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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
5章

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96.鑑定士、王女と姫の間で取り合いになる



 エルフの姫【ミネルヴァ】の呪いを解いた数時間後。


 俺は、獣人国の王都。

 その王城にいた。


 応接室にて。


 ソファには俺、女王エミリア、そしてミネルヴァの3人がいる。


「あなたはフランシス陛下の7番目の娘さんね。お父様は元気かしら?」


 エミリアがミネルヴァに微笑む。


 どうやらミネルヴァは、第7王女のようだった。


「頭が高いぞ獣女。わらわを誰と心得る? 高貴なるエルフのなかでも特に貴き血を持つわらわを……あいたっ」


 俺はミネルヴァの頭を叩いた。


「目上の人に失礼だろ」


「わらわの方が獣人よりも上……あいたっ!」


 俺はまたミネルヴァの頭を叩く。


「目上に敬意を払えというのなら、貴様もわらわに敬意を払わぬか!」


 ミネルヴァはまだ若い。


 俺と同年代か、少し下くらいの見た目をしている。


 まあ年の割に発育がよく、大人びて見える。


 しかし礼儀をわきまえてない辺り子供だった。


「エミリア女王に失礼だろ。あやまれ」


「いいのよアインさん。それで、ミネルヴァ姫、我が国にどういったご用件で来たのかしら?」


 このミネルヴァ、国王に無断で入国したどころか、無許可で聖域に入ろうとしていた。


 それはまずいだろと思い、俺はミネルヴァをここへと連れてきたのである。


「貴様に答える義理はない、獣女……あいたっ! いちいち叩くな!」


「すみません、こいつガキなんです」


「ガキではない! 不敬罪で打ち首にするぞ!」


 凄まれても、幼い見た目(12,3くらいか?)なので、全然怖くない。


 闘気を込めて脅してくるが、俺には通じなかった。


 俺はミネルヴァが獣人国を訪れた経緯を、エミリアに話す。


「まあ、そうだったの。お辛かったわね」


「もう良い。傷は癒えた。もうわらわはここにいる理由はない。いつまで無駄な時間を取らせる……あいたっ! だから叩くな!」


「ふふっ。フランシス陛下はうらやましいわ。こんな元気で可愛い娘さんがいて」


 エミリアがさみしそうに笑う。


「陛下は子供さんっていないんですか?」


「ええ。夫は早くに死んでしまってね。その後ずっと、独りぼっちなのよ」


「再婚は?」


「そうねぇ……。いい人がいればとは思っていたわ」


 なんで過去形なんだろうか?


「ミネルヴァさん、傷は癒えたばかりなのでしょう。少しゆっくりしてから【アネモスギーヴ】へ帰られたらどうかしら?」


 エルフの国は、ここから海を渡って隣の大陸まで行く必要があるそうだ。


 かなりの長旅だ。


「病み上がりなんだから無理しない方がいいぞ」


「はっ! 誰に命令をしているのだ。わらわの進むべき道はわらわが決める」


 ほんと偉そうだなこいつ……。


「しかしアイン。貴様がどうしてもというのなら、貴様の元に厄介になってもよい」


「は? ちょっと待て。なんでおまえが俺のところにこようとするんだよ?」


「愚問だな。貴様はわらわの所有物だからだ」


「いやいつあんたの所有物になったんだよ……」


 するとミネルヴァは、頬を染めてそっぽを向いた。


「わらわの裸、見たくせに……」


「あらあら♡ まぁ、アインさんってば意外と大胆なのね」


 うふふ、とエミリアが生暖かい目をおれに向けてくる。


「いや違いますって! 確かに裸は見ましたけど……それは呪いを解くためであってその……」


「とにかくだ。こいつはわらわのものだ。傷が癒えたら本国に帰り、挙式をとりおこなうぞ」


「いや挙式って。俺別にあんたと結婚する気なんてないぞ」


「黙れ。貴様になくともわらわにはある。貴様は今後わらわのそばにいる。決定事項だ」


 なんて理不尽なんだ……。


「まあまあミネルヴァさん。落ち着いて。結婚は両人の合意の元に成り立つ物よ」


 おお、エミリアさんがまともな意見を!


「このわらわが夫に迎え入れたいと申しておるのだぞ? 泣いて喜んでよいくらいだろうが」


「いや。別に嬉しくない」


 不機嫌そうに、ミネルヴァが柳眉を逆立てる。


「貴様。わらわの夫になることが、うれしくないと申すのか? 王家の人間になれるというのに」


「ああ。別に俺は王族になんてなりたくない」


「では、なぜ? わらわを助けた? 王家に連なるものだから、助ければ富を得られると打算があったのではないのか?」


 不思議そうに、ミネルヴァが俺を見やる。


「困ってる人がいたから助けただけだ。見返りなんて求めちゃいない」


 そもそもこいつを助けに入ったとき、ミネルヴァが王族なんて知らなかったしな。


「…………」


 ミネルヴァはしばし無言だった。


 ややあって。


「わかった。わらわはしばし、この地に留まるとしよう。結婚も、待ってやってもいい」


 ミネルヴァが俺から目をそらし、腕を組んで、ふんぞり返って言う。


「それにしても、さすがねアインさん」


 ふふっ、とエミリアが微笑む。


「見返りを求めず人助けをするなんて。ほんと、素晴らしい人ね、あなたは……」


 なんだか知らないが、エミリアが目を細めて、俺をジーッと見つめてきた。


 腰を上げて、彼女が俺の隣に座る。


「ところでアインさんは……年上と付き合うのなら、何歳まで許容範囲かしら?」


「は? あの……何の話ですか……?」


 エミリアは俺の左腕を掴むと、むぎゅーっと自分の胸に押しつけてきた。


「言葉通りの意味よ。年上じゃダメかしら?」


「いやマジで何の話をしてるんですか……?」


 するとミネルヴァが俺をにらみ付けると、俺の右隣に座ってくる。


 俺の腕を掴んで、胸を押しつけてくる。


「おい獣女。こやつはわらわのものだ。貴様なんぞにくれてよい男ではない。他の男にせよ」


「あら? まだミネルヴァさんとアインさんはお付き合いすらしてないのでしょう? なら誰と付き合っても良いのではなくって?」


 エミリアとミネルヴァが、俺を挟んで見つめ合っている。


「おいアイン。言ってやれ。こんな年増は好みではないとな」


「アインさん、わたし、確かに若くはないけど、殿方を喜ばせるすべには長けてると自負してるわ♡」


 ふたりの王族が、俺の腕を引っ張っている。


 なんなの、この状況……?


「帰るぞ。こんな女のところにいつまでいられるか」


 ぐいっ、とミネルヴァが俺の腕を引っ張る。


 エミリアが立ち上がり、俺たちのあとを城の外まで見送ってくれる。


「ではアインさん。また遊びに来てくださいね♡」


 エミリアは俺のそばまでやってくると、


「……今度は二人きりで、ゆっくり……ね?」


 エミリアがフフッと微笑んで、俺の元を離れる。


「アイン。二度と来ぬと言え」


「……ま、また来ます。それじゃ」


 俺は頭を下げて、ミネルヴァとともに城を後にする。


「それで? どうするんだこれから」


「貴様は今大使館に泊まっているのだろ? ならばそこまでわらわを案内せい」


「偉そうに……。宿に泊まれよ」


「わらわのような高貴なものが、安宿に泊まるわけなかろうが」


 ……結局、なし崩し的に、ミネルヴァが俺の元で暮らすことになったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんだこのクソエルフは(-_-メ) 4ね まあ一部の人には需要ありそうだけど [一言] >まあ年の割に発育がよく、大人びて見える。 んんん? てっきり子供過ぎて第二次成長期に達して…
[良い点] おもしろいです! 更新頑張ってください! [一言] タイトルが女王じゃなくて王女になってますよ 本文にも一箇所間違いがあったので誤字報告しておきました
[気になる点] 「ややあって』使うんですねー 良い物語が、台無しな気がします。 [一言] 好みなので、スルーして下さい。
2020/01/15 12:03 退会済み
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