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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
後日談

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234/245

234.鑑定士、ウルスラと飲む



 ある日の夜、俺はウルスラに呼ばれて、屋敷のバーカウンターへとやってきた。


 俺がいるのは、かつてミクトランが使っていた屋敷。


 魔王との戦いを終えた俺は、辺境に休みに来たのだった。


「よぉ、お待たせ」

「うみゅ……」


 うみゅ?


 カウンターにつっぷしているのは、銀髪の幼女、ウルスラ。


 丸眼鏡に、学者みたいな帽子が特徴的。


 こう見えていていにしえの賢者様だったりする。


「おしょい~……」


 ウルスラは顔を真っ赤にしてにへにへと笑っている。


「おま……酒臭いぞ」

「わはは! おまえものめのめーい!」


 俺はウルスラの隣に座る。

 がしっ、と彼女が俺の首後ろに腕を回し、ワインをグラスについでくる。


「おまえって酒飲むの?」

「なんじゃー! わしの酒がのめんのかー!」


 微妙に会話が成り立ってねえ……!


「う、ウルスラさん……」

「なんじゃーい?」


「もうちょっと落ち着こうな」

「おちゅちゅいちぇるちゅー♡」


 ぜんぜん落ち着いてない……てゆーかからみがやばいな今日。


 眼を細めたウルスラが、俺に体をこすりつけてくる。


 子猫のようにスリスリと頬ずりする姿が愛おしい。


 普段の張り詰めた、理知的な姿とのギャップがスゴイ新鮮だ。


「うー……アインぅ~……おまえさぁ……なぁ~? ちょっと聞いてくれるぅ~?」


「はいはい」


 普段結構苦労性だからな、この人。


 ユーリをはじめとしてノリの良い女の子達の突っ込み役だから。


「おまえさぁ~……ちょっと働き過ぎじゃあないかの?」


「そうかな?」


「そうじゃ……息つく暇もなく敵を倒し続け、魔王をついにたおして……ゆっくり休めば良いものを、気づけばまた戦いに身を投じておる……」


 俺が今やっているのは、聖杯の欠片あつめ。


 聖杯。かつて最強の勇者だったミクトラン。

 彼は無職者、つまり職業ジョブを持たずに生まれた男だった。


 しかし実際には、彼には職業があったのだ。

 それは凄まじい力を秘めていた。

 聖杯という形にし、四神たちが分割管理していた。


 だがある日、その聖杯の欠片を敵側が察知。

 俺はそれを回収するべく各地を回っている。

「玄武、青龍……ふたりからは回収できた。残る欠片はふたつ……おぬしは、よくやってるよ」


 四神たちは人間の到達できない場所にいた。

 残り二人も、たぶん想像の及ばない場所に居るのだろうな。


「なぁ……アイン。おぬしは……これからも頑張るのか?」


 ウルスラの瞳が不安げに揺れている。


 頑張るのか、だって?


「もちろん、がんばるさ」

「……なぜ?」


「みんなの幸せのためさ」


「それは使命からか?」

「いや……俺がそうしたいからだよ」


 俺にとって人助けは、もう息をするのと同じことなんだ。


 困っている人をほっとけない。


 誰かが、命を理不尽を散らそうとしてるのを、見過ごせないんだ。


「俺には戦う力がある。これはウルスラ……おまえがくれた力だよ」


「…………」


「おまえが俺を助けてくれたように、俺もみんなを助けたい。この力はそう使いたいんだ」


 奈落に落ちて、死にそうになった俺を、ユーリが助けてくれた。


 奈落から抜け出るための力は、あのとき、ウルスラが俺に与えてくれた。


 どちらかがいなければ、俺は今ここに立っていない。


 俺の中には、彼女たちがずっといる。


 その心意気を、その正義の輝きを、俺は絶やさずに残していきたい。


 だから行動で示していくんだ。


「そう……か」

「うん」


「………………」

「ウルスラ?」


 ウルスラが酔い潰れている。

 小さな寝息を立てていた。


 俺は彼女をおんぶして部屋へと運ぶ。


 俺を呼び出したのはきっと、ここで肩の荷を下ろしても良いんだって言いたかったんだろう。


 彼女なりの優しさなんだ。


 ……でも、俺は途中で投げ出すことはしない。


 あと、ふたつ。

 俺は聖杯を必ず手に入れる。


 争いの種を、この世界から無くすために。



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― 新着の感想 ―
途中飛ばした なんか他の話と基本同じ展開
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