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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
4章

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71.イオアナ、仲間からバカにされたあげく降格



 鑑定士アインが、精霊ユーリと楽しくデートしている、一方その頃。


 魔王城の大会議室にて。

 イオアナに対する処分を検討する会議が行われていた。


「…………」


 円卓を取り囲むのは、12人の公爵(上級魔族)と、エキドナだ。


 公爵たちは全員、イオアナに同じ表情を向ける。


 侮蔑、そして嘲笑。


「ほーらやっぱり負けてんじゃん!」


「ほんと、あんだけイキってて負けるなんてね。傑作だわ」


 前回彼らは、ヒソヒソ声で悪口を言っていた。


 だが今日は、遠慮せず悪意をぶつけられる。


 今ここは、そういう場だからだ。


「まったく! 侮って負けるのも度しがたいが、闘気を使って負けるなど言語道断!」


「ちょっと実力を疑っちゃうよね~。イオアナ、君本当に上級魔族なの?」


「ほんとはサルなんじゃねのぉ? あ、サルに負けたから、サル以下か! ギャハギャハ!」


 上級魔族が、本気を出して、人間に負けた。


 擁護の余地もない。

 だから、エキドナも魔公爵たちに注意をしなかった。


「…………」


 イオアナの体は、数日ですっかり再生している。


 魔族は人より再生能力が高い。

 上級となれば、新しい体を1から作ることも可能だ。


 しかし傷ついた名誉、そして自尊心は、修復不可能だった。


「おいおいなんとか言えよクソ雑魚イキリ野郎」


 上級魔族たちは、ここぞとばかりに、イオアナを責める。


「若くして上級入りしたエリートの天才くんよぉ、本気出して負けるってどんな気分? ねえねえどんな気分?」


「ボクは、エリートなんだぞぉ! サルに負けたけど、最年少で上級になったエリートなんだぞぉ!」


「……うる、さいなぁ!」


 イオアナは顔を真っ赤にして、机をダンッ! と拳で叩く。


「アインと戦ったことのないやつに、とやかく言われる筋合いはないよ!」


 だがイオアナがいくら凄んでも、この場に居る目の色は、誰一人として変わらない。

「ぷー。顔真っ赤にして。なになに? マケイヌの遠吠えですか~?」


「やめろ。負けた言い訳など聞きたくない。これ以上の恥上塗りはやめろ」


「そうだぞ! 上級魔族の恥さらしめ!」


 イオアナは首を振って、声を張る。


「違う! 違うんだ! 聞いてよ! ヤツは! アインは人間のくせに闘気をーー」


 と、彼らにアインの強さを説明しようとした、そのときだ。


「イオアナ、もうその辺にしておきなさい」


 今まで黙っていたエキドナが、口を開いたのである。


 いつもは微笑みをたたえている彼女。

 

 しかし今、イオアナを見る目は限りなく冷たかった。


 まるで、ゴミを見るような目だった。


「エキドナ様! もう一度! もう一度アインと戦わせてよ!」


 イオアナは立ち上がり、切羽詰まった声で言う。


「今度は負けない! あいつの首を取ってくるからさぁ……!」


 しかしその場に、しらけたムードが漂う。

 公爵たちは、呆れた表情でため息をついてた。


「ここまで来るとさーなんか哀れよね」


「う、うるさい! そんな目で! ボクを見るなぁああああああああああ!」


 魔公爵のひとりに、イオアナが拳銃を向けた、そのときだった。


「イオアナ。いい加減にしなさい」


 イオアナは気付くと、エキドナの手の上に居た。


「は……?」


 一瞬、何が起きたのかわからなかった。


 だがすぐに理解する。


 遠くに、イオアナの体が、倒れていた。

 首から下がない。


 イオアナの頭部だけが、エキドナの手の上に乗っていたのだ。


「イオアナ。あなたにはすごく、期待してたのよ?」


 エキドナは指先から、血を滴らせている。

 おそらくあの一瞬で、イオアナの首を切断したのだろう。


「けれど二度のミスをしただけでなく、反省もせずに負けた言い訳をする。あなたには心底、失望したわ」


 深々と、エキドナがため息をついた。


「そっ、そんな! まっ、待ってよ! ねえ待って! 見捨てないでよ! エキドナ様ぁ……!」


 子供のように、イオアナが情けない声で言う。


「お願いだよ! もう一回チャンスをくれよぉ!」


「ダメ。あなたは二度のチャンスをふいにして、あなたは私の期待を裏切った。もうあなたは……不要」


「ふ、不要って……まっ、まさか……ぼっ、ボクを殺すの?」


「いいえ、そんなことはしないわ。ただ、あなたの座っている席から、外れてもらうということ」


「そ、それって……いっ、嫌だっ。認めない! そんなの認めないぞ!」


 公爵たちは、嘲笑を浮かべながら言う。


「見苦しいぞ元エリート。エキドナ様のいうことは絶対なんだよ」


「そうだそうだ! おまえの降格は決定事項なんだよ! ばーーーーーか!」


「当然の結果だ。サルに二度の敗北。しかも闘気を使って負けるなど、我ら上級魔族にふさわしくない!」


「つーわけで元エリートのクソ雑魚イオアナくんは、負けた責任をとって降格。1個下の侯爵からやりなおしでぇす!」


「「「ギャーハッハッハーー!」」」


 ……ギリッ、とイオアナは歯がみする。


 噛みすぎて、バキッ……! と奥歯が割れた。


「さよなら、イオアナ。今までよく働いてくれました」


 エキドナがこつ……こつ……と歩く。

 会議室のドアを開ける。


「ま、待ってエキドナ様! お願いだ! もう一度! もう一度チャンスを!」


 ……と、そのときだ。


 イオアナは気付けば、魔王城の外で転がっていた。


 また、エキドナが能力を使って、一瞬でここまで運んだのだろう。


「…………」


 冷たい地面に、イオアナは無様に転がっている。


「チクショウ……」


 怒りの炎が、体の奥から湧き上がってくる。


「チクショウチクショウチクショぉーーーーーーーーーーーーー!!」 


 イオアナの叫び声が、魔界の空に響く。


「これもすべて全部! あのアインのせいだ! ボクを馬鹿にしやがって! あのクズが! あのサルがぁーーーーーーーーーーーー!」


 憎しみで人を殺せるなら、アインはとっくに死んでいるだろう。


 しかし現実問題、そんなことはあり得ない。


 今もどこかで、あのサルは、アホ面をさらして生きてるのだ。


 言うに事欠いて、サル以下と言った、あのサルは。


「殺す! 絶対殺す! 覚えてろよあのクソ猿! 絶対に! 絶対に許さないからなぁーーーーーーー!」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一番したの公爵っていってますが男爵ではなく公爵なのはそのまま何ですか? 他にもエキドナは何故イオアナを助けたんです?責任取らせて首だけで放り捨てるならあの場でアインに殺されても変わら…
[一言] 場面が完全に無惨様のパワハラ面接なんだよなぁ…
2020/01/25 19:16 退会済み
管理
[気になる点] どうせ見捨てるんだったら、 ほっといて主人公に殺されても良かったんじゃね? 殺されそうなところを助けて連れ帰ってるんだから、 見捨てると見せかけてまだ期待しているというか、 利用価値が…
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