【番外編】
精霊ピナの働く冒険者ギルドに、母である黒姫が来ている。
いつの間にか、誰かが椅子を用意したらしい。
黒姫は、ピナのカウンターの近くに座って、娘のことをじーっと見つめていた。
(うう~……ちょーやりにくい~!)
ピナの背中に冷や汗が流れる。
じーっとこっちを、黒姫が見ている。
それはまるで、娘がサボっていないかを、厳しく見張っているかのようだった。
(さ、さぼってないよ~! アタシ、ちゃんと働いてるよ~!)
ピナはテキパキと動いている……ふりをする。
用事もないのに伝票を整理してみたり、さっき拭いたばかりのカウンターを無意味にキュッキュと磨いてみたり。
(ほらほら、ママ☆ アタシちょー働いてるよ~☆)
どうだ、と言わんばかりに胸を張り、チラッと母の方を見やる。
「まあ、あなた新人さんなのね~♡」
ズコーッ!
ピナは盛大にずっこけた。
……黒姫はこっちなんて見ていないではないか。
「あらあら、すごい筋肉ねぇ♡ その大剣、とっても重そう♡」
「へ、へへっ……まあ、俺レベルになると、これくらい片手でブン回せるっすよ、姐さん!」
「まあ、素敵~♡ 頼り甲斐があるのね~♡」
「いやぁ、照れるなぁ~!」
黒姫の周りには、いつの間にか屈強な冒険者たちが集まっていた。
彼女の妖艶な美貌と、包み込むような母性に当てられ、男たちは鼻の下を伸ばしてデレデレになっている。
ギルド職員たちまでもが、仕事の手を止めて彼女の話に聞き入っていた。
(なんなんだよー! アタシの仕事ちゃんとしてるかどうか、見張りにきたんじゃなかったの!?)
ピナは頬を膨らませ、バンバンとカウンターを叩く。
だというのに、母は娘そっちのけで、ギルドの空間を支配しているではないか。
……マジで何しに来たんだろう、このママは。
【おしらせ】
※1/9(金)
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