【番外編】ピナのダンジョン
アインがまだ、姉妹捜しの旅を始めたばかりの出来事。
ユーリの妹、ピナ。
彼女は非常に退屈していた。
「んにゃー! つまんないつまんなーい!」
ピナが居るのは、世界樹の根元に設置された小屋。
中には、無数のモニターが設置されてる。
ピナはソファに座りながら、モニターを眺める。
隠しダンジョン内を映し出すモニターには、だれ一人、映っていないのだ。
「なんでピナちゃんが作った超高難易度ダンジョンに、だれもこないのー! もー!」
この隠しダンジョンは、ピナの幻術と、守り手である黒姫の結界によって作られた、人工ダンジョンである。
通常、ダンジョンとは自然発生するものなのだが。
ゲーム大好きピナは、ダンジョンを自分で、0からクリエイトしたのだ。
「せーっかく作ったゲーム、だーれも遊んでくれないんじゃー、つまんにゃーい! もー!」
このダンジョンは不人気で有名だった。
確かに、死なないというメリットのあるダンジョンだ。だが、メリットはなんとそれだけなのだ。
内部構造がとても複雑。
そこに加えて、ダンジョン内にはお宝らしいお宝が設置されていないのである。
だれが呼んだか【クソダンジョン】。
苦労する割に、実入りのないこの迷宮は、いつしか冒険者達からそう呼ばれるようになっていた。
「あーあー、だーれか遊びにきてくれないかなぁ~」
『ピナ』
守り手である黒姫からの通信が入った。
「ん? なぁにママ?」
『チャレンジャーよ?』
「おー☆ チャレンジャー! ひっさしぶり~!」
もう本当に久しぶりの挑戦者だ。
挑戦者で、遊べるぞー! と思いながら、入り口にモニターの映像を……写す。
「ふぅん、人間? しかも……一人?」
冒険者は通常、複数人でダンジョンに潜るものだ。
単独での踏破は、無貌と言わざるを得ない。
「それだけ腕に覚えのあるやつってこと……? ふっふっふー☆ 腕がなるねえ……」
いっぱい邪魔して楽しんでやろうと、そう思っていたのだが。
『ピナ。どうやら、懐かしいお客さんのようよ』
「懐かしいお客さん?」
『ええ。ユーリちゃんの気配がするわ』
「!? お、お姉ちゃん……!?」
黒姫は結界術の使い手。
結界は空間魔法の1つだ。空間内にあることについては、黒姫はすべて把握できるのである。
だから、この領域に入ってきたのが、世界樹ユーリの精霊核を宿した人間である、とわかったらしい。
……どうして姉が人間と手を組んでいるのだろう。
ピナは、心配だった。ユーリはバカが着くほどの正直ものだ。そして、純粋な人だ。
悪い人間に騙されて、ほいほい着いてきてしまったのかもしれない。
……駄目だ。そんなの、駄目。大好きなお姉ちゃんが、悪い男に騙されてるのなんて、見過ごせない。
「駄目なところを見せつけて、ゲンメツさせてやる。そんで、ユーリお姉ちゃんの目を覚まさせてやるんだ! ママ、強力してね!」
『はいはい』
こうして、ピナはユーリたちの挑戦を、受けることにしたのだった。
普段よりも、難易度を高めに設定して。
本日、アニメ第4話が放映されます!
よろしくお願いします!
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