【番外編】
精霊姉妹、七女にしてユーリの妹であるピナ。
アインが世界を救った後、彼女は一体何をしているかというと。
「はいはーい☆ 次の人どぞー」
場所は、ゲータ・ニィガ王国の王都。
ここは、Sランク冒険者ギルド【天与の原石】。
王国最高峰と名高い冒険者ギルドだ。
クエストボードから漂う羊皮紙とインクの香り、そして冒険者たちの熱気。
その喧噪の中心にある受付に、桃色の髪をふわりと揺らす美しい少女が、満面の笑顔を振りまいている。
「ピナさん、こんにちはっ!」
ギルド入りたての冒険者の少年が、カウンター越しにピナへ挨拶をする。
彼女に好意があるのか、頬をリンゴのように赤く染めて、声が上ずっていた。
「こんちゃー、ニュービスくん。今日はなに~? クエスト?」
ピナはカウンターから身を乗り出し、興味津々に目を輝かせる。
「は、はいっ。その……仲間達と、最近できたばかりのダンジョンへ行こうかなって思って。意見がほしくて」
「おっけー☆ 場所は~?」
ゲータ・ニィガ王都グランレガリアから、ほど近い場所にできたダンジョンだと、ニュービスは言う。
ギルドには日々、膨大なダンジョンの情報が集められている。
ピナはテーブルの上に、バサリと小気味よい音を立てて、該当するダンジョンの地図を広げた。
「ふんふん……なぁるほどね。ちょっと今の君たちには、荷が重いかな」
地図を指先でなぞりながら、ピナは「うーん」と可愛らしく小首を傾げる。
「そうですか?」
「うん。物理攻撃に強い魔物が多く居るしね。逆に魔法攻撃に弱い魔物は多いから、魔法使いをパーティにいれてアタックするならワンチャンあるけど……どうする? 紹介する?」
「お願いしますっ」
「んっ、おっけー☆」
パチン、とウインクを決めるピナ。
彼女は、アインと冒険した経験を生かして、ギルドで働いていた。
また、かつてダンジョンマスターだった時の知見をいかした的確なアドバイスまでもする。
非常に優秀なギルド職員として、ピナは有名だった。が。
「あ、あのピナさん……今度よかったらぼくと食事でも……」
意を決したように、ニュービスがピナを食事に誘う。
「へ~☆ アタシに気があるかんじ~?」
ニシシ、とピナが頬を膨らませて悪戯っぽく笑う。
「あ、えと……その……」
「あははっ。ごめんねからかって。でもごめんねー、アタシ好きな人いてさー」
「そぉんなぁ~……」
ニュービスはガクンと膝から崩れ落ち、分かりやすく項垂れた。
「ま、気を落とすな少年! 良い子がきっとみつかるって!」
トボトボと、魂が抜けたように去って行くニュービス。
そんな風に、今日も賑やかに働いているピナなのだった。
【おしらせ】
※12/24
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