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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
2章

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29.鑑定士、第2迷宮のボスと戦う



 砕鰐クラッシュ・アリゲーター鑑定コピーした。


『武器破壊(S+)』

『→直接、あるいは武器越しに、触れた相手の武器を破壊する』


 そのときに、なぜかゾイドに出会った。

 瀕死だったので治療し、ピナに言って外へ追い出した。


 話はその数十分後。


「なんで迷宮主ボスモンスターの部屋があるんだ……?」


 蔦に囲まれた石の巨大な扉を見上げながら、俺はつぶやく。


『そりゃダンジョンの最後と言ったらボスモンスターいないとね!』


 ピナがウキウキしながら言う。


「これ倒したらおまえのところ行けなくならないか……?」


『迷宮核を壊さなければ大丈夫じゃろう』


『そう! そしてボスを倒さないと、お姫様のいる部屋にまではたどり着けない! これゲームの鉄則!』


 ……ピナが何を言ってるのか、さっぱりだった。


 まあとにかくボスを倒せばいよいよピナに会える訳か。


「ユーリ。ちょっとまってな。ちょろっとボス倒して、すぐおまえの妹に会わせてやるから」


『はい♡ 信じて、まって……ます♡』


 俺はうなずいて、石の扉を開く。


 中もまた密林になっていた。


「敵はどこだ? ウルスラ」


『どうやら、貴様の立っている地面がそうらしいぞ』


「なんだと……?」


 そのときだった。


 ごごごッ……! と地面が揺れた。


 激しい揺れに立っていられなくなる。


『【玄武げんぶ】、というSランクのモンスターらしい。その実体は、山の如き巨大な亀だ。背中に草木が生えてるから、密林の中だと勘違いしていたようじゃな』


「とにかく……脱出だ!」


 俺は【超加速】を使用。


 脚力を強化し、飛び上がる。


「ガアァアアアアメェエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」


 ……眼下には、恐ろしい大きさの亀がいた。


 最初、山かと思った。


 甲羅の上に密林が乗っている。

 ぶっとい首と手足。


 そのフォルムはまごうことなくカメ。


「デカすぎるだろ!」


『泣き言を言うな。敵は攻撃を待ってくれぬぞ』


「わかってる!」


 俺は空中で【火球】を打つ。


 その数は100。


 百発の火の玉を、玄武の眼めがけて打つ。

 ドガガガガガァアアアアアアアアアン!


「やったか……?」


『生きておるようじゃな』


「マジかよ……」


 あれだけの数の魔法を喰らって、玄武はピンピンしていた。


「ガァアアアアアアメェエエエエエ!!」


『玄武が魔法【水流弾】を小僧めがけて打ってくるぞ』


 玄武は口を開き、空中の俺めがけて、水の魔法を打ってきた。


「……なんか、違和感があるな」


 だが今は対処が先だ。


『玄武の魔法攻撃』

『→攻撃軌道の鑑定』

『→攻撃反射のタイミングの鑑定』


 魔法の速度が、スローになる。


 俺は攻撃が当たる瞬間、剣の腹で弾いた。

 パリィイイイイイイイイイイン!!


 弾き飛ばされた水流弾が、玄武めがけて跳んでいく。


 激突。

 だが、ピンピンしていた。


「…………」


 俺はようやく着地。

 眼前には、仰ぎ見るほどの、巨大な玄武。

 玄武は足元の俺を前に……微動だにしなかった。


「……やっぱり、変だ」


『小僧。苦戦しておるようじゃな。わしが転移し極大魔法を打つか?』


「いや……それには及ばねえよ」


『なに? どういうことじゃ?』


「【超鑑定】」


『玄武の正体』

『→※【幻術】によるジャミングのため、鑑定不能』


『……なるほどな。やるな、小僧』


 珍しくウルスラが褒めてくれた。


 俺は玄武めがけて、右手を差し出す。


「おいカメ野郎。おまえそれ、張りぼてなんだろ?」


 玄武が、ギクッ……! と肩をふるわせた。


「だろうな。【解呪ディスペル】」


 不死王から鑑定コピーした能力を、発動する。


 あらゆる魔法、呪いを解除する能力アビリティだ。


 俺が【解呪】を発動させた瞬間……。


 巨大なカメは、煙のように消えた。


 そして……足元に、通常サイズのカメがいた。


「やっぱり、空間ごとデカく見えるよう、幻術かけてやがったんだな」


 玄武は、ユーリのダンジョンで出会った岩巨人ゴーレムの大きさを、遥かに超えていた。


 だがよく考えなくても、この山みたいなカメが地下に入れるスペースがあるわけない。


 つまり……この空間そのものが、幻術で作られた偽の空間だった、ということだ。


『精霊の強力な幻術じゃ。だから、守り手であるわしにも見抜けなかったのじゃろう』


 悔しそうウルスラが言う。


『今回ばかりは……貴様の手柄だ。褒めてやる』


「珍しいな、あんたが褒めるなんて」


『勘違いするな。貴様をユーリの男として認めたわけじゃないからな』


「はいはい……っと」


 俺は玄武を見下ろす。


「【鑑定】」


『玄武(幼体)』

『→Sランクモンスター・玄武の子供』


『鑑定結果すらも幻術で変えられていたみたいじゃな』


「ピナの幻術がそれだけすごいってことか……。さて、悪いな」


 俺は精霊の剣を手にする。

 こいつを倒さないと先に進めないからな。


「…………」


 だが、剣を振り下ろせなかった。


「子供を殺すのは……ちょっとな……」


 俺は剣を右手の魔法紋の中にしまう。


『正義の味方気取りか?』


「ちげえよ。ユーリが泣くかなって思ったんだ」


『アイン、さん。ありが、と』


 ホッとしたような、ユーリの声。


 彼女もまた、玄武の子供を殺すことを、気に病んでいたのだろう。


『……ありがとう、優しいお兄さま』


 ……ん?

 なんか聞こえたような……まあ気のせいか。


「で? ピナ子さんよ。これ玄武を倒さないとダメなのか?」


『も、もちろんだよ! ボスを倒さないとゲームクリアできないね!』


「けど俺はおまえの幻術を破って、しかも敵の正体がたいしたことないものだって看破したぞ?」


『ぐぬっ』


「隠し球はもうないんだろ? 幻術見破った時点で俺の勝ちだろ」


『ぐぬぬっ』


「おまえこれで勝ち認めないつもりか? こんな小さな可愛い亀の命を見殺しにするってのか。ひでえやつだなおまえ」


『あーもーーーーー! わかった! わかったよ降参! アタシの負けッ!』


 すると……奥の部屋の扉が開く。


 どうやらあの先に、世界樹が、精霊ピナがいるようだ。


 かくして、俺は第2迷宮のボスを打ち破ったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ボスを倒さなくても世界樹が好きに 扉の開閉出来るなら、前回のダンジョンでも ボスは倒さなくても良かったのでは?
[気になる点] 痛みを感じずに能力をコピーできるんだから、倒してなくとも子亀の能力はコピーしたんだよね?
感想一覧
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