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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
3章

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48.鑑定士、剣聖の亡霊(ボス)と戦う



 雑魚を蹴散らしながら、俺は精霊アリスたちとともに、地上を目指していた。


 そして、俺たちはたどり着いた。

 

「ここって、迷宮主ボス・モンスターの部屋だよな」


 見覚えのある、大きくて禍々しいデザインの扉。


『地上へはここを通らねばならぬぞ』


「ボスを倒さないといけないわけか。事が終わるまでここで待っててもらうってのも、危ないしな」


 待っている間にアリスが敵に襲われるかもしれないからだ。


 俺はおんぶしているアリスを、下ろそうとする。


「…………」


「あの……アリス? 降りてくれないか?」


 アリスがぎゅーっと、俺の体に力を入れてくる。


「怖い気持ちはわかる。だがさすがにボスをおまえ背負ったまま無傷で倒すのは難しい。頼む」


 アリスはこくり、とうなずいて、俺から降りる。


「……アインくん」


「どうした?」


「……がんばって」


 俺はうなずき、扉をあけ、ボス部屋の中に入る。


『敵は【生きる屍リビング・デッド】じゃ。死んだ人間の肉体が魔物化したものだな。生前は【剣聖】をやっていたらしい』


 部屋の奥に、鎧武者が座っていた。


 がしゃり……と音を立てて、ゆったりとした歩調で近づいてくる。


『生きる屍は生前の技能を能力アビリティとして使う。斬撃を飛ばし、遠隔の敵を斬れるようになる【斬撃拡張】と、間合いに入った敵に神速の一撃を食らわせる【居合い抜き】を組み合わせて戦ってくる』


 なかなか難敵のようだ。


 鎧武者が腰を落とし、居合いの構えを取る。


『斬撃拡張のおかげで間合いが極限まで伸びている。あそこから居合抜きをしてくるぞ』


「【超鑑定】」


 動体視力が強化。

 その途端、鎧武者の動きが止まる……はずだった。


 だが鎧武者の手元は、普段通りに動き、居合いを放ってきた。


 斬撃が伸びる。

 俺の胴を真っ二つにする攻撃だ。


 Sランクの動きすら止めるほどの動体視力の中。


 やつは普通に動けている。

 それほどまでに、居合抜きの速さが異常なのだろう。


 だが何も問題ない。


「【超鑑定】」

『→攻撃反射のタイミング』


 鎧武者の伸びる斬撃を完璧に見切り、俺は精霊の剣で弾く。


 パリィイイイイイイイイイイイン!


 斬撃をはじき返す。

 鎧武者の体に、やつが放った斬撃がおしよせる。


 しかし……。


 ザンッ……!


『どうやらおぬしがはじき返した斬撃を、居合抜きで切り伏せたようじゃな』


 弾き飛ばした攻撃は、倍になって返される。


 すでに神速を越えた斬撃を、それを越える速度で斬るとは。


『居合いを放ってくるぞ。今度は2連撃じゃ』


 弾き飛ばしても、おそらく同じように居合抜きされるだけだ。


 俺は【不動要塞】を発動。


 その瞬間、俺の胴と肩に、凄まじい衝撃を感じる。


 俺は【背面攻撃バック・アタック】で鎧武者の背後にテレポート。


『居合いが来るぞ』


 俺は攻撃の軌道を鑑定。

 やつの攻撃が来るのと同時に、また攻撃反射と、そして【仕込み】をしておく。


 パリィイイイイイイイイイイイイイン!


 刀を直接弾かれ、鎧武者が体勢を崩す。


 だがすぐさま居合いの構えを取る。


 なるほど、剣聖なだけあってやるようだ。

『また来るぞ、アイン!』


 俺は攻撃反射をはなち、体勢が崩れている。


 がら空きの土手っ腹に、鎧武者が神速の居合抜きを放とうとした……そのときだ。


 すぽん……!


 鎧武者の手から、刀がすっぽぬけたのだ。

 刀が明後日の方向へ飛ぶ。


 その間に、俺は【斬鉄】を使用し、鎧武者を縦に一刀両断した。


 がしゃん……と鎧武者が崩れ落ちる。


 すっ飛んでいった刀は、途中で方向を変え、俺の手元へと飛んできた。


「よし、終わった」


 俺はアリスたちの元へ行く。

 

 彼女たちはぽかんとした表情のまま、突っ立っていた。


「勝ったぞ」


「あ、あんちゃんたち……なにしてたんや? 速すぎて何してたわからんかったわ」


「端的に言えばボスを倒した」


「い、いやいや! 相手Sランク以上の敵やろ!? それも相手ごっつ速い動きしとったやん!」


「ああ。それでもユーリからもらった【神眼】はちゃんと目で追えてたよ」


「はぇ~……異次元の戦いやったわ。あんたほんとすごいやっちゃなぁ」


「……さすが」


 アリスが小さくパチパチと手を叩く。


「途中で敵の刀がすっぽ抜けたのは、偶然だったんか?」


「違うよ。攻撃反射パリィしたとき、相手の刀に【粘糸ねんし】をつけたんだ」


 精霊の剣の切っ先から、刀の腹に、蜘蛛の糸のような粘ついたそれがくっついている。


 粘糸はガムのようにくっつき、そしてゴムのように伸縮する。


 鎧武者が刀を振った瞬間、刀が精霊の剣にひっぱられて、すっぽ抜けた次第だ。


「はぁ~……あの超高速な戦闘の中、即座に戦術を組み立てるなんてなぁ。さすがやで、兄ちゃん!」


 バシバシッ! と朱羽あかはねが俺の背中を叩く。


 一方で、アリスは俺の元へやってくる。


 肩と腰を、ぺたぺたと触ってくる。


「どうしたんだ?」


「……良かった」


「あんたが攻撃受けたやろ? 傷を負ってないかってうちの子は心配しとるんや」


「大丈夫だよ。防御してたからな。心配してくれてありがとよ」


 俺はアリスの髪の毛をなでる。


「…………」


「兄ちゃんほんま天然のたらしやなぁ。見てみぃうちの子の幸せそーな顔。うれしすぎて今にも卒倒しそうやわ」


 何のことを言ってるんだか……。


 その後、俺は鎧武者から能力をコピー。


【斬撃拡張】と【居合抜き】を手に入れた。

 また剣聖の使っていた刀は【聖剣】と呼ばれる特殊な刀だった。


 それと迷宮核を手に入れた。

 いつも通りウルスラに頼み、義眼をレベルアップしてもらおうと思ったのだが……。

「レベル上がらないな」


「おそらく神眼となったことで、必要とされる経験値……つまり迷宮核の数が増えたのだろう」


「1個じゃもう神眼はパワーアップしないわけか」


 まあ、何はともあれだ。


「アリス。待たせたな。これで地上までもう一直線だ」


「……そう」


 アリスがうつむいて言う。


「……残念」


 大好きな家族に会えるっていうのに、浮かない顔してるな。しかも残念って?


「そりゃ兄ちゃんにもうおんぶしてもらえないのが、さみしーって思っとるんやろ」


「なんだそんなこと。言ってくれればいつでもおんぶするぞ」


 アリスの目がクワッと見開かれる。


 俺に近づいて、手を取り、見上げてくる。

「……本当?」


「あ、ああ……いつでもお安いご用だ」


「……そう」


 ぱっ……とアリスが手を離す。

 そして、ふふっと、アリスが微笑んだ。


「はーうちの子が! ラブコメしとる! 年中無休で仏頂面しとったうちの子が! 兄ちゃんのおかげで生き生きとした女の顔をしとる! オカンはほんまうれしいでぇーーー!」


 ……朱羽がなおも意味不明なことを言ってた。


 こうして、俺は迷宮主を下し、アリスとともに、隠しダンジョンを突破したのだった。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話はほんとに面白いです [気になる点] 【斬撃拡張】 斬撃が伸びるのか飛ぶのかハッキリして欲しい 見た感じだと魔力とかなんやかんやで剣の延長になって 間合いが広がる的な感じにしか見えない
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