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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
後日談

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216/245

216.鑑定士、休養を取らされる

【※お知らせ】


マガジンポケット(マガポケ)様にて、コミカライズ版の連載がスタートしました!


無料で読めますので、どうぞ見てみてください!



 ミクトランの忘れ形見、聖杯。


 4つに分割されたそれを、敵の手に渡る前に、回収することになった。


 さっそく聖杯の回収へ向かおうとした、翌朝。


 俺は……自分の部屋のベッドに、寝かされていた。


 しかも、俺の体が、太い木の枝で拘束されていた。


「ええっと……どういう状況?」


「アイン、さん!」


 部屋のドアが開き、やってきたのは……ナース服のユーリだった。


「問診の、時間です!」


「も、問診?」


 真面目くさった表情で、かつかつと、ユーリが俺のそばまでやってくる。


「せん、せー! アリスせんせー!」


 しーん……。


「姉さま! 早く!」

「…………」


 再びドアが開いて……今度はアリスがやってきた。


 白衣に眼鏡、という、女医ルックだ。


「あ、アリス……何だその格好?」

「……あまり、じろじろ見ないで。恥ずかしい、から」


 普段の彼女がはかないような、タイトな黒いミニスカートをみにつけている。


 もじもじと、スカートの裾を引っ張っている姿は、実にエロかった。


「アリスお姉様、お医者さん! わたしアシスタント! そーゆー、ことです!」


 ふふんっ、とユーリが胸を張る。


 どういうことだってばよ?


「姉さま、アインさん顔色がすぐれません。問診を、お願いします!」


「……わかったわ」


 顔色がすぐれない?

 そうだろうか?


 アリスは椅子を持ってきて、俺の隣に座る。


 スカートから伸びる、すらりとした太ももが、実に美しかった。


「……見ないで」

「あ、ご、ごめん……」


 その後、アリスの診察が開始された。


 ごっこ遊びだと思っていた。

 けれど、結構しっかりと体を調べられた。


 ややあって。


「せんせー! アインさんは……どんな病気ですかっ?」


「……過労です」


 ユーリが安堵の吐息をつく。


「良かったぁ……不治の病じゃ、なくて……」


 くすん、とユーリが目に涙をためていう。

「心配かけてごめんな」

「ううん! アインさんが元気なら、それでいいんです!」


 太陽のような明るい笑みに、俺は癒される。


 一方で、アリスは険しい表情を崩さなかった。


「……アイン君。ユーリ。気を抜くのは早いわ」


「え、どういうことだ……?」


「……過労はれっきとした病気よ。重症化すれば、最悪死ぬのだから」


「ひっ! いや、です! 死んじゃあ……やだぁ……」


 くすんくすん、とユーリが泣いてしまう。

 俺は申し訳なかった。

 彼女の頭をなでる。


「……アイン君。しっかり休養を取って。これは、あなただけの問題じゃない」


 アリスが真剣な表情で俺に言う。


「……みんな、あなたがいなくなると、悲しむ。私も……悲しい。だから……その……」


 うつむくアリス。 

 その肩は震えていた。


 ユーリを悲しませ、アリスを不安がらせてしまった。


 他のみんなも、同じだろう。


 ……俺の、バカヤロウ。


「ごめん……働き過ぎたよ。何やってるんだろうな、俺。休むためにやってきたのにさ」


 あげく、体の不調に自分で気づけなかった。


 ほんと、俺は仲間が居ないとダメダメだった。


「聖杯の回収の前に、ちょっと休むよ。聖杯の場所の捜索は、ジャスパーに力借りる」


 ふたりは俺を見て、安堵の吐息をつくのだった。



    ☆


 ジャスパーに連絡を取り、聖杯のある、四神たちの居場所を調査して貰うことにした。


 大まかな位置は俺の鑑定スキルによって見当がついている。


 それを頼りに、隠しダンジョンをさがしてもらう手はずとなった。


 それはさておき。


「アイン、さん♡ ご飯のお時間、ですよ♡」


 からからとカートを押してきて、ナース服ユーリが、俺の隣へやってくる。


「ありがとうな」


 ベッドサイドにテーブルを、そしてその上にお盆を乗っける。


 俺がスプーンを手に取ろうとする。

 だがそれを、ユーリがひょいっと奪った。

「どうした?」

「アインさん、患者さん。わたしナースさん。そーゆー、ことです!」


 これは、食べさせる的な流れだろうか……?


 ここで良いよ、と断るのは彼女の好意を無下にするに等しい。


「じゃ、ナースさん。よろしくお願いします」


「任され、ました!」


 ユーリは嬉々として、スプーンで料理をすくって、俺に差し出す。


「あーん♡」

「あーん」


 口に含むと、ピラフであることがわかった。


「おいしー?」

「おう。バッチリ」


 ぱーっ! とユーリが笑顔になる。

 どうやら彼女が作ったのだろう。


「料理上達したな」

「はいっ♡ アインさんに、食べて貰いたくって、いっぱい練習しました!」


「ありがとな。うれしいよ」


 その後もあーんと食べさせて貰う。


 ややあって、完食。


「ごちそうさん。美味かったよ」

「食後のデザート、あります! 姉さま!」


 しーん……。


「もうっ! 姉さま! タイミング!」

「…………」


 ガチャッ……。


 恐る恐る入ってきたのは、ナース服の、アリスだった。


「あ、アリスさん……?」


「……見ないで」


 女医の衣装のときより、さらにスカートの丈が短かった。


 顔を真っ赤にしながら、必死になってスカートを引っ張っている。


「姉さま! デザート、しょもーです!」

「……はい」


 同じようなカートを、アリスが押してやってくる。

 

 その上には皿にのったプリンがあった。


「わ、私は……これで……」

「駄目です! 姉さまには、仕事あります!」


 ユーリが姉の肩を掴んで、椅子に無理矢理、座らせる。


「……ほ、本当に、やるの?」

「ごーごー、です!」


 目を潤ませながら、アリスは恥ずかしそうにスプーンを持つ。


 一口すくい、俺に差し出す。


「……あ、あーん」


 今にも泣き出しそうなほどだ。

 だが、なぜだろう。

 イケナイことをさせているみたいで、背徳感があった。


「あ、あーん……」


 おっかなびっくり、俺はプリンを食べる。

 ユーリの時と違って、緊張していたからか、味が正直よくわからん。


「……どう、かしら?」


 味をきいてきた。

 アリスが作ったのかな?


「よくわからん……もう一口くれ」

「……えっ、ええ」


 アリスがスプーンでプリンをすくう。

 俺が食べる。


 今度は味わって食べた。

 なめらかな舌触り。

 香ばしいカラメル。

 

「びっくりした。これ、手作りなんだろ? 売り物かと思ったよ」


「…………」


 アリスは、目を丸くする。

 ボッ……! と顔を真っ赤にする。


 へにゃへにゃ、とその場にへたり込む。


「ど、どうしたっ? 大丈夫か?」


「姉さまが、嬉しすぎて、幸せ死にしてます!」


 なんだそれは?

 どうやら気を失っているだけらしい。


 ホッとした……のつかの間だった。


「アインさん! 患者はじゅーしょーです! すぐに寝かせないと、です!」


 わくわくした顔で、ユーリが言う。

 患者ってアリスのことだろうか。


「オッケー。じゃあベッドどくから、そこへアリスを」


「ちがい、ます! 姉さま……一緒! アインさん、一緒、です!」


 ユーリがとんでもないことを言った。


「い、一緒って……一緒に寝るのか!? 俺と!? アリスが!?」


「そーです。お病気、悪化したら大変。安静、一番です!」


 いやまあ、そうだけど……いやでも……うう……。


「わ、わかった。隣に寝かせてくれ」


 いそいそ、とユーリが俺の隣に、アリスを横たわらせる。


 髪の毛からは、ふわり、と花のような匂い。


 体からは、汗をかいているからか、少し甘酸っぱい果実の匂いがした。 


 女の子のとても良い匂いに、くらくらしてしまう。


「では、あとは……ごゆっくり!」


 ユーリが気を利かしたのかなんなのかわからんが、出て行こうとする。


「ちょっ! ユーリさん!? 一緒にいてくれ!」


「きゅーかん、です!」


 それだけ言って、ユーリが出て行く。

 あとにはとてつもない、気まずさが残る。

「…………」


 ちら、とアリスが俺を見上げる。


 不安げな表情をしていた。


「……嫌?」

「……いいや、全然」


 こうなったら覚悟を決めよう。

 俺はアリスの隣に、ごろんと寝転ぶ。


 しばし、沈黙が流れる。


 ぽそり、とアリスがつぶやいた。


「……アイン君。私ね、今死ぬほど……緊張してるわ」


「お、おう。俺もだよ」


 すると、アリスは淡く微笑む。


「……けれどね。今、死ぬほど……うれしいの」


 それだけ言うと、アリスは布団に深く潜り込んでしまった。


 その後、俺たちはしばらくして一緒に寝てしまった。


 気づいたら翌朝だった。


 丸一日寝ていたらしい。

 過労だったのは本当だったのだ。


 ユーリ達が気づいてくれなかったら、どうなっていたことか。


 俺は精霊の少女達に深く感謝するのだった。



【※お知らせ2】


新連載、始めました!


「え、テイマーは使えないってパーティから追放したよね?~実は世界唯一の【精霊使い】だと判明した途端に手のひらを返されても遅い。精霊の王女様にめちゃくちゃ溺愛されながら、僕はマイペースに最強を目指すので」



【作品URL】


https://ncode.syosetu.com/n2047gk/


頑張って書いたので、よろしければぜひご覧ください!


また、広告の下に作品のリンクも貼ってあります!

タイトルを押せば飛べるようになってるので、ぜひ!

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