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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
4章

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73.鑑定士、襲ってくる魔族に連戦連勝する



 俺がユーリと王都でデートしてから、2週間後。


 アリスが、敵の襲撃を【千里眼】で予知した。


 俺は深くため息をついて、戦闘地域まで移動する。


「なっ!? なんだここは!? 誰も居ないではないかっ!?」 


 草原に出現したのは、魔族だ。


『ホワイト・ベア。シロクマ型の子爵級の魔族じゃ。能力は……』


「……いや、大丈夫だ。ありがとう」


 はぁ、と俺は深々とため息をつく。


「おい人間の子供!」


 ベアが俺に近づいてくる。


「この辺りでアインというガキを」

「俺だよ、俺……」


 もうこのやりとりも、耳にタコだった。


「はぁ? ふざけているのか? 鑑定士は上級魔族を葬り去り、数多くの同胞を屠ってきたのだぞ?」


 ベアが俺をのぞき込むようにして見やる。

 ぷっ……と噴き出す。


「そのような強者が、貴様のような非力そうなサルなわけがなかろう!」


 ゲラゲラとベアが笑い出す。


「おまえらさぁ……。ちょっとは仲間内で情報共有しとけよ」


「なんだと?」


「席が1つしかないから焦る気持ちはわかる。……けど少しは学習してくれよ」


 俺はまた深々とため息をついた。


「非魔族のサルのくせに! 我ら魔族に指示を出そうというのか! 偉そうに! 死ね!」


 ベアが手を振りかぶる。

 こいつもまた、闘気を使えないようだ。


「【超鑑定】」


 その瞬間、ベアの体が止まる。


 鑑定能力で、動体視力を向上させたのだ。


 俺は精霊の剣を出す。


 闘気を解放。

 身体能力を向上させる。


 剣を、軽く横に払う。


 ズバンッ……!


 繰り出された斬撃は、超高密度のエネルギーとなって、ベアの体をまるごと吹き飛ばした。


 俺は一人、ため息をつく。


『アイン、さん。大丈夫、ですか?』


「ああ、大丈夫だ……ちょっと疲れてるだけ」


『無理もない。昼夜問わず魔族が襲撃してくる。そのたび起こされて対応しておるのじゃ。寝不足になっても致し方あるまい』


 イオアナを退けてからだろうか。

 やけに魔族からの襲撃回数が増えた。


 その理由は単純だった。

 イオアナが魔公爵の座を追放された。


 空いた席は、アインを倒したものが座れる、ということになった。

  

 結果、魔族たちがそのイスを求めて、俺を襲いに来るようになった。


 以上。

 アリスの【千里眼】を用いて、魔族の心を読み取ってそれを知った。


 俺は対策を取ることにした。


 王都の転移結界を応用。

 敵が来たら、レーシック領地内の草原にテレポートするよう、ウルスラたちと結界を作った。


 これによって、他人に被害を出すことなく、戦闘に集中できるようになった。


 ただ、ワンパンで倒せるとは言え相手は魔族。


 俺が直接戦わないといけなかった。


『アイン、さん。休ん、で』


「ありがとう。けど、魔族と対等に戦えるのは俺しかいないんだ。俺が、やらないとダメなんだ」


 家に帰ろうと思った、そのときだ。


『……アイン君。敵が来る』


 アリスからの伝令。

 俺はため息をついて、敵が来るのをその場で待った。


 ややあって。


 俺の目の前に、また別の魔族が転移してくる。


「なっ!? ここはどこだ!? アインはどこだ!?」


「……うるせえ」


 俺は精霊の剣を取り出し、縦一閃。


 ズバンッ……!


 今来た魔族は、跡形もなく消えた。


 しゅうう……。


 魔族が立っていたところから、湯気のような物が立ち上る。


【それ】は精霊の剣へと、吸い込まれた。


 ドクンッ……! と剣が脈動する。


「しかし……すごいな、精霊の剣って。まさか、倒した魔族の【闘気】を吸い取るチカラがあるなんてな」


 ユーリからもらったこの精霊の剣。

 魔族を倒せばその都度、魔族の持っていた闘気を吸収。


 そして持ち主にその闘気を還元する、という特殊能力を秘めていたのだ。


「……っとと」


 ふらり、と俺の体が傾く。

 ぱぁ……! と左目が光り、ユーリが顕現する。


「アインさん!」


 ユーリが俺の体を支えてくれる。


「ありがとう。ちょっと立ちくらみしただけだから」


 俺はユーリから離れる。


「アイン、さん……休んで……」


「わかってる。……次を、倒したらな」


「次?」


「アリスが敵の襲撃を予知した。今度は多い」


 俺は精霊の剣を出して、戦闘準備を整えておく。


「アインさん……死んじゃう、よぉ……」


 ぐすぐす……とユーリが涙を流す。


「大げさだって。ほら、俺は元気だから。ユーリはケガしないように、目の中に戻ってくれ。な?」


 ユーリは鼻をすすると、俺に抱きついてきた。


 柔らかく、そして温かな彼女の体に包まれていると、疲れが吹き飛ぶような気がする。


 ややあって、ユーリが目の中に戻る。


 ちょうどそのタイミングで、魔族たちが転移させられてきた。


『子爵級が10体。おぬしなら問題なく倒せるじゃろう』


『……こいつらで今日はラストみたい。頑張って、アイン君』


 俺はうなずいて、魔族たちのもとへ向かう。


「てめえだな、アインは?」


 中でもひときわ背の高い、偉そうな魔族が、俺をにらみ付ける。


「こんなひ弱そうなヤツに負けるなんて! まったくイオアナ様も他の奴らもどうかしてるぜ!」


「……はぁ」


「ああ!? なんだ、魔族様を前にその態度! ぶち殺してやろうか!?」


 偉そうな魔族が、俺を目がけて拳を振る。

 俺はタイミングを鑑定して、攻撃が当たる前に、敵の胴に1撃入れる。


「なっ!? り、リーダー!?」

「何が起きたんだ!?」


 困惑する魔族BおよびCの間を、俺はすり抜けざまに剣で一閃。


「残り7。次」


「ぜ、全員で突撃するぞ!」

「「「おおーーーーーー!」」」


 うなずく彼ら目がけて、俺は剣を大きく振りかぶる。


 精霊の剣を、上段に構える。

【斬撃拡張】を使用。


 大きく振りかぶり、闘気の乗った一撃を、解き放つ。


 ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


 まるで雷のように、斬撃が草原を駆け抜ける。


 地面をえぐりながら、斬撃は魔族7体をまとめて消し飛ばした。


 しゅぅう…………。


 10体分の闘気が、剣を通して、俺の体の中に蓄積される。


 闘気を使っても、全然枯渇することはない。


 むしろどんどん補充されていく。

 闘気量は、イオアナと戦闘したときとは、比べものにならないほど増えていた。


「終わった……」


 俺はその場に、大の字になって寝る。


「アインさんっ!」


 ユーリが俺のことを、抱き起こす。


 不安げな表情をさせてしまった。


「ごめん……ユーリ……少し、寝るわ……」


 魔族は本当に容易く倒せる。


 けれど常に気を張っていないといけないのは、思いのほか堪えた。


 一段落付いて、気が抜けたのか、俺は泥のように眠るのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] そろそろ雑魚じゃなくてイオアナを馬鹿にしてた上級魔族の、 絶望の顔が見たいところですね(サディスト)
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