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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
4章

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70.鑑定士、ユーリとデートする


 第4隠しダンジョンでの騒動を終え、俺たちは屋敷へと戻ってきた。


 それから数日後の昼。

 俺は、ユーリとともに、王都へと訪れていた。


 王都中央にある、噴水広場にて。


「デートっ♡ アインさん、と、ふたりきりっ!」


 おめかししたユーリがふにゃふにゃと笑っていた。


 なぜこうなっているか?


 先日の一件で、ユーリたちの姉が、人殺しをしてるかもと言う話になった。


 別人ということで処理された。

 それでもユーリの心には、不安の影を落とすことになった。


 気晴らしにでもなればと思い、俺は一緒に出かけないかと誘った次第。


「アインさん、から……デートのお誘い! 天に、昇る……気分です~♡」


 えへへとユーリが笑う。


 しかしデート、か。


 俺、友達すら居なかったから、誰かとどこかを回るってこと、したこなかったな。


『ちょっとお兄さん! なにやってるのー!?』


 脳内にピナの声が響く。


『お姉ちゃんがおめかししてるんだよ! ほめなきゃ!』


 俺はユーリを見やる。

 確かに今日は、一段とキレイだった。


 普段はシンプルな服装。

 しかし今日はどことなく気合いの入っていそうな、洒落た服を着ていた。


「……あー、その。に、似合ってる、ぞ」


「えへへっ♡ わーい♡」


 ユーリが諸手を挙げて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。


 ゆっさゆっさ、と乳房が揺れていた。


 普段の服よりも、なんだか谷間がよく見えるデザインだった。


 改めてみるとデカいな……。


『ほらー! お兄さん褒めないと! おっぱいでっかいですねー! って!』


「じゃ、ユーリ。行くか」

「はいっ♡」

『ちょっ! 無視すんなしー!』


 ユーリとともに、王都のメインストリートを歩く。


 日中だからか、かなり混んでいた。

 なかなか前に進まない。


「迷子にならないようにな……って、ユーリ?」


 後を見やると、ユーリがいなかった。


 遥か後方に、彼女の金髪が見える。


 人の波を縫って歩き、ユーリの元へとやってきた。


「はぐれるなっていったそばからおまえ……」


「わ、わー。ひとがいっぱい、だなー。これ、は、迷子に、なっちゃうよー」


 超棒読みで、ユーリが言う。


「これ、は、手を繋がないと、危険だなー」

「…………」


「危険、だなぁー」

「……わかった。ほら」


 俺はユーリに、左手を差し出す。


「♡」


 ユーリは太陽のようにまぶしい笑みを浮かべると、俺の腕に抱きついてきた。


 むにゅ~♡ と、腕が、彼女の柔らかすぎる胸に沈む。


「お、おまっ、離れろよっ」

「え、えー? なんです、かー? 人が多くて、聞こえ、ないな~」


 やけに積極的だった。

 どうせピナに色々吹き込まれたのだろう。


 まあさておき。


 俺はユーリとともに、昼食を取るため、レストランにやってきた。


 天気が良かったので、店の外の席にしてもらう。


 俺たちはテーブルを挟んで、向かい合うように座っている。


「アイン、さん。その【メガネ】、どうした、んですか?」


「これはジャスパーが手配してくれた【認識阻害メガネ】っていうんだ」


 かけると別人に変装できるという魔法道具だ。


 俺の顔は、結構知られている。

 外を歩くとかなり目立つので、変装しているのだ。


「さすが、アインさんっ。ゆーめーじん、ですっ! わたし、うれしい、です!」


「どうして俺が有名だとうれしいんだ?」


「だって、わたし、アインさん、だいすきですっ! 好きな人、ゆーめーじんだと、わたし、とてもうれしいです!」


「えっと……どっ、どーも」


 なんだろう。

 頬が熱い。


 ユーリの笑顔が、やけにまぶしく見える。


「アイン、さん?」

「めっ、メシにしようぜっ。何食べる?」


 ユーリにメニューを渡す。


 じーっ、とユーリがメニューに目を落とす。


「アイン、さん。字が……読めません!」

「え、そうなのか?」


「はい、さっぱり、です。なのでっ」


 ユーリは立ち上がると、イスを持ち上げ、俺のとなりにイスを置く。


「どっこい、しょー。ふー」

「いやあの……ユーリ? おまえ何してるんだ?」


「メニュー、読めません! 読んで、ください!」


 ユーリは俺の真横。

 本当に密着するレベルで、隣に座る。


「いやその……」

「……しょぼーん」

「ああもう、わかったよ!」


 俺はユーリが指さす文字を、読み上げる。

 彼女が動くたび、胸がひじに当たる。


 めちゃくちゃ柔らかい。

 なんだこれ気持ちいい……。


 一通りメニューを読み上げ、ユーリはカレー、俺はパスタランチを頼む。


 ややあって、テーブルの上に料理が運ばれてくる。


「わぁ♡ おいし、そー! はやく、たべ、ましょー!」


「ああ……。その、ユーリ? どうして隣に座ったままなんだ?」


「え、えー? なに、か、おかしい、ですかー?」


「前の席が空いてるだろうが……」


「わたし、ここ……好き! ここわたしの、領域!」


 むんっ、とユーリが両手を広げる。

 移動する気は、さらさらないらしい。


 二人並んで、俺たちは昼飯を食べる。


 だがすぐ近くに彼女の顔があって、俺はドギマギしてしまう。


 ……近くで見ると、ユーリは本当に美人だ。


 顔はびっくりするほど小さい。

 唇はみずみずしい果実のよう。


 さらさらの金髪は、金糸で編んだ高級な織物のようだ。


「アイン、さん。どーした、の?」


「えっ!? いや!? なんでも!?」


 仕舞ったオーバーリアクション過ぎたか……。


 じーっ、とユーリが俺を不審そうな目で見る。


「わかり、ました」しまったさすがにバレたか「カレー、食べたいんですね!」良かったバレてなかった。


 ……バレる?

 良かった?

 何のことを言ってるんだろうか、俺は……?


「はい、アイン、さん。あーん♡」


 ユーリがカレーを一口掬い、スプーンを俺に向けてくる。


「あーんっ♡」


「あ、はい……」


 ユーリから有無を言わさないオーラが出ていた。


 俺は一口、食べる。


「おい、しー?」


「ああ、すっごく……」


 正直緊張で味がわからなかった。


「それは、良かった♡」


 ユーリはそのスプーンで、普通にカレーをパクッと食べる。


「お、おいっ! 新しいのに変えてもらえよ?」


「え? どうし、て?」


「いやそれ間接キス……」


「? !」


 かぁあ……とユーリの頬が赤く染まる。


 今頃気付いたのか……。


「俺、新しいのもらってくるよ」


「い、いいえ! だいじょうぶ、です!」


 ユーリが俺の腕をひっぱり、にっこり笑う。


「大丈夫、ですので! むしろ、ごほーび、ですので!」


「そ、そうか……」


 ユーリが首まで真っ赤にして言う。

 俺もまあ……たぶんそんな感じだったと思う。


 そんな感じで、俺たちはランチを食べたのだった。

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