両手をポンと乗せる。左手はめっちゃ痛いけっ我慢。だが、その痛みで我に返る
「あの、初めてなので優しくお願いします・・・」
そして彼女は目をつぶりキス待ちの顔をした
しかし、俺は彼女の体を肩ん回して反転させる
彼女の背中越しに言う
「俺はこんな見返りが欲しく助けたんじゃない。ただ困ってた白愛さんを助けたいと純粋に思っただけだ。だから、お互いに好きでもないのに抱けない」
「そうですか、ふふ、私も同じです。椎名さんならそう言ってくれると信じていましたよ」
「はは、演技か。これはやられたな」
俺は頭をかく
そして、とりあえず部屋をでる事にした
しばらくすると、入っていいとの合図があったので入ると、夕凪はカジュアルな服に着替えており、さっきの事はなにもなかったような感じだ
俺は彼女から学ランを返してもらい、着直す、ついでにさっきの事を聞いてみた
「もし、俺があの時、性欲に負けて白愛さんに迫ったらどうしたの?」
「それは・・・ヒミツです」
彼女は口の前に人差し指を立てて言った
「ヒミツか・・・、怪しいな」
「それに、男子の前で下着姿すら見せた事ないのに、胸まで見せてしまいました。あそこで椎名さんが止めなかったら・・・」
彼女は顔がトマトみたいに真っ赤になった
それなら最初からするなと言いたいところだが、いいものが見れたので文句は言えない、止めなけれはよかったと思ってしまう程だ。しかしあそこで欲望に刈られたら、俺のプライドが許さない。しかもそこには愛がない
俺は、夕凪の胸を思い出してしまい、俺まてトマトみたいになってしまう
今は一刻も早くこの場を去るべく、夕凪に帰ると告げる。夕凪は少し残念そうな顔をしたが、また明日学校で会おうと言うと笑ってくれた。俺は夕凪の一件で体勢が前かがみになっていたのを、夕凪は不思議そうに見ていた
そして、そのまま夕凪に見送られて俺は帰路に着いた
今日はまた一歩成長した1日であった
一方、夕凪は
「どうしましょう、椎名さんの事、好きになったかもしれません」
初めてラブコめ的展開にしたら、長くなってしまいました。これからどうなるんでしょう!