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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
4章

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78.鑑定士、休みの日をユーリと過ごす



 分身が伯爵級を倒せるようになってから、数日後。


 朝。

 レーシック領の、領主の館にて。


「じ~……」

「……ユーリ、何してるんだ?」


 目を覚ますと、すぐ隣にユーリがいた。


「おは、よー♡ アイン、さん♡」

「おはよう。なぜ隣で寝てる?」


 俺の部屋のベッドに、ユーリがごろんと寝ころんでいるのだ。


「アイン、さん……おこそう、思って、来ました!」


「そうか。ありがとな」


 俺はベッドから起き上がる。


 ユーリもまた起き上がり、ぐいーっとのびをする。


「…………」


 胸が強調されるポーズだ。

 やはりユーリはデカいな……。


 大きくて軟らかそうだ。

 それでいて張りがあって、形がキレイ……って、いかんいかん!


「じ~」

「……な、なんすか?」

「………………ぽっ」


 どうやら、胸を凝視してたことが、バレてしまっていたようだ。


「す、すまん……」

「いいえ♡ お気に、なさらずっ」


 俺は着替えて移動。

 リビングで二人きりで、朝食を取る。


「アイン、さん。きょうは……おねぼうさん?」


「ああ。最近は魔族の襲撃が減ってきてるからな」


「なぜ、です?」


「まあさすがにあんだけバンバン仲間が殺されたら、ヤバいと思って近づかなくなったんじゃないか?」


「アインさん、すごい! 名推理!」


 わー、っとユーリが拍手してくれる。

 笑っている顔が……ほんと、可愛いよな。

 気恥ずかしくなって、俺は視線をそらす。


「それじゃ、アイン、さん。きょーは、お暇?」


「え? ああ……特にやることはないな」


 ここ数日の襲撃はなんとゼロだ。

 このまま何事もなく、平穏無事に毎日を送りたいものだ。


「じゃあ、じゃあっ! わ、たしと……デートしましょう!」


 ユーリが両手を挙げて、魅力的な提案をしてくる。


「だ……め?」

「問題ない。暇だしな」


「やっ、たぁ~……♡」


 ユーリが席を立ち、くるくると回る。


 ……他の精霊たちが出てこないのは、姉(妹)のために、空気を読んでいるのだろうか。


 それはさておき。


 メシを食った後、俺はユーリと、レーシック領内の村をゆっくり歩き回る。


「おや、アイン様にユーリ様! おはようございます!」


 村人が俺たちに、笑顔で挨拶をする。


「ああ、おはよう」

「おはよー、ござい、ます……!」


 村人がニコニコしながら、次々と集まってきた。


「アイン様ー!」「ユーリ様おはよう!」「今日もかっこいいですね-!」「ユーリ様はほんとおきれいだなぁ!」


 あっという間に、人だかりができる。


 村人、というか領民たち全員から、俺はなぜか好かれている。


「あ! ユーリ様だー!」


 村の子供たちが、ユーリの元へ駆け寄ってくる。


「ユーリ様! トランプしようぜ!」


「ばかやろう! ぼくとボール遊びするって約束なんだい!」


「ユーリ様! お人形あそびしよー!」


 わあわあ、と子供たちがユーリのもとに集まって、笑顔で言う。


「ユーリ、大人気だな。どうしてだ……?」


「おや、アイン様。知らないのですか?」


 村人の一人が、俺に言う。


「ユーリ様は普段から、子供たちのお相手をしてくださっているんですよ」


 確かに、最近ユーリは、目の中にいることが少なくなった。


 どこへ行ってるのか不思議だったのだが、なるほど。


「あの子たちはみな、本当にユーリ様のことが、好きなんですよ」


 ユーリがニコニコしながら、子供の頭を撫でている。


 俺はその様子を、少し離れたところから眺めていた。


「良かったな、ウルスラ」


『……うるさい。今、話しかけるな』


 ウルスラは、涙声だった。


 彼女はユーリの母親だ。

 ユーリの孤独を、誰よりも知っている。


 だから、今こうして、たくさんの子供に囲まれている姿が、うれしいのだろう。


『……アイン。ありがとう。おまえが、連れ出してくれたおかげだ。深く……深く、感謝するぞ』


「そりゃこっちのセリフだよ。いつもありがとな」


 ややあって、ユーリが俺の元へ帰ってくる。


「おかえり」

「ただいまっ♡」


 俺はユーリとともに歩き出す。


 そう行っても、特にやることはない。


 川を眺めたり、畑を見たり……そんなふうに、のんびし領地内を歩く。


「最近……は、アイン、さん。領地内、いること、多い、ですね」


「まあ、こっちの方が何かあったとき動きやすいからな。敵と戦いやすいし」


 王都だと人も建物も多いので、どうしても戦闘には向かない。


 一方レーシック領は、田舎にある。

 土地が余りまくってるため、いくら暴れても大丈夫なのだ。


「本格的に、こっちに引っ越ししようかなって思ってるんだ」


「それ……は、いいです、ね!」


 最近はジャスパーの屋敷よりも、レーシック領地の領主の館にいる方が多い。


 それにユーリも、こっちにいたほうが、子供も、親しくしてくれる人も多いだろうしな。


 ややあって。

 俺は領地内の草原へとやってきた。


 レジャーシートを広げ、ふたりで座る。


「アイン、さん! お弁当……つくって、きました!」


 ユーリが後ろ手に隠していたお弁当を、俺の前に出す。


 包みに入った、お弁当箱だった。


「なんとっ、てづくり……です!」


 じょ、女子の手作り弁当か。

 か、感動だ。


 俺、今まで独りぼっちだったからな。


「あ、開けて……いいんですかっ?」


「もち、ろん……どうぞっ!」


 期待で胸が膨らむ。

 果たして、どんな美味そうな料理が入ってるんだ!


 俺はワクワクしながら、包みを開け、弁当を蓋を開ける……。


 ……閉じる。


「? ど、したの……アイン、さん?」


「え!? いやぁ!?」


 俺は、もう一度弁当を蓋の開けた。


 ……真っ黒焦げだった。


 よく考えなくても、彼女は長い間地下暮らしだった。


 弁当はおろか、料理なんて作ったことがないのだろう。


「がんばり、ました!」

「お、おお……そうか! がんばったんだもんな!」


 女の子が、俺のために、一生懸命作ってくれたお弁当。


 それだけで十分、食べる価値はある。


 俺は弁当を開け、フォークで黒焦げの何かを、突き刺す。


「う、美味そうだな! この……は、ハンバーグ?」


「……それ、コロッケ」


 しゅーん……。


「コロッケ! コロッケな! いやー美味そうだ!」


 俺は黒いなにがし(コロッケ)を、口の中に入れる。


 ジャリッ……!


 じゃ、じゃりっていった……じゃりっていった!?


 咀嚼すると……うん、焦げてた。

 丸焦げだった。


「ど、どうですかっ? 上手に、作れたと……自負、してます!」


「う、うん……おいしい、よ。めちゃくちゃ……」


「えへへ~♡ わーい♡ 天に昇る~♡」


 ふにゃふにゃ、とユーリが蕩けた笑みを浮かべる。


 ああ、可愛いな……。


「ささっ♡ まだまだ、あります♡ たぁんと、食べて♡」


 ユーリが笑顔で、黒いなにがしが大量に詰まった弁当箱を、俺にぐいっと勧めてくる。


 ……その後、俺はちゃんと全部平らげたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 黒こげの物体を上手に作れたと自負・・・だと? 手作りならいいってもんじゃねええええんだよおおお この低脳があああああああ ムッキィ!! ノ`⌒´)ノ ┫:・'.::・┻┻:・'.::・ ・…
[一言] アイン・・・隠れて胃薬を飲む事も出来んなぁw(笑)
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