表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/245

57.鑑定士、威嚇するだけで雑魚を倒す



 国王から貴族の地位をもらった、半月後。


 俺は【領地】へと向かっている最中だった。


 午前中。

 草原を歩く馬車の中にて。


「アイン、さん。領地、どうして……もらった、の?」


 俺の隣に座っている、精霊ユーリが、首をかしげる。


「ヒュドラを倒したご褒美に、王様から、国が所有する土地をもらったんだよ」


 貴族になると言うことは、国から【名字】、そして治めるべき【領地】をもらうことだ。


 治める土地の名前が、その領主である貴族の【名字】となる。


「もらっ、て……どー、するんですか?」


「別にどうもしない。俺が貴族になったのは、世界樹捜索に役立つかなと思ったからだ。別に領地をもらったからってそこで何かをしようとは思ってない」


「じゃ、あ……アイン、さんは、どーして、領地……いくの?」


「領民たちへの挨拶。領主としての仕事はジャスパーとミラがやってくれてることになったんだが、さすがにこればかりは本人がいかないとなってことらしい」


 まあ成り行きとは言えグループの頭になったのだから。


 そこで働く人たちへの挨拶は、しないとな。


「それ、で……どう、して……【ペトラ】ちゃん、いるの?」


 ちらっ、とユーリが、俺の右隣に座っている少女を見やる。


 彼女はペトラ。


 肌は少し焼けており、髪は赤みがかった茶。


 ショートカットに八重歯が、彼女に活発なイメージを与える。


 そして特徴的なのは、薄着から覗くその大きな胸だ。


「アイン君の治めることになった【レーシック領】は、あたしの元いた村があるとこなんだよね」


 どうやら国王が気を回してくれたようだ。

 多少なりとも面識のある人の居る領地の方が、やりやすいだろうと。


「あたしは村までのガイド兼、村のこと何も知らないアイン君のためのサポートのためについてきてるんだっ」


 ちなみにこのペトラ。


 俺が去った後、自力で俺の居場所を突き止めて、それ以後、屋敷に住んでいるのだ。


「ところでアイン君。この先ちょっと気をつけた方が良いよ。モンスターが多く出る森を通過するから」


 窓からチラッ、と顔を覗かせる。


 街道が森の中へと伸びている。


「ゴブリンとかオーガとかも出て結構厄介なんだ。気をつけないと」


「問題ない」


「わぉ。すごい自信。ま、アイン君めちゃつよだもんね! 敵が出てきても、こう、ずばーん! ずばーん! と剣で倒しちゃうもんね! さっすがあたしのダーリン♡」


「むぅ、アイン、さんは……みんなの、アインさん、だもんっ」


 二人の巨乳美少女が、俺の腕をむぎゅーっと抱きしめる。


 なんだこりゃ……やわらけえ。


 そんなふうにしてると、馬車が森の中に入った……そのときだ。


 ドサッ……!


 と、何か大きなものが、倒れる音がしたのだ。


「え? 何今の音」


「アイン様」


 御者台から、お世話係をしてくれている獣人の女性【ミラ】が、俺を呼ぶ。


「ゴブリンです。ただおかしなことに、わたしたちが近づいた途端に倒れまして、不審に思って報告しました」


 窓から顔を出すと、進行方向に、ゴブリンが3体いた。


 全員が白目をむいて倒れている。


「なぜ死んでいるのでしょう? ……まさかこの辺りに毒が?」


「いや、問題ない。俺が能力アビリティを発動させて倒したんだ」


「なにそれアイン君、どーゆーことなの?」


「【竜血強化】って能力をこの間手に入れたんだ。これは文字通り竜の血を体に巡らせ、基礎体力を向上させる」


 魔族ドラゴ・ニュートから鑑定コピーしておいたのだ。


「けどこの能力、身体強化だけじゃないんだ。竜の血が通うことで、竜と同格の存在になれるんだよ」


「つまり、まり……どーゆー、こと?」


「モンスターたちの力の序列から言うと竜ははるかトップの存在。出会っただけで恐れおののき、弱い奴らはヘタしたら死ぬ」


「なるほど! アイン君のことをモンスターたちは竜と勘違いして、びびってションベンちびったり、気を失ったり、最悪死んじゃったりするってことだねっ」


 もっとも竜による威嚇が通じるのは、竜より下位の存在だけだ。


 だとしても、これで弱い敵との無駄な戦闘を行わなくて言い。


「すっごいじゃんアイン君!」


「さすがです、アイン様。世界広しといえど、モンスターを直接手を下さず倒せるのは、あなた様しかおりません」


 おおー、と美少女3人が俺にキラキラした目を向けてくる。


「ほらいいから、先進もうぜ」


 ミラが馬車を動かす。


 モンスターの出るという森の中を、俺たちはいっさい出くわすことなく進んでいった。


「ひゃー、ゴブリンもオーガも……あ! あっちには大熊ビッグ・ベアが倒れてる! たしかCランクだよ!」


 窓の外にはモンスターたちの死骸が、ゴロゴロと転がっていた。


「はー……ほんっとアイン君って強いんだなぁ。うんっ! ますます大好きになったよ!」


 ペトラが俺の体をキツく抱きしめる。

 フルーツのような、甘酸っぱい香りと、ゴムのような弾力がした。


「むー! ペトラ、ちゃん! ぬけが、け……えぬじー、です!」


「じゃあユーリちゃんも抱きつけば良いじゃん!」


「うう……て、てりゃー」


 ユーリもまた俺の体に抱きつく。


 や、やわらかいのと、張りのあるのとが、ぶつかって……と、とんでもないことになってた。


『……アイン。オーガ・キングが進行方向に居る』


「す、すまんな! なんか強そうな敵が居るらしいから! 直接倒してくるな!」


 俺は窓から飛び降りて、【飛翔】スキルで空を飛ぶ。


「ウルスラ。助け船ありがとな」


『……ふん。別におぬしを助けたわけじゃない』


 しばらく飛んでいくと、デカい大鬼オーガが、そこにいた。


『オーガ・キング。Bランクモンスターじゃな。おまえからしたら羽虫同然じゃろう。【不屈】という精神力を向上させる能力を持っておる』


 なるほど、だから竜の威嚇が効かなかったのか。


『な、なんだてめえ……竜かと思ったら、ただのガキじゃねえか!』


 オーガ・キングがニヤリ、と笑う。


『脆弱な人間のくせに、びびらせやがって!』


 Bランクモンスター……か。


 思えば俺は、Dランクの地獄犬ヘルハウンドにすらおびえていたな。


 Bランクなんて、今の俺にとっては、動物のようなものだ。


「で? どうする? ここで俺を殺すか?」


 俺はオーガ・キングを、軽くにらみ付けた……そのときだ。


 ドサッ……! 


「……は? 嘘だろ?」


 オーガ・キングはその場で仰向けに倒れ、死んでいた。


「マジかよ……ちょっとにらんだだけじゃないか」


『無理もない。こいつにとっては古竜に、間近で、殺意を向けられたのと同じだったのじゃ』


 ややあって、ミラの運転する馬車が俺の元へとやってくる。


「すごいです……アイン様。オーガ・キングはベテラン冒険者でも手を焼く相手、それを威嚇だけで倒すだなんて……♡」


 ……その後も俺は出てくる低ランクモンスターたちを威嚇だけで退けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさに武器要らず、ですなw 「蚊取り線香か殺虫剤?」 失礼な…って聞こえてきそうw
[一言] ユーリと他の差別化をしないと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ