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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
2章

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34.鑑定士、ギルドのエースから決闘申し込まれる



 ギルドで素材を買い取ってもらった、数日後。


 商人ジャスパーの屋敷に、来客があった。


 俺が応接室へ行くと、そこにはジャスパーと、そして王都冒険者ギルドのギルドマスターがいた。


「少年、実はギルマスが直々に、君にモンスター討伐の依頼をしにきたんだ」


「俺に? あんたらのギルドのやつで対応すれば良いじゃないか」


「それが相手がアイン様にしか倒せないような難敵でして……」


「少年、君がギルドとあまり関わりを持ちたくないのは承知している。しかし話だけでも聞いてもらえないだろうか。私もギルドにはお世話になっているし、ここは私の顔を立てる意味でも、な?」


 ……まあ、ジャスパーには世話になっているしな。


 俺はソファに座る。

 正面にギルマス、俺のとなりにジャスパー。


「アイン様は【ベヒーモス】をご存じでしょうか? 古竜とよばれる、竜種の中でも、太古の昔から存在するバケモノの1匹です」


「そいつがどうしたんだ?」


「実はベヒーモスは太古の昔、魔王ミクトランがまだ存命だった頃、魔王の部下として生み出された強力な古竜でした。しかしミクトランが封印され、その日を境にベヒーモスをはじめとした古竜たちは姿を消したのです」


 しかし……とギルマスが続ける。


「最近になって、ベヒーモスが姿を見せ、そして暴れているのです」


「ギルドによると討伐難易度はSSランクだそうだ」


「SSって……Sランクが上限だったんじゃないのか?」


「一般のモンスターの上限です。魔王の部下は難度SS。そしてミクトランはランクSSSなのです」


 隠しダンジョンで倒した敵以上のモンスターが、この世には存在するのか。


「そんなやばそうな敵を、どうして俺に?」


「我がギルドでは、あなたしか、適いそうな者がいないからです」


「どうやらギルマスは、君が隠しダンジョンを2つ突破したことと、それとこの間の氷竜フロスト・ドラゴンを討伐したことを、高く評価しているそうだ」


 ギルマスは立ち上がると、俺の目の前で膝をつき、その場で土下座した。


「我々に力を貸していただけないでしょうか! あなただけが頼りなのです! なにとぞ!」


「頭上げてくれよ……俺みたいなガキにそこまでしなくても」


 ……と、そのときだった。


「そうですよ! ギルドマスター!」


 バーンッ! と部屋のドアが乱暴に開かれた。


 何だと思ってそっちを見ると、金髪の男がズカズカと入ってきた。


「ふむ、君は誰だね?」


「失礼、ジャスパー様。僕は、この王都冒険者ギルドでトップクラスのパーティ【黄昏の竜】でリーダーをしている【バッカス】と申します」


 金髪男は、どうやら冒険者のようだ。


 バッカスは俺たちの前までやってくる。


「こんな男に頼まずとも! この僕が! 王都でトップの実力を持つこの黄金のバッカスが! 見事ベヒーモスを討伐して見せましょう!」


「バッカス! 失礼ですよ! 控えなさい!」


「いいえ! ギルマス、僕は納得がいきません! なぜこんな【鑑定士】に依頼を頼むのですか!? 下級職が務まる仕事とは到底思えません!」


「口をつつしみなさい! あなたは、先日ギルドで見せた彼の実力を知らないからそれが言えるのです!」


「いやっ! 僕は納得できない! こんな下級職が、【希少職レアクラス】の【二刀剣士】である僕より優れてるとは思えない!」


『どうやらこやつ、2本の剣を自在に操る技能スキルを持っているそうじゃな』


 なるほど……その自信の元は希少職だからか。


「もういい加減になさい! それ以上失礼を重ねるようならギルドから除名処分にしますよ!」


 ビキッ、とバッカスの額に、青筋が浮かんだ。


「ギルマスは……僕よりもこの下級職の方がギルドにとって有益であると、そう考えているのですね」


 ぎり……と彼が拳を硬く握る。


「下級職の、特に戦闘に向かない雑魚でしかない鑑定士が、僕より強いなんて……認めない!」


「だからなんだよ? おまえは何が言いたい?」


「僕と勝負しろ! どっちがベヒーモス討伐にふさわしいかを賭けて!」


 ……この勝負を受ける意味は、俺にはない。

 

 なぜなら、別にベヒーモスを俺が倒す理由はないからだ。


 俺はユーリを家族に会わせたい。


 そのために隠しダンジョンに潜っている。


 冒険者ギルドに席はおいてるが、結局俺のしたいことはユーリへの恩返しだ。


「俺は結構だ。ベヒーモスをあんたが倒したいっていうのなら、ご自由に」


「なんだ! 負けるのが怖いのか! 臆病者め!」


「別に……ただ、俺にはそんな程度のことで戦う理由がないってことだ」


 すると、彼の額に、ビキッ……! と青筋が立つ。


「……下級職ふぜいが……生意気をいいやがってぇえええええええ!」


 バッカスが腰の2本の剣を抜く。


「……はぁ【超鑑定】」


『→バッカスの攻撃の軌道』


 その瞬間、バッカスの動きがスローになる。


 俺は余裕で近づき、バッカスの手にしている2本の刀に、手を触れる。


 そして能力アビリティ【武器破壊】を発動させた。


 バギィイイイイイイイイイイイイン!


 ……そして、バッカスは正常に動き出す。


「女神に愛された我が二刀の剣戟! 受けてみよ! って、ええええええええ!?」


 バッカスが、驚愕の表情を浮かべる。


「け、剣が!? ぼ、僕の無敵の魔双剣が!? 粉々にぃいいいいい!?」


 からっぽになって両手を見て、バッカスが悲痛な叫びを上げる。


「き、貴様!? い、いつの間に!?」


「別に。斬りかかってきてあぶないから、破壊しただけだ。悪く思うなよ」


「う……うそだ……この僕が、下級職ごときの動きを……目で追えなかった……だと……」


 愕然とした表情で、バッカスがつぶやく。


「認めない……僕は……僕は希少職なんだぁああああああああああああ!」


 バッカスは拳を握りしめ、俺に殴りかかろうとしてくる。


「……【超鑑定】」

『→バッカスの攻撃反射のタイミング』


 やつの拳を、俺は右手で軽く攻撃反射パリィする。


 パリィイイイイイイイイイイイン!


「ぐわぁあああああああああああ!」


 バッカスは吹き飛ばされ、屋敷の壁に激突。


 頭を打った彼は、そのままぐったりと倒れた。


「ばかな……この僕を倒すなんて……あいつは……バケモノ……か……」


 ガクッ! とバッカスは気を失った。


 ギルドマスターが、俺の目の前でひざまづいて、何度も頭を下げる。


「バッカスが大変! 大変失礼なマネを! 本当に申し訳ございません! どうか! どうかお許しください!」


「……別にいい。それよりさっさとそいつ連れて帰れ」


「少年、ベヒーモスの件はどうする?」


 そのときだ。


『あ、の……アイン、さん……。お願いが、あります』


 どうした、と聞かずとも、ユーリが言いたいことはわかった。


 この子は、困っている人を捨て置けない、優しい子だからだ。


「わかった。その依頼、引き受ける」


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― 新着の感想 ―
[一言] 「少年、ベヒーモスの件はどうする?」 依頼する相手の名前も知らないのかな?名前も知らない相手に土下座する以前の礼儀がどうかなと思う。
[気になる点] はじめて、読んでいましたが、タイトルが決闘というより喧嘩ですね。
[気になる点] 既知でもない他人の屋敷に勝手に踏み込み、 ギルドマスターとの会談に割り込み、 一方的な見識で言いがかりを付け上位者の意見を無視し、 相手にされなかったら激怒して殺意をもって切りか…
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