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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
後日談

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212/245

212.鑑定士、ユーリと屋敷を調べて回る



 魔族の残党達が、ミクトランの忘れ形見を狙っていることが判明した。


 翌朝。

 俺は金髪美少女ユーリとともに、屋敷の中を歩いていた。


「アインさん、ふたりきり……ひさしぶり、ですっ」


 二人で手をつないで歩いている。

 ユーリはふにゃふにゃ、と幸せそうな笑みを浮かべた。


「引っ越しで結構ゴタゴタしてたからな。ごめんなユーリ」


「いいえ、いいの、ですっ。アインさん、人気者。ご多忙……わたし、理解してますっ。恋人、ですからっ」


 ふふん、とユーリが胸を張る。


「えへへ~♡ 恋人~♡」


 奈落で彼女とで会い、交流を重ね、魔王の脅威を退けた後、俺たちは結ばれた。


 とは言っても手をつなぐ、キスくらいしかしていない。


 恋人になったので、もっと深いことをしても良いのかと最近悩んでいるところ。


「アインさん?」


「あ、いやすまん」


「むー、悩み事、きんしー!」


 ユーリが俺の眉間をぐりぐりと触る。


「アイン、さん。抱え込むとき、眉間がきゅーってなります。わかりやすい、です」


「え、マジ?」


 うんうん、とユーリがうなずく。


「打ち明けて?」


「いやー……ええっと……」


 ちらり、と俺はユーリの豊かな乳房を見てしまう。


 俺も男なので、どうしても目が行ってしまう。


 大きくて柔らかそうで……い、いかん。


「たいした悩みじゃないよ」


「たいしたことじゃ、ないなら……言って?」


 まさか触らせてーみたいなことは言えない。


 彼女のお母さんに申し訳が立たないしな。

「もっとユーリと……その、な、仲良くしたいなって」


「♡」


 ユーリは俺の腕を、むぎゅーっと抱きしめる


「わたしも……です♡」


 彼女が肩に、頭を乗っけてくる。

 ふわりと香る甘い匂いに、俺はクラクラしかけた。


 腕に当たる柔らかな感触……ええい、雑念を払うんだ。


「ところで、アインさん。なにしてる……の?」


「まあ、散歩がてら、ミクトランの残したものを探しにな」


 割と広い屋敷の中を、俺はユーリとともに見て回る。


「忘れ形見……どんな形でしょー?」


「さあな。そミクトランの【職業ジョブ】がどういった形で保存されてるのか、皆目見当がつかん」


 俺たちは倉庫へとやってきた。

 年代物のワインが何本も置いてある。


「クルシュねえさま、すきそーです」


「少し持ってくか」


 メイドのロキシーから、屋敷の物はすべて自由に使って良いと許可を貰っている。


 俺は無限収納の魔法紋のなかに、ワインをいくつかいれた。


「ワインさん、職業ジョブ……入ってますか?」


 ユーリがボトルを持って振る。


「うーん……鑑定して見たけど、この辺には特に変わった物はないよ」


 ユーリが目を丸くする。


「いつの間に……? それに、こんなたくさん、ワインあるのに?」


「神眼が封じられてても、通常の鑑定能力は持っているんだよ。それに……魔王倒すまでに鑑定しまくったからな。全体鑑定はできるんだよ」


「すごい……です! さすがアインじゃ、です!」


 ニコニコ~とユーリが言う。


「お前に言われると、なんか新鮮だな」


「えへへ~♡ おかーさんの、まねっこ~♡」


 ワインセラーを出たあとも、俺たちは屋敷を回り、鑑定して調べ続ける。


「あ、おねえちゃんだ。やっほー」


「ピナ、ちゃん」


 精霊の妹たち、ピナ、マオ、メイが、部屋の中でトランプをしていた。


「なになにデート~? んも~お熱いんだから~」


「えへへっ♡ えへへへっ♡」


 くねくね、とユーリがうれしそうに身をくねらせる。


 精霊達は一定範囲内であれば、俺のそばを離れても動ける。


「おにーさんたち何してるの?」


「ミクトランの忘れ形見を探してるんだ」


「ふーん、それって探す意味あるの? ほっとけばいいじゃん」


「魔族側に渡って悪用されたら困るだろ。せっかく世界が平和になったんだからな」


 ピナがジッ……と俺を見てくる。


「どうした?」


「おにーさんって……自分から苦労を背負おうとするよね」


 呆れたようにピナがつぶやく。


「魔王倒すまであんなに忙しかったんだからさ、スローライフを純粋に楽しめば良いじゃん」


「いや……でもほっとけないだろ」


 ピナが俺を見上げ、ふぅー……とため息をつく。


「ま、おにーさんのそーゆーとこ、アタシ好きだよ。けどもうちょっとさ、肩の力抜きなよ」


「おう、忠告ありがとな」


「そそ、せっかくさ~ユーリおねーちゃんと恋仲になったんだから、夜の方もすればいいのに~♡」


「なっ!?」


 メイとマオと遊んでいたユーリが、俺に気づいて近づいてくる。 


「どーしました?」


「おねーちゃん、おにーさんがモガモガ……」


 俺はピナを羽交い締めにし、口を塞ぐ。


「なんでもない! ほらいくぞ、ユーリ」


「? はいっ」


 俺はユーリとともに、部屋を出る。


「おねーちゃんは多分、おにーさんのこと待ってるよ~」


 ニヤニヤとしたピナの笑みを後ろ目に、俺は彼女たちの元を去る。


 いやまあ……多分拒まないだろうけど、それでも……なぁ。


「どーしたの?」


「いや……男の悩みってやつだ。気にすんな」


「……ぽっ♡」


 ユーリは頬を染めて、いやんいやんと体をくねらせる。


 何を考えてるのかわからんが、何かを誤解させているのだろうことはわかった。


 ややあって。


「お部屋、ここが……最後です、ね?」


「ミクトランの書斎か」


 俺はギィ……と書斎の扉を開く。


 壁一面には本棚があった。

 整頓されているのだが、何冊か本が抜け落ちている。


 そして……部屋の中央に、本の山と、そしてそこに囲まれている少女がいた。


「アリス……?」


 ユーリの姉アリスが、部屋の中にいた。


 ただし、彼女は本に囲まれながら、すぅすぅ……と寝息を立てている。


「本を読んでいるうちに寝ちゃったんだろうか?」


 俺はアリスの元へ行く。


 このまま床で寝ているのは可愛そうだ。


 彼女を持ち上げて、部屋に送り届けようとしたそのときだ。


「…………」


 ぱちっ、とアリスが目を覚ます。


「おう、おはよう」


「~~~~~~!」


 ボッ……! とアリスが顔を真っ赤にする。


 彼女は俺の腕の中にいる。

 ちょうど、お姫様抱っこする感じだ。


「……あい、アイン、くん。どう、して?」


「ちょっと屋敷探索にな。こんなところで寝てたら風邪引くぞ?」


「……う、うん」


 俺はアリスを下ろそうとする。


 きゅっ……。


「え?」


 アリスは俺の服をつまんで、見上げてくる。


「……もう少し」


「もう少し?」


「……な、なんでもないわ」


 アリスを、よいしょと下ろす。


「じー」

「はいはい、あとでお姫様抱っこするから」

「わーい♡」


 アリスは必死になって、髪の毛をとかす。

 床で寝てたからか、寝癖で少し跳ねていた。


「何してたんだ?」


「……ミクトランの職業ジョブについて、何か記録がないか探してたの」


「すまん」


「……い、いいの。気にしないで。好きでやってること、だから」


 アリスは残されていた手記をパラパラとめくる。


「……ミクトランの父親の日記が残っていたわ。彼は最初、職業ジョブを持って生まれていたらしい」


「やっぱり、誰かに途中で奪われたんだな」


 こくり……とアリスがうなずく。


「犯人に心当たりは?」


「……記録にはない。ただ、ミクトランにはお兄さんがいたみたい。本来なら彼が当主になるはずだったけど、ミクトランの職業がすごい物だったから、次期当主の座は取られたって」


「その兄貴が怪しいな……。でも、職業を他人が奪うなんてことできるのか?」


「……そういうスキルがないわけでもないわ」


 職業を奪うやり方はあるようだ。


「取った物をどこに保管したんだろうな」


 と、そのときだった。


「わー!」


 ドサドサドサッ!


 ユーリが本棚のそばで、本に埋もれていた。


「ゆ、ユーリ! 大丈夫か!」


 俺はすぐさま彼女にかけつける。


「こぶとかできてないか? ケガは?」


「へーき、です。ご心配、おかけ、しましたっ♡」


 ふぅー……と俺は安堵の吐息をつく。


「…………」


 アリスは、そんな俺たちの様子を、沈んだ表情で見ていた。


「……いいなぁ」


「ん? どうした?」


「……いいえ」


 アリスが俺たちに近づいてくる。


「……アイン君、これ」


 すっ、と指を指す。

 そこには本棚しかない。


「特に何か変わったことなくない?」


「……この本棚の向こう、何かあるわ」


 本を全部抜いて、俺は本棚を引っ張る。


「壁に……これは、なんだろう? 魔法陣?」


 俺は鑑定スキルを使って調べる。


「どうやら転移の魔法陣のようだな」


「……触れると別の場所に移動する魔法陣。明らかに、怪しいわ」


 明確に隠す意図が感じられた。

 屋敷は結界が張ってあった以上、これを書いたのはミクトラン存命時の、誰かだ。


「行ってみる」


「……私も、いく」


「アインさん、わたしもっ」


 俺は転移の魔法陣に、触れるのだった。

【※お知らせ】


「鑑定士」のコミカライズがスタートします!


■7月29日(水)スタート


■「マガポケ」にて、毎週水曜日に更新



とてもよい仕上がりになってます。よろしければぜひ!


また、新連載のほうも書籍化が決まりました!

こちらもよろしくお願いします!

下の方にリンク貼ってますので、ぜひご覧ください!

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