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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
後日談

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231/245

231.鑑定士、魔王のごとくザコをなぎ払う


 

 辺境の草原にて。


 かつての敵が復活し、俺を倒すべく大挙して押し寄せてきた。


 しかし俺は、初級魔法【火球ファイア・ボール】一発で、敵を吹っ飛ばしたのである。


「な、なんだ……その威力はぁ……!」


 フラフラと立ち上がったのは、特級魔族の【キング】だ。


 な、懐かしいなお前……。


「……今の【極大魔法】を見ればわかる。てめえ……そうとう鍛えてきやがったな……!」


「え? 極大魔法? いや、ただの初級魔法だけど?」


 がくん……! とキングが大口を開けて驚いている。


「う、う、うそだぁ~……」

「いや……ホントだけど。え、この程度で何に驚いてるんだ?」


 キングはうつむいて、膝をついて泣き出した。


 え、え、マジどうしたの?


『さすがじゃなアイン。戦わずとも相手の戦意を折るとは』


「いやマジでなんもやってないんだけど……」


 俺は残っている敵軍を見やる。

 火球で大半ふっとんだけど、まだ残っているな。


「よし」


 ざっ、と一歩前に出ると、敵達がびくんっ! と大げさに体をこわばらせる。


「どうした、かかってこないのか?」


 俺は敵軍を見渡す。

 だがどいつもこいつも攻撃してこない。


「なんて……プレッシャーだ!」


 敵の一人がそういった。


「なんという禍々しい強者のオーラ……」

「アインめ……ここまで成長するとは……」


「え? え? なんなの?」


 よくわからないが完全に敵は動きを止めている。


「そっちからこないなら、俺から行くぞ」


 俺は前を向いたまま、【左後ろに手を伸ばす】。


 ガシッ……! と飛んできたそれを掴む。

「な、なぜ気付いた!? 完全に気配を絶っていたはず……神眼も使えぬはずなのに……!」


「いや殺気でバレバレだから。よいしょ」


 俺は掴んだ敵を、前方の敵軍めがけて投げつける。


 けん制目的なので、軽く、軽くと。


「うぎゃぁあああああああ!」

「は?」


 突如として、前方にいた大軍が木の葉のように吹っ飛んでいくではないか。


「あれ、俺何かやったか?」


 そんなに強く投げつけたつもりじゃないんだが……?


『恐ろしいスピードで敵が飛んでいき、相手とぶつかって、その衝撃波で敵軍が大ダメージを負ったのじゃ。さすがじゃな』


「い、いや恐ろしいスピードって……こんなの普通だろ」


『普通ではない。おぬしはめちゃくちゃ成長したのだ。それこそ最強の魔王を倒すほどに』


「でも力を封印されてるんだが?」


『だとしても、今地上でおぬしを倒せるものはおらぬよ』


「ま、マジっすか……」


 そんなレベルになっていたとは……。


「まだじゃ! 諦めるのは早い!」


 倒れ伏す敵軍の中から、禿げ頭の爺さんが顔を上げる。


「皆の者、立ち上がれ! 奴に……アイン・レーシックに一泡吹かせてやろうぞ!」


 爺さんが仲間を鼓舞すると、敵たちが立ち上がる。


「あんたの言う通りだ!」「主神が立ち向かうんだ、おれたちもやるぞ!」

「「うぉおおおおお!」」


 盛り上がっているところ悪いが……。


「だれだ、あいつ?」

「な、なんじゃとおお!?」


 禿げ頭の爺さんが切れ散らかす。


「き、き、貴様! よりにもよって主神の顔を忘れたというのか!?」

「? そんなやつと戦ったっけ、俺?」


 そもそもバトルした回数が多すぎてな。

 すべて覚えていない。


「この……! いいかよく聞け! わしは……この日をずっと待っていた! 貴様に復讐し、地獄に叩き落す日を夢見ていた! そして今日ついに貴様をわしが倒す! わしの名前は」

「長い」


 俺は爺さんの顔をつかんで、思い切り地面にたたきつける。


 跡形もなく消し飛んだ。


「よくわからんが、やるなら死ぬ気でこいよ」


 俺は敵軍をにらみつけて言う。


「じゃねえと……死ぬぞ」


 残っていた敵軍のメンバーたちは、ガタガタと震えだす。


「ひぇえええええええ!」「化け物ぉおおおおおお!」「魔王だぁあああああ!」


 しっぽを巻いて敵たちが逃げていく。


「これを使うのも久しぶりか」


 俺は奈落での修行と、そして倒した魔物を思い出しながら使う。


「【火球(ファイアー・ボール)】……100連!」


 それは俺の目を奪った熊モンスターに使った魔法。


 火球を100発打ち出すだけのものだ。


 ただし……一発の威力がけた外れになっている今。

 その状態で100発も出せばどうなるか……。


「ま、こうなるわな」


 草原だった場所は、いつの間にか草一本生えない荒野に早変わりしていた。

 敵? もちろん全滅よ。


「あとでメイの力で元に戻すか」


 精霊姉妹の末っ子メイは、創樹という力を持っている。

 植物を自在に生やしたり動かしたりできる力だ。

 あれがあれば、この荒野も一発で元通りだろう。


「うむ、見事な殲滅っぷりだったぞ、アインよ。さすがじゃ」


 ウルスラが転移してきて、感心したように言う。


「しかしおぬし、あやつらが言う通り、魔王みたいじゃったぞ」

「え、ええー……うそーん」


「ムーブが完全に悪役のそれじゃったぞ。見事なまでにな」


 ウルスラは意地悪そうに笑うのだった。

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[良い点] 暗黒大魔王アインさん爆誕www
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