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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
5章

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82/245

82.鑑定士、隣国の女王から感謝される



 ファフニールを討伐した数日後。


 俺には、商人ジャスパーを通して、国王から招集命令が下った。


 レーシック領を出て、王城へとやってきた。


 いつもの応接室にて。


 俺が部屋に入ると、若い獣人女性がソファに座っていた。


「あれ、あんたは、昨日の……」


「こんにちは、アインさん」


 にこっ、と女性が優雅に微笑む。


「立ち話も何ですし、お座りになられて」


 俺は首をかしげながら、獣人女性の前に座る。


「あの時は名乗れなかったわね。わたしはエミリア。妖狐よ」


ティアラの乗った頭部には、垂れた狐耳。


ドレスのお尻からふさふさの狐しっぽが覗く。


「なんであんたがここにいるんだ? 王様に何か用事でもあるのか?」


「いいえ、私はあなたに会いに来たのよ」


 と、そのときだった。


 ガチャッ。


「やぁ、アイン君。待たせてすまないね」


国王が応接室に入ってきた。


「おや? エミリア殿。もう到着なされたのかね?」


「ええ、陛下。1秒でも早くアインさんにお会いしたくて。そうしたら1時間も早く着いてしまったわ」


「なるほど。ああそうだ、説明がまだだったねアイン君」


 国王は朗らかに笑って言う。


「彼女はエミリア・ヴァン・ネログーマ。我が国の隣、獣人国ネログーマの女王陛下だ」


「じょ、女王!?」


 俺はエミリアを見やる。


 ニコニコ笑いながら、エミリア女王は頭を下げた。


「い、いやいや。だって昨日、牧草地で平民の格好してなかったか?」


「私、たまにああして城下におり、動物たちとふれ合うのが好きなのよ」


「で、でもあそこの牧草地って、レーシック領の隣の領地だって……」


「アイン君。レーシック領はこの国と獣人国とのちょうど国境付近にあるのだ」


 俺はとんでもない誤解をしていたようだった。


「す、すみません。無断で国をまたいでしまって。今日ってもしかして、無断入国に対するお咎めだったりします?」


 すると女王は、目を点にする。


「陛下? 彼はいつもこうなのかしら?」


「そうだよ、エミリア殿。彼は少々、自分のした偉業にたいして、無自覚なのだ」 


「なるほど、さすがねアインさん。【レーシックの英雄】の名前にふさわしい傑物だわ」


 ふふっ、とエミリアが微笑む。


「そうであろう。アイン君は我が国の誇りなのだ」


 国王が胸を張る。


「えっと……話がまるで見えないんだけど……」


 困惑する俺に、国王が「すまんすまん」と笑って頭を下げる。


「別に君を叱りつける気は一切ない」


「じゃあどうして俺は呼ばれたんですか?」


「私がね、アインさんに会わせてほしいって、陛下にお願いしたの」


 エミリアは俺のそばまでやってくる。


 俺の右腕を、抱いてくる。


 むにゅ~っと、彼女の乳房に、俺の腕が埋まった。


 この人、かなり胸がデカかった。


「強くてしかも、いい男ね。ますます欲しくなったわ♡」


「は、はあ……? どういうことっすか?」


「ははっ、戯れはおやめくだされ。彼は我が国の宝なのだ。易々と譲るわけにはいかないな」


 国王が逆側の腕を引っ張る。


「あの……マジで説明お願いします」


 さて。


 応接室に設えたソファに、俺たちは座る。

 正面に国王。

 そして、右隣にエミリア。


 エミリアは俺の右腕に、ずっと抱きついている。


「アイン君。エミリア女王陛下は、国を代表して君に感謝の言葉を述べに来たのだ」


「感謝? 俺何かしました?」


「やれやれ、アイン君。君はもう少し、君の一挙手一投足が、すべて偉業だってことにそろそろ気付いたらどうかね?」


 なんのこっちゃ?


「アインさん、先日我が国に現れた古竜ファフニールを倒してくださったでしょう?」


「ああ。それがどうしました?」


「アイン君。ファフニールは古竜。ランクで言えばSSランクだ。国一つ滅ぼせる竜だぞ?」


「正直あの竜が現れた瞬間、国が滅ぶことも覚悟したわ。それをあなたが救ってくれた。私は、心からあなたに感謝しているの」


 エミリアは立ち上がると、俺の前で、深々と頭を下げた。


「ありがとう、アインさん。国の代表として、最上級の感謝を、あなたに」


「い、いややめてくださいって! ほんと大げさですってば。今更古竜倒したくらいで……」


 するとエミリアが、ぽかーん、とした表情になる。


「へ、陛下。古竜くらい、って?」


「彼は古竜より強い魔族をバンバン倒している。しかも上級魔族すらも彼にはかなわない」


 俺の行動は、ジャスパーを通して国王に報告が行っているのだ。


「……国王陛下。お願いがあるの」


 真剣な表情で、獣人国の王女が、国王に言う。


「彼を我が国に、いただけないかしら?」


 え……ええっと……なんだって?


「エミリア殿。それは無理な相談だ。なにせ彼は我が国の全平民のあこがれの的。おいそれと他国に渡すわけにはいかないな」


「い、いや国王様……全平民のあこがれって、ちょっと言い過ぎですよ……」


「君は本当に謙虚だなアイン君。さすがだ」


 国王が笑顔でうんうんとうなずく。


「君は平民から貴族となった。そして数々の偉業をなしてきた。平民たちからすれば、希望の星そのものだ。平民も頑張れば君みたいになれる……とね」


「なるほど。アインさんは平民の皆さんの夢でありあこがれの人なのね。それは確かに簡単に招き入れることはできないわ」


 国のトップ二人に、俺はこれ、褒められてる……のか?


「けど陛下。私やっぱりアインさんを諦められないわ。どうにかできないかしら?」


「ううむ……ならこうしよう。彼を親善大使に任命する」


「親善大使? なんですそれ?」


「両国の親交をより深めるための役職だ。平たく言えば、君は我が国の顔として、エミリア様の国での活動が許されるようになった」


「は、はあ……いまいちよくわからないんですけど……」


「国賓待遇で、我が国に招待するということよ。あなたのために住民権と、そして大使館も用意するわ」


「家をくれるんですか!?」


 微笑みながらエミリアがうなずく。


「当然でしょう? あなたは友好国の親善大使だもの。それにふさわしい屋敷が必要になるわ」


「これでいつでも隣国と我が国とを行き来できるぞ! 良かったなアイン君! これで君の捜索範囲が広まったではないか」


 俺の目的は、あくまで世界各地に存在するユーリの家族を探し出すこと。

 

 確かに親善大使となれば、住む場所も、そこでの行動もしやすくなる……。


「けど親善大使らしいこと、俺何もできないですよ?」


「大丈夫だアイン君。君はいつも通りにしていればいい。さすれば我が国のイメージはうなぎ登りさ」


「何の話してるんですか……?」


「言ったであろう? 君は自覚無しで偉業を達成すると。だから普段通りしていれば良いのさ」


 かくして俺は、隣国の女王から感謝された上に、親善大使となったのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 内容は面白いし好きだけど「俺またなにかしちゃいました?」みたいなセリフ嫌い アインは元々弱かったんだし自分がやってる事が結構すごいって理解しててもいいのでは?
[良い点] 主人公のチートぶりは好きな部類です [気になる点] どれたけ成長しても無自覚なままなのが違和感すぎて… 最底辺だったんだから弱さ知ってるよね? 自分の強さもある程度分かってるよね? なんで…
[良い点] またまたまたまたまたきょにゅううううううううktkr イオアナのワンパターン芸もぶれないけど、 先生の巨乳好きもぶれないなぁ あんまやりすぎて貧乳読者に暗殺されるなよ? [気になる点] 欲…
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