【番外編】
そんなこんなで、ピナは冒険者ギルドで看板娘として働いているわけだったが。
この日は、とんでもない珍客が来たのだった。
「次の方どうぞ~☆」
「あらあら、ピナってば、立派に働いちゃってまぁ~♡」
「は?」
ピナは、チャームポイントである星形の瞳を、まん丸にした。
その目線の先には、誰も居なかったからだ。
あるのは、虚空と、ガヤガヤとしたギルドの喧噪だけ。
だが、知っている。
このねっとりとした甘い声を、誰よりも知っている。
「く、黒姫ママ!?」
「はぁい、ママよ~♡」
声は下から聞こえた。
ピナが慌ててカウンターから身を乗り出し、下を覗き込む。
そこには、黒髪おかっぱの幼女が、ちょこんと立っていた。
ピナの守り手にして、四神玄武の娘、黒姫。
見た目は完全に5歳児だが、中身は(自称)包容力あふれる母親である。
「ま、ママ……何やってるの?」
「あらあら、母が娘の仕事っぷりを見に来ただけよ。参観日ってやつね♡」
「あ、そ、そう……」
黒姫のもとを去ってから、どれくらい経つだろうか。
久しぶりに見る母は、しかし、1ミリも成長していなかった。相変わらず小さい。
「元気そうで何よりだよ……☆」
「あなたもね♡ ちゃんとご飯食べてる?」
「うん、元気元気。だからその……用事ないなら帰って欲しいかなーって」
「あら? ひどい。どうしてそんなこというの? 反抗期?」
「だ、だってその……目立つから……」
ピナはキョロキョロと周囲を見渡した。
ピナはこのギルドのアイドル的存在だ。
否が応でも、ここに居る荒くれ者たちからの注目を浴びてしまう。
そこに、自称ママの幼女が現れたのだ。
カウンター越しに必死に話しかけるピナと、見えない誰か(背が低すぎるため)。
みんな、口では何も言わなくても、目線で語っている。
(ピナちゃん、誰と話してるんだ……?)
(もしかして、隠し子か……?)
誤解が加速する予感しかしなかった。
説明はとても面倒だった。この幼女が母だなんて、誰が信じるというのか。
すると黒姫は、空気を読まずにカウンターの横からひょっこりと姿を現した。
そして、スカートの裾をつまみ、すっ、と綺麗なお辞儀をする。
「皆さんこんにちは、はじめまして。ピナのママでーす♡」
「おいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
ピナの絶叫ツッコミが、ギルド中にこだました。
【お知らせ】
※12/27(土)
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