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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
5章

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88.上級魔族、鑑定士の新たな力の前に完全敗北



 鑑定士アインが、第5精霊の力を手に入れた、一方その頃。


 魔族たちの住まう国【魔界】。


 魔王城の、とある一室にて。


 そこには宮廷魔導師たちがいて、儀式の最中だった。


 魔導師たちの表情は、暗い。

 皆疲れ切っている。


「おい貴様ら! いつまでこの【ゴーマン】を待たせるのだ!」


 部屋の中に、ひときわ大きな態度の魔族がいた。


 その姿を一言で言うなら、わに人間。


 3mの巨体。しかも肥満体型。

 鰐が二足歩してるような姿。


 彼の名前は【ゴーマン】。


 魔界貴族、序列1位の【公爵】。


 先日、イオアナを魔族の恥め! と馬鹿にした男だった。


「早く儀式を続けろ! 早くあの鑑定士のガキを見つけるのだ!」


 ゴーマンはイスにどっしり座り、宮廷魔導師たちを不機嫌そうに見下ろす。


「し、しかしゴーマン様。ゲートを開くのにはかなりの魔力と時間を消費します。ゲートを開いて鑑定士を探すのではなく、ゲートを通って直接探し出してはいただけないでしょうか?」


 弱々しく、魔導師がゴーマンに言う。


 ゴーマンは立ち上がると、その巨体から凄まじい勢いのパンチを、魔導師に喰らわす。


 グシャァ……!


 拳を受けた魔族は、その場で破裂して即死。


「なぜ我が輩が、非魔族のサルごときを見つけるのに労力を使わねばならぬ!」


「もっ、申し訳ございません! ただちに!」


「フンッ……! さっさとせぬか。まったく、こんな簡単なことにいつまでも時間をかけさせよって。上級魔族の1秒と、貴様ら凡人どもの1秒は価値が違うんだぞ? わかってるか!?」


 宮廷魔導師たちが、必死になって鑑定士を捜索しだした……そのときだ。


「ごきげんよう、ゴーマン」


 儀式の部屋に、美しいダークエルフが入ってきたのだ。


「エキドナ殿! おい貴様ら何をぼさっとしている! イスとテーブル、それにお茶の用意を! 気が利かぬ阿呆どもめ!」


 ゴーマンは宮廷魔導師たちの背中を蹴り飛ばす。


 いそいそと、テーブルなどをセッティングする。


「鑑定士探し、難航しているようね」


「申し訳ない。すべては無能な部下たちのせいだ。まったく、使えぬやつらだ」


「人間の国をいくら探しても見つからないとなると、別の場所に居るのかもしれないわね」


「! おい貴様ら! 何をぼさっとしてる! 周辺諸国を探せ!」


 ゴーマンは1歩も動かず、部下たちに命令するばかりだ。


 エキドナは微笑んだまま、何も言わない。

 部下たちが酷い扱いを受けているのに、である。


 ややあって。


「ゴーマン様! アインを見つけました!」


 魔導師が敵の座標を、紙に書いてもってくる。


「遅い遅い遅い! まったく遅すぎるぞこのウジ虫どもめ!」


 せっかく敵の居場所を見つけたというのに、部下をねぎらうことはしない。


 それどころか、ゴーマンは部下を叱りつけ、あまつさえ蹴り殺した。


「では行って参ります!」


「期待してるわ。ゴーマン。あなたはイオアナとは違うってところ、私に見せて」


「無論でございます! 我が能力は【絶対不敗】! 魔族随一の自動再生能力を持つ! この能力を前に、アインがどれだけ強かろうと無意味!」


 ゴーマンは高らかに笑う。


「やつは斬撃で敵を消し飛ばすと聞きます。しかしご安心を! 消し飛ばしたそばから再生していくので、ヤツの攻撃は我が輩に無効!」


「たのもしいわゴーマン。じゃあ、頑張って」


「ええ! 必ずやあのアインめの首をもぎとり、あなたの前に献上いたします!」


 ゴーマンは意気揚々と、転移の魔法陣の上に立つ。


 魔導師たちが儀式を発動。


 一瞬で、魔界から人間界。

 そして、アインの元へと、送り込まれる。

 そこは獣人国の聖域内。


 ちょうど、アインはすぐ前の前にいた。


「ふんっ! ここは森の中か。こんなへんぴな場所に呼び出しおって!」


 ゴーマンはギロり……と眼下の少年を見やる。


「こんな弱そうなガキに、イオアナは負けたとは! まったく恥さらしめ!」


 ゴーマンを前に、アインは動けないでいた。


 無理もない。


 3mを越える巨体。 

 そして絶対不敗の能力。やつは相手の能力を盗み見られるらしい。


「どうした? 勝てる見込みのないことを知り絶望しているのか?」


「さっさと始めようぜ」


「ハッ! 我が輩の能力を知りなお挑む、その蛮勇だけはほめてやろう!」


 ゴーマンが一歩踏み出した……そのときだ。

 

 グシャアッ……!


 彼は、頭から、地面に突っ伏したのだ。


「なぁ!? わ、我が輩の足が! 消えてるだと!?」


 ゴーマンの両足、膝から下が消失していたのだ。


 足はキレイに切断されていた。


「おまえ! いつの間に剣を抜いた!?」


「剣なんて、使ってねえよ」


「なんだと!?」


「てめえごときに剣は使わない。てめえを斬ったら精霊の剣が汚れちまうからな」


「いい気になるなよ、ガキがぁあ! 我が輩には超再生能力が!【絶対不敗】の能力がある! こんな傷など!」


 しかし……。


 グシャッ……!


 また、ゴーマンは、無様に顔からこけたのだ。


「なっ!? ば、バカなぁ! 足が! 再生しないだと!?」


 ゴーマンは額に大汗をかき、自分の足が再生しないことに動揺する。


「どうした? 再生能力が売りなんだろ? それがなくなったらただのデブのワニじゃねえか」


「だ、だまれぇええええええええ!」


 這いつくばった状態から、腕だけでゴーマンは飛び上がる。


 落下の勢いを乗せた拳を、アイン目がけて振る。


 そのときだ。


 アインの目が、鮮やかに紅く輝く。


 ボッ……!


 突如として、ゴーマンの右半身が、消し飛んだのだ。


「うぎゃぁあああああああああああ!」


 ゴーマンはグシャリと地面に落下。


 失った部位から、血が大量に噴き出す。


「いったい何をされた!? どうして再生しないんだぁあああああああ!?」


 アインがその場から一歩も動くことなく、ゴーマンを見下ろす。


 また、目が赤く輝く。


 ボッ……!


 ゴーマンの頭部以外、全て消失したのだ。


「ひぎぃいいいいいいいいいいい!」


 恐ろしかった。

 何をされているのか、まったくわからない。


 ただ一つ確かなことは、自分の命が、風前の灯火という事実のみだ。


「なぜだ! おい能力早く発動しろよ! なにやってるんだよぉおおおおお!」


 するとアインが、ため息をつく。


「能力は発動しない。俺が、おまえの【能力】を最初から無かったことにしたからだ」


「な、何を言ってるんだ……?」


「虚無の邪眼はすげえな。物体だけじゃない。持っている能力すらも消せるなんて」


『いや虚無の力はあくまで見た物を消す能力。相手の能力を見ることができる鑑定士だからこそできる芸当だよ~。いや~すごいね~』


 彼らの会話が、まるで耳に入ってこなかった。


「いっ、いやだ! 我が輩は絶対不敗なんだ! 負けたくない! いやだ! 負けたーー」


 ボッ……!


 これが、絶対不敗のゴーマン、唯一の敗北の瞬間だった。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 待ってました! ゴーマン! ゴーマン! ゴーマン! ゴーマン! あれ?半ページもたないのかよ エキドナはなにがしたいの こうなるの判ってて送り出してるよね [一言] ゴーマンは一発で終…
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