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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
3章

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54.鑑定士、ヒュドラを1撃で倒す



 村の怪我人を助けた数日後。


【千里眼】が、敵が襲撃する未来を捕らえた。


 俺はそれを未然に防ぐべく、王都北部の平原へとやってきていた。


 そこにいたのは、9つの首を持つ巨大な竜だった。


『ヒュドラ。古竜種じゃ。SSランクモンスター。【薬毒生成】という能力を持ち、外皮は常に猛毒の粘液で覆われておる。その下には鋼のような鱗を携えておるな。毒を吐き出す攻撃もしてくる。注意せよ』


 俺は改めてヒュドラを見やる。


 胴体が1つで、頭が9つ。

 全体を紫色の粘液で包まれていた。


『なんだ貴様はぁ……?』


 頭の1つが俺を見下ろす。

 残りの頭部が、口々に俺を見て言う。


『よく見たら標的の小僧ではないか!』


『こやつのいる王都を狙えというのがミッションだったのに、ターゲットがなぜここに?』


『何でも良いではないか! このような軟弱そうなサル! ひとひねりよ!』


 ……どうやらベヒーモスと違って、こいつは誰かに命令されて、王都へ向かおうとしていたらしい。


「おまえらもあのダークエルフに命令されたのか?」


『ハッ……! そんなこと今から死ぬ貴様には何も関係ない!』


 例によって余裕ぶっこいてる敵。


 一方で、精霊アリスの声が聞こえてくる。


『……アイン君。だめ。千里眼で覗いたけど名前までは特定できない


「わかった。サンキュー。頼んでおいた【シミュレーション】の結果は?」


『……大丈夫。【効かない】。問題なく倒せるよ』


 よし、と俺がうなずく。


『なんだ小僧? 貴様このわれらが話しているのに、他人と会話するとは良い度胸だなぁ?』


「ああ。今、おまえたち相手に勝ちが確定したって未来が見えたところだ」


『ハッ……! ほざけ!』

『軟弱なサルのくせに!』

『われらの死毒……とくと受けてみよ!』


 ヒュドラがぐぐっ、と首をそらす。

 

 ビュッ……!


 その口から吐き出された毒液の塊が、俺めがけて飛んでくる。


 俺は避けなかった。

 すでに【鑑定】は終えているからだ。


 バシャッ……!


 俺の体に、大量の毒液が浴びせられる。


『はーっはっは! 恐怖で足がすくんだか!』


『それは致死性の毒よ! あびただけで脆弱な人間なんぞ即死!』


『我らに大口を叩いた割に、あっけない最後であったなぁ!』


 俺はポケットからハンカチを取り出し、顔についた毒液を拭って捨てた。


「で?」


『『『はぁ~~~~~~~~~!?』』』


 ヒュドラたちの目が、大きく見開かれる。


『そ、そんなばかな!!』

『1滴で古竜を即死させるほどの猛毒だぞ!?』

『なぜ効いてない!?』


「残念だが俺には【耐性・全状態異常】って能力がある。俺に毒は効かない」


『『『なんだとぉ~~~~~~!?』』』


 俺はため息をついて、悠々と歩き出す。


『く、くそ! どうする!?』


『あ、あわてるな! われらの【薬毒生成】はあらゆる毒を作れる! 相手を溶解させる毒を作れば!』


『『『それだっ!!』』』


 ヒュドラの体の色が、変化する。


 どす黒い粘液へと変わる。


『できた! 万物を溶かす強力な毒!』

『これでサルなどドロドロよ!』

『死ねえええええええええ!』


 ビュッ……!


 ヒュドラが吐き出した溶解毒の毒液を……俺はひょいっ、と左に飛んで避ける。


 すでに着弾地点は千里眼で見ていた。


『避けられたぞ!』

『偶然だ!』

『今度は溶解毒を雨のように細かく広範囲に降らせるんだ!』


 首を上空に向け、ヒュドラが口をすぼめて、毒を吐き出す。


 ぶしゅうぅううう………………。


 毒の雨が、俺のいる一帯に降り注ぐ。


『これで小僧もよけられまい!』


 まあ避けられないが、何問題は無い。


「黒姫」

『心得ております♡』


 俺の周りを、球体状の結界が包み込む。


 溶解毒の雨が結界に触れる。

 だがバリアに弾かれるだけだ。


『げぇええ!?』『な、なんだそれは!?』


 玄武の結界が強いことは知っていた。

 しかし溶解毒を防げるかはわからなかった。


 そこでアリスに【結界で溶解毒を防げるか否か】、未来を見てもらった。


 結果、問題なく防げた。


 だから俺は特に回避しなかったのだ。


「さて……駆除するか」


 俺は精霊の剣を取り出し、ヒュドラたちの元へ、悠然と歩み寄る。


『ど、どうする!?』

『お、落ち着け! 考えても見ろ! やつは防御で手一杯だ!』


『そ、そうだ! しかもこちらは溶解毒の粘液で包まれている!』

『ヤツの剣は、毒で溶かされわれらには当たらない!』


 ご丁寧に慢心してくださってる。


 そのおかげで、俺はヒュドラまで、問題なく接近できた。


 俺は【斬鉄】を使用。


『バカめ! 剣など通じぬわ!』

『貴様の愛剣をドロドロにとかしてくれる!』


 俺は思い切り、ヒュドラの体めがけて剣を振る。


 ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 ヒュドラの9つの首は、すべて切断できた。


 精霊の剣は……刃こぼれしていない。


『『『バカなぁあああああああ!?』』』


 首だけとなったヒュドラたちが、驚愕の表情を浮かべる。


『あらゆるものを溶かす溶解毒だぞ!?』

『なぜ剣が! そして剣撃が通るのだ!?』


「それはな、俺が【能力無効領域】を展開させてるからだ。自分の体、見てみろ」


 さっきまで真っ黒な毒に包まれていた、ヒュドラの体。


 しかし今、やつらの体に、毒はなかった。


「能力を無効化させる領域を展開した。おまえらの毒は【薬毒生成】って能力で生み出しているんだろ? その能力を無効化すれば、毒は生成されない」


 表面を覆う溶解毒がないのなら、剣が問題なく通るという次第だ。


『そんな……ばかな……』

『こんなひ弱なガキに……われら古竜が……1撃で……』


 切断された9つのヒュドラの頭から、次々と生気が抜けていく。


 俺は死体から能力を【鑑定コピー】する。


『薬毒生成(S+)』

『→あらゆる薬・毒を生成することが可能』


『万毒耐性膜(S+)』

『→溶解毒を含め、あらゆる毒から身を守る特殊な【膜】で体を覆う』


『並列同時思考(S+)』

『→複数の物事を並列で考えることができるようになる。分身がある場合は、彼らに思考力を与えられる』


清拭せいしき(S+)』

『→微生物・汚れのみを溶かす特殊な毒を生成し、体や服の汚れを一瞬できれいにする』


 試しに【清拭】を使用してみた。


 毒で汚れていた体や服が、一瞬のうちにキレイになって、実にさっぱりした気分になった。


『しかし古竜を1撃で倒すか……強くなったのじゃな、アイン。さすがわしが認めた、ユーリの守り手じゃ』


 ウルスラが心なしか、上機嫌で言う。


「ありがとな。おまえらが力をくれるおかげだよ」

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― 新着の感想 ―
最初から能力無効領域を使えば良いのでは? わざわざ未来を見て結界が有効かどうかを確認して結界張って防御とか意味不明 例えば能力無効領域を展開できる間合いが入っていないとかの設定があるなら、その一言をが…
[気になる点] あらゆる毒を生成するとかいうスキルを手に入れた瞬間に 別の毒能力を手に入れるというのはおかしいかと
[気になる点] 『薬毒生成(S+)』 『→あらゆる薬・毒を生成することが可能』 『清拭 せいしき (S+)』 『→微生物・汚れのみを溶かす特殊な毒を生成し、体や服の汚れを一瞬できれいにする』 この…
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