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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
2章

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35.鑑定士、ベヒーモスと戦う



 数日後。


 俺は、西にある隣国へと赴いていた。


 そこは一面砂漠の国。

 四季は存在せず、1年中真夏のような日々が続いている。


 地平の先まで続く砂漠。

 照りつける灼熱の太陽。


 この砂漠地帯に、古竜が出現したという。


『古竜ベヒーモス(SS)』

『→岩のような巨体を持つ古竜種。竜と名がつくが空は飛べず、地を這い進む地竜に近い存在。その外殻は魔法を吸収し魔力に変換する。【螺旋弾】と呼ばれる、空間を削り取る空気の弾を打ち出す』


 ベヒーモスは夜行性らしく、日中は砂の中で潜んで、通りがかる商人や積み荷を狙うそうだ。


「さて……やるか」


 俺は精霊の剣を出現させる。

 魔法が吸収される以上、能力と剣術で対処するしかない。


『まずは砂の中からヤツを引きずり出すぞ。位置は鑑定しておる。そこへ魔法でけん制じゃ』


 俺は極大魔法【煉獄業火球ノヴァ・ストライク】を、無詠唱で発動。


 どがぁあああああああああああああああああああん!!!


 爆発による衝撃で、砂漠の砂が吹き飛ぶ。 

 隕石が落ちたような後が、俺の眼前にできた。


『……誰だ? 我の眠りを、妨げる阿呆は?』


 穴の中から、のそり……と何かが顔を覗かせた。


 翼はなく、ぶっとい四肢。

 人間の10倍……いや、20倍くらいはありそうな、巨大な竜。


「俺だよ。おまえが人に迷惑かけるから、倒しに来た」


『はーーーーはっは! これは面白いことを言うな、人間! 貴様のような、特に脆弱な人種が、魔王様自らお作りになられたこのベヒーモスに、敵うとでも本気で思っているのか?』


 どうやらベヒーモスは、俺を完全になめてかかってるようだ。


 その方が、【仕込み】が楽だ。


「思ってるよ。だからこうしてやってきた」


『その威勢だけは褒めてやろう。だが我は古竜。魔王様の次に強き者。生まれ持っての圧倒的強者だぞ?』


「なら魔王もたいした強さじゃなかったんだな」


 その瞬間、空気が変わった。


『……魔王様を侮辱しおって。死ぬが良い』


 ぐあ……! とベヒーモスが口を開く。


『螺旋弾を打ってくるぞ』


「手は打ってある。大丈夫だ」


 ベヒーモスが俺めがけて、弾丸を撃ち込む。


 ボッ……!


 着弾地点に……さっき極大魔法で打った穴と同じくらいの大穴が空いてた。


『なっ!? ど、どうなっておる! 我の弾丸が! どうして当たらぬ!?』


「老眼で目がかすんでるんじゃないか?」


『ほ、ほざけぇえええええええ!』


 ボッ……! ボッ……! ボッ……!


 螺旋弾が俺の周囲に着弾するが、しかし、絶対に俺には当たらなかった。


『なぜだ!? 貴様は一歩も動いておらぬのに!?』


「答えてやる義理はねえな。……さて、狩りを始めるか」


 俺は精霊の剣を出して、ベヒーモスめがけて走る。


『人間ごときが、地の王である我に砂のフィールドで適うと思うか!』


 まあ人間が普通に走ったのでは、砂漠では鈍足になってしまうだろう。


【超加速】を使用。


『なぁっ……!? な、なんだその速さは!?』


 驚くベヒーモスの右前足を、【斬鉄】を使用した剣でぶった切る。


『ぐぁああああああああああああああああああああああ!!!』


 ベヒーモスはその場でのたうち回る。


『バカなっ!? 我の外皮は【神威鉄オリハルコン】並に硬いのだぞ!?』


「たいしたことねえな、おまえの防御力」


『ほ、ほざけぇえええええええええ!』


 ベヒーモスが俺めがけて、螺旋弾を連射する。


 だがその1発も、俺には当たらない。


『なぜだあ!? なぜ当たらぬ!? 敵は回避をしていないのに!?』


『おー、幻術はバッチリはまってるみたいだね、お兄さん』


 ピナが、俺にだけ聞こえる声で言う。


 ベヒーモスには、幻術をかけたのだ。

 やつが余裕たっぷりに俺を見下している隙に、である。


「さっさと俺を地中から殺せば良かったのによ。侮るからだ」


 俺はすぐさま移動。

 今度は右後ろ足を、剣で切り飛ばす。


【斬鉄】の威力は凄まじい。

 こんなぶっとい足を、オリハルコン並に硬い外皮ごとぶったぎってるからな。


『く、くそっ! 撤退だ!』


 そう言って、ベヒーモスが地中へと潜っていく。


『こやつは地上よりも地中での移動速度が速いみたいじゃな』


『そうっ! 我は本気ではなかったのだ! 地に潜った我の真の強さにおののけ人間!』


 ベヒーモスが完全に視界から消える。


『ベヒーモスは、じらして20秒後に小僧の真下に出現し、まるごと貴様を飲み込むつもりじゃぞ』


「了解。ピナ。幻術は解いてくれ。黒姫くろひめ、頼む」


『あいあいさー!』『かしこまりました♡』


 ややあって。


 モコッ! と俺の足元の砂が膨れ上がる。

 きっかり20秒後。


 ベヒーモスは俺の足元に出現すると、そのまま俺を、まるごと飲み込んだ。


『ハーハッハッハー! どぉおだぁああああああああ! 人間ごときが、我に楯突いたからこうなるのだぁああああああ!』


 俺はやつの食道へと落ちていく。


『脆弱な猿のくせに調子に乗るからこうなるのだ! はーっはっはっはっはーーーー!!!』


 と、そのときだった。


 どがぁあああああああああああああああああああああああん!


『ぐ、ぐあぁあああああああああああああああああああああ!!!!』


 突如、ベヒーモスの体が、破裂したのだ。

 その巨体は爆発四散。

 丸呑みされていた俺は、外へと脱出できた。


『な、何が起こったのだぁ!?』


 体がバラバラになり、首だけになったベヒーモス。


「おまえの体に、極大魔法をぶっぱなっただけだよ」


『ありえぬ! 我の体は、魔法を吸収する! 現に最初の貴様の極大魔法は防いだではないか!?』


「おまえは魔法を吸収する外皮を持つだけだ。体の内側から放った魔法は、防げない」


『密閉された我の体の中で、そんな強大な威力の魔法を放ったら、貴様も無事では済むはずがないだろ!』


「おまえは俺の張った【結界】ごと俺を食ったんだ。あとは結界越しに体の内側から【煉獄獄炎球】を放っただけだ」


 ベヒーモスが意気消沈し、しばらく黙る。


『か、完敗だ……に、人間ごときに……この我が……』


「おまえの敗因は人間を侮ったことだ」


『そう……だな。人間。名をなんと申す?』


「アイン」


『アイン。見事なり。古竜を倒すとは。脆弱な人間にも、こんなにも凄まじい強さを持ったやつがいたとはな』


 ベヒーモスは目を閉じて、静かにつぶやく。


『貴様を侮ってすまなかった。認めよう、アイン。貴様は古竜を殺すほど……強い』


 ベヒーモスは目を閉じ、そして完全に息を引き取った。


『すごい……です! アイン、さん!』


『や-、ほーんと異常なほど強いよね、お兄さんって』


『さすがです、お兄さま♡ 【古竜殺し】をなしとげたのは、ミクトランを封印した勇者だけ。本当にすごいことです♡』


 力を貸してくれた精霊や賢者たちに、俺は言う。


「ありがとな、おまえらのおかげだよ」

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話が面白くても書き方もいい [気になる点] 所々にパクリ臭い名前が入るところ 螺旋弾はちとまずいと思います 刃とか説明に入るなら シンプルに『飛刃』とかでいいと思います
[良い点] ストーリー完璧です [気になる点] 頭痛はしなくなったので相手の能力を鑑定して真似ることも可能なんじゃないでしょうか。これをやるとストーリー的に面白くなくなるのなら大丈夫です [一言] い…
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