【番外編】
大蛇のような太い木の根が、ギリギリと嫌な音を立てて魔物の巨体を締め上げる。
メイがさらに魔力を込めると、バキィッという骨の砕ける鈍い音が響き渡った。
巨大な狼の魔物は短い断末魔を上げ、ぐったりと力尽きて地面に崩れ落ちる。
「ふんす! これならいけるのです!」
メイはえっへんと誇らしげに胸を張り、ピンと立った耳をピクピクと揺らした。
『創樹』の力があれば、どんな魔物が来ても捻り潰せる。
そう確信して安堵の息を吐いた、直後だった。
ズシン、ズシン、ズシン!
再び地響きが鳴り、土煙を上げて新たな魔物の群れが緑地へと雪崩れ込んでくる。
血の匂いに引き寄せられたのか、その数は十や二十ではない。
森の奥から無数の赤い眼光がギラギラと光り、こちらをねっとりと見つめていた。
「えっ!? なんでこんなにいっぱい来るのですかっ!?」
メイは驚きのあまり大きくのけぞり、パニックで尻尾をバタバタと振り回す。
恐怖で足がすくみそうになるのを必死に堪え、再び両手を地面に叩きつけた。
「やぁあああっ! こっちに来るななのです!」
ズドォォォンッ!
メイの叫びと共に地面が爆ぜ、無数の鋭い木の槍が飛び出して魔物たちを串刺しにしていく。
生臭い血の匂いと、獣たちの鼓膜を劈くような激しい咆哮が周囲を包み込んだ。
しかし、倒しても倒しても、魔物の波は一向に途切れる気配がない。
「はぁっ、はぁっ……」
絶え間なく魔力を放出し続けた結果、次第にメイの体力の限界が近づいていた。
視界がチカチカと点滅し、呼吸がひどく乱れ始める。
指先から力が抜け、膝がガクガクと笑い出した。
「もう、だめ……なのです……」
メイはついに魔力切れを起こし、バタッと力なく膝から崩れ落ちてしまう。
そこへ、一体の魔物が凶悪な牙を剥き出しにして、小さな体へ飛びかかってきた。
メイがギュッと目を閉じ、死を覚悟したその時だ。
ザシュゥゥゥッ!
鋭い風切り音と共に閃光が走り、飛びかかってきた魔物の首が綺麗に宙を舞った。
ドサリと重い肉塊が落ちる音がして、生温かい風がメイの頬を撫でる。
「メイ! 大丈夫か!?」
聞き慣れた焦燥の声に、メイは弾かれたように顔を上げた。
そこには、剣を構えて息を切らしたジャスパーの姿があった。
【おしらせ】
※3/1(日)
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