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12撃目 二人でお見舞い

「というか、俺は忙しいし、部活なんてやってらんないぞ!」


「うん、わかってるよ!でも名前貸すだけでいいからお願い」

由奈は手の平を合わせて、頭を下げてきた


「まあ、名前だけならいいぞ。でも、まずは同好会として最低5人、部活にするには結果と顧問が必要だろ。集まってんの?」


「ううん。まだ」

由奈は悲しい顔をして、首を横に振り、そのまま俯いてしまった


「じゃあ、明日から部員集めだな!不良が多い訳だし、部活入ってない奴は多いからな」


「でも、あんまり悪い人とかは・・・」


「そんな事言ってる場合じゃないだろ、えり好みなんかしないで、そいつを矯正すればいい話しだ」


「そうだね」


「ああ、そうだ。家まで送ってくよ」


「えっ!いっいいよそんなの!一人で帰れるし」


「いや、もう日も暮れてきたし、危険だろ?」


「ホントにいいから!シー君は自分の家に帰りなよ」

由奈は何故か慌ている、感の鋭い俺は、家を見られたくない理由があるのかと思った。しつこいのは嫌われると思い、引くことにした


「そっか、でも途中までは送るよ、どうせ寄るところもあるし」


「寄るところ?」


「ちょっと、病院にな」

そう、昨日約束した夏美の見舞いである


「あっ!ねえ、それ僕も行っていい?」

由奈は夏美の事をある程度知っているため、理解したようだ


「まあ、別にいいけど、腕の傷、やっぱり診てもらった方がいいしな、あとお前のじいちゃんのお見舞いか?」


「いや、シー君の妹さん!」


「おい、お前のじいちゃんかわいそうだろ!」


「じゃあ、両方する」


じゃあってなんだよ、じゃあって!


「まあ、俺は買い物してから行くけどそれでもいいか?」


「構わないよ、買い物好きだし!」


「いっておくが、お前の欲しい物とかはおねだりとかされても買わないぞ」


「チッ、見破られたか」


「お前、少しは弁えろよそれに賞金山分けしたじゃないか」


「それはせれ、これはこれ!」

そうこう言いながら、デパートに着き、リンゴや梨など、手頃なフルーツを買う


「よし、あとは何か夏美が好きそうなおもちゃでも買ってくか」


「シー君、そんな卑猥な物買ってどうするの・・・」


「その玩具じゃねーよ!こんなデパートで売ってるかよ」


「えっ?売ってたよ?ほら」

由奈の右手には、いやらしい形をした女性用の玩具がプラプラとぶら下がっていた


「返してきなさい!」


「いや、これで妹さん喜ばしなよ!」


「ストープ!意味が違う!いいから戻せ」

なんか、とてもヤバイ方向に来ているので、ここでブロック


「じゃあ、僕を喜ばそて・・・」

由奈がモジモジしながら、上目使いで言ってきた


せっかくブロックしたのに、こいつ壊しやがった!というかそんな事より、今の言葉で俺のハートがブレイクした!


「えっ、いや、その・・・」

俺は余りの告白に、赤面して俯いてしまう


「なんてねー、冗談に決まってるじゃん!」

由奈がケロっとして俺の額を人差し指で小突いた


「お前なー、俺で遊ぶなよ・・・」

何だか泣きそうになってきた


「じゃあ、戻してくるね!」

そう言って、どこかへ消えていった


だが、2分ほどしたときにはまた新しい物を手にしていた


「これ、男性用の!これでシー君を・・・」


「もう、そのくだりいいから!」


「じゃあ、止めて欲しかったらクレープおごって!」


「くっ、それが目的か・・・」


「ほらほら、周りの人の視線が痛くないのかい?」

由奈は俺の顔の前でそれをプラプラさせる。周囲の人は(何あれー、やだ、若いのにあんなこと)や(ヒワイよねー)など聞こえてきた、俺は涙をぐっと堪えて由奈の要求を承諾した。




そして、クレープ屋に着く

「ほら、好きな物を頼め」


「わー、ありがとう!じゃあ、このスペシャルスウィートミックスお願いします!」


こいつ、1番高いやつ選びやがった!ちなみに俺は頼んでいない。基本、甘いものはあまり得意ではないのだ


「へい、お待ち!」

なんか、店員さんクレープ屋なのに、江戸っ子みたいな括弧をしている。法被に八巻だ


「うーん、おいしー」

由奈の買ったスペシャルなんとかクレープは、バナナ、苺、メロン、パインにチョコ、ホワイトチョコソースを掛け、その上にチョコパウダーをふり、生クリーム、そしてバニラアイス、そして巻いたあとトッポみたいなチョコスティックが刺さっていた

お値段なんと、1580円!


でも、由奈の幸せそうな顔を見ていると、その値段も安く思えてしまった

俺が由奈の幸せいっぱいの笑顔に見入っていると


「あっ、シー君!」


「んっ、なんだ?」


「はい!」

俺が由奈の呼びかけに口を開いたところに、由奈か食べいたクレープを入れられた


「なっ!!!」

もぐもぐ、ごくん


「おいしい」


「・・・・ああ」

確かに、上手いと思う、しかし今の行動でドキドキが収まらなかった俺は、味の区別ができなかった・・・


「よかったー、シー君がおごってくれたのに、僕だけ食べてるのも悪いしねー」

パクッ!由奈は俺がかじったクレープを再び食べだした。


「・・・・」


「どうしたの?」

由奈が放心状態の俺を不思議そうに聞いてきた


「っあ、なんでもないぞ!おっ食べ終わったな。じゃあ最後の買い物をすまして、病院に行くぞ!」


「なんでそんなに焦ってるの?」

由奈は俺の口調が早いことに気付き、また不思議そうに小首を傾げていた


「いいから行くぞ!」



こうして、俺達はおもちゃ売り場ぬ戻り、悩んだ末、無難にぬいぐるみにした


「シー君、以外とぬいぐるみが似合う」


「あまり、うれしくないな・・・」


「あっ、このぬいぐるみかわいい!」

由奈はイヌの小さい手の平に乗せられるくらいのぬいぐるみが気にいったようだ


「あっでも、この大きさだと、寂しいときとかだけないね。じゃあこの大きなクマとかの方がいいかな?」

由奈が一人で色々と選んでくれているので、俺は由奈に任せることにした。こういうことは、女の子に任せた方が得策だ


「ねえ、このぬいぐるみがいいと思う」

由奈が持ってきたぬいぐるみは、毛がフサフサした抱くにはちょうど良さそうな大きさのクマだった


「じゃあ、それにしよう」

別に否定する理由もない俺は、由奈の言われるままに購入した



こうして会計を済ました俺達は出口に向かった。途中、俺はある事が頭を過ぎった


「由奈、そこのベンチで少し待っててくれ」


「どうしたの?」


「いや、忘れ物」


「うん、わかった」


俺は由奈をおいて、ある事をして戻ってきた

すると、由奈が見るからにチャラチャラした男、数人に囲まれていた


「ねえ、君、暇なら俺達と遊ぼうよ」


「いえ、連れがいますので結構です」


「そんな嘘、みえみえだから、俺達と遊ぼうよ」


由奈は腕を掴まれ引っ張られていた


「いい加減にして下さい。しつこいのであれば、僕も手加減しませんよ」


「はぁ?何いってるの?あんまり意味わかんないと、変なことしちゃうよ?」


ガッ


俺はその男の肩を掴む、


「あっ、シー君!」


「なんだ、マジで彼氏いたねかよ」


「おい、そいつサイコじゃねーか!」


「マジ!俺らとんでもない奴に声掛けちまった・・・」


「いいから失せろ。でねーと、唄わすぞ」

俺はいつもよりヤバめの目つきで脅す


「はっ?何がサイコだ!誰に向かって口聞いてんだよ!」


そう言って、由奈の腕を掴んでいた頭悪そうなこの男が俺ね顔面目掛けて殴りかかってきた


「あっ、バカ!」

そいつ仲間がヤバイと思って、止めようとしたが間に合わないようだ


ぐどっ!


「うぉごぇあー」

その声の持ち主は紛れめなく、俺を殴ろうとした奴だ。そいつは大振りで殴ってきたので俺には拳が止まって見えていた。そこで俺は相手の攻撃が届く前に平拳で相手の喉仏を潰した。なんとも不快な声を上げて喉を押さえて倒れ込んだ。


「言っただろ、唄わすって」


「でめー、ざげんじゃねーぞ」

さっきまで悶えていたやつが起きあがり、ガラガラ声でまた殴りかかってきた、今度は怒りのせいか少しスピードが速い。しかしまだ止まって見える俺は、頭を屈めてせのまま腕ね下をくぐり、相手の脇腹にボディーブローを叩き込む。

しっかり急所に入った相手は、気絶した


「お前達もやるか?」


「いえ、てんでもございません!」


「じゃあ、そいつ担いでとっとずらかれ」


「はい!すいませんでした」


そう言って、俺の前から姿を消した



「由奈!大丈夫か?」


「うん、僕は大丈夫!それより、シー君偉いね!必要以上に戦ってないし、カツアゲもしなかった!」


「いや、カツアゲはこんな所で堂々とできないからだ。でも、必要以上に傷つけないのは意識した」


「うん、でも喉潰すのはやり過ぎだよ」


「まあ、じっさい本気でやったら文字通り、ほんとに喉がぶっつぶれてただろうな」


「だねー、でめせっかく僕が成敗しようと思ったのに」


「まあ、それでめよかったけど万が一由奈がまたケガするといけないからな」


「へへ、優しいなシー君は」


「そうか?まあ、そんな事より俺らも早くずらかるぞ」


「えっ、なんで?」


「今の騒ぎで警備員とか来て、話し聞かれたりしたら面倒だろ」


「なるほで、じゃあ早く行こう」

由奈は俺の手を握って走りだした。俺と由奈は手が触れで一瞬ドキッとしたが、後ろから警備員が来る気配がしたので、急いで手を握り直して出口まで全力で走った




「ハァ、ハァ、ここまでくれば大丈夫だね」


「そうだな」

俺らは出口を出た後も300メートルくらい走っていた。普段から鍛えてる俺と違い、由奈はバテて死にそうだった

由奈が落ち着きのわ待って、再び歩きだした


「由奈、さっき走ったけど腕の傷は大丈夫か?」


「あー、全然平気!多分もう傷塞がってると思う」


「どういう体してるんだお前は!」

ホントに由奈の腕は包帯をとっても、血が出るどころか、傷跡さえ無くなりかけていた


「まあ、こういうこては慣れっこでね。治りが早いんだ」

由奈は苦笑いしながら答えた。俺は慣れという言葉がひっかかったが、由奈の表情を察するや、諦めた


「さっき、シー君があのチャラ男を掴まえた時に、彼氏って言ってたけど、やっぱ恋人に見えちゃうのかな?」


「・・・そうかもな」


そうこう話している内に、病院に着いた

俺達は外来の受け付けを済まし、夏美の病室を訪れた


「入るぞ、夏美」

俺は個室のドアをノックして、合図した


「どうぞ、お兄ちゃん」


「ほら、差し入れ!」


「ありがと。ところでその人は?」


「あっ、僕は五木田 由奈と言います。砕児君のガールフレンドだよ」


「えー!ほんとお兄ちゃん!」

夏美が動揺している


「嘘に決まってるだろ。今日知り合った友達だ。由奈もいい加減なこと言うなよ」


「えっガールフレンドて女友達でしょ?合ってるじゃん」


「あー、そういうことか、由奈さん、お兄ちゃんと仲良くしてくださいね」


俺、また一人で取り乱して、恥ずかしい・・・


「もちろをだよ!こうなったらAからCまでーーー」


「ちょっと待て!お前人ね妹になんちゅ事を言ってるんだ!」


「いや、妹さんにセフレとして認められたから」


「認められてねーよ、ただの友達としてだよ」


「こうなったら、夏美ちゃん入れて3ーーー」


スパーンッ


俺は近くにあったお盆で暴走した由奈の頭を叩いた


「いったー。何するのシー君」


「己こそ何言っとんじゃ!」


クスクス


「仲良いね二人とも、うらやましいなー。私病気にかかってから友達もできないし」

夏美が寂しそうな顔をしながら笑っていた


「そんな事ないよ、僕はもう夏美ちゃんの友達だよ!」


「ほんと?」


「うん、困ったこてがあったらなんでも言って!友達だから」


「ありがとう!じゃあ一ついい?」


「なに?」


「セフレってなに?」


「うんとねー、セッ」


「ストープ!夏美は知らなくていいから!」


「えーお兄ちゃん、なんでダメなの?」


「ダメなものはダメだ!これは命令です」


「えー、いいじゃない。もう子供じゃないんだし」


「由奈は黙っててくれ・・・」


「そんな事より、プレゼントがあるんだ」


「プレゼント?」


「ほら」


「わっ、ぬいぐるみだー」


「夜とか寂しいときのために買ってきたんだ」


「ありがとう、お兄ちゃん!」


「僕もプレゼントがあるんだ!」


「えっ!」

俺は嫌な予感がした、そしてその予感は見事的中した


「はい、夏美ちゃん!」


そう、あの時の玩具だ


「夜、寂しいときに使ってね!」


「わかりました。ところでこれ何ですか?どうやって使うんですか?」


「これはねー、こうーーー」


カイーン


今度は松葉杖で由夏の頭をヒッティングした


「痛ーい!」

由夏は頭を摩り、涙目でこちらを見てきた


「お前はどんだけ俺ね妹を汚す気だー!」


「いや、寂しいかなって思って・・・」


「意味が違う!意味が!」


俺達のやり取りを見て、夏美は笑っていた。


「とりあえず、こんなものは」

バキッ


俺は玩具を膝で折り、元野球ばりの遠投で、までから病院の外へ放り投げた。玩具は道路で車に曳かれてばらばらなった


「あー、僕が買ったプレゼントがー」


「あんなものを中学生に渡す高校生がどこにいる!」


「ここに!」

由夏は親指を立てて自分に向けた


「もうええわ!」


「おもしろい漫才だったよー」

夏美は無邪気に笑っているが俺はどっと疲れた


「じゃあ、夏美、そろそろ外来が締まるから行くな」


「うん。バイバイお兄ちゃん、由奈さん!」


「バイバーイ」


「あっ、由奈さん待って!」


「あっ、シー君、先に行ってて」


「ん、わかった」


夏美は由夏と二人で話したいらしく、邪魔者の俺は、追い出され、仕方なく個室の外で壁にもたれて待っていた


5分くらいすると、由奈が出てきた


「何を話していたんだ?」


「セフレについて」


「おい!」


「冗談だよ、ただリンゴと梨を剥いてあげただけだよ」


「それだけ?」


「それ以上は女の子の秘密だよ」


「そうか、わかった」

なんだか、疎外感があるものの、しつこくするのも酷なのでやめた


俺達は病院を出て、俺が途中まで送っていくことにして話してあるいていた


「いい妹さんだね!」


「だろ。」


「誰かさんとは多違いだ!」


「おい!・・・・」

俺はしばらく黙ったそして


「・・・ありがとな」


「なんで?お見舞いのことなら気にしないでいいよ」


「いや、お前、頑張って夏美を笑わせつくれたしな」


「あれ、ばれてた?」

由奈は舌をだして、かわいく照れ隠しをした。


「下ネタだけどな!」

そう、由奈ねあれは全て演技だった


「いいじゃを、下ネタでも!」


「よくはないぞ!教育上!」


「ムー」

頬を膨らませている。正直、めっちゃかわいい


「でも、シー君はいいお兄さんだよ。ここまでやる人はなかなかいないよ」


「そうか、ありがとう」


「頑張れ!」




そしてしばらく、今日の事を振り返って黙って二人で歩いた


「そう言えば、今日、由奈に会ったばかりなのに、めちゃめちゃ俺達仲良くなってるな」


「そう言われると、そうだね」


「まさか、いきなり闘技場に誘われるては・・・」


「まー何かね縁ということで、きっと相性いいんだよ僕達」


「そうかもな・・・」



また黙って二人で歩く


しばらく歩いてとある交差点に差し当たった


「ここまででいいよ、今日は楽しかった!」


「あっ!」


「どうしたのシー君!」


「由奈のおじいさんのお見舞い忘れてる!」


「あー、いいよそんなのどうでも」


ほんとにかわいそうだ、おじいさん・・・・




こうして、由奈と別れを告げて時計を見ると、既に午後8時を回っていた


俺は帰る途中に空を見上げると、そこには星空が広がっていてしばらく見っ入ていた

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