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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
後日談

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201/245

201.ユーリ、アリスとお料理特訓

本編終了しましたので、告知通りサイドストーリー等を投稿していきます。



 アインさんと、わたしは結ばれました! うれしい!


 これは、世界樹の下でちゅ、ちゅーしたあと、数日後のお話です!


 ジャスパーさんの、お屋敷にて。


「アイン、さん……ハッキリ言って、ほしーこと、あります」


 お屋敷の中にある、アインさんのお部屋の中です。


 アインさんはソファに座って、のんびりご本を読んでいました。


「ん? なんだ?」


「……わたしのお料理、もしかして……まずい?」


 ピシッ、とアインさんの表情が固まります。


 アインさん、今は左目を全体的に覆い隠すような眼帯を、してます。


 黒くて、アインさんの御髪と同じ色で、かっこいい!


 おっと違った。本題だっ。


「い、いやぁ……そんなこと、ないぞ……?」


 黄金色の右目が、わたしから反らされました!


 これは、嘘をついている!


 わたしにはわかる……恋人の直感というやつだ!


 ……えへへ~♡ 恋人~♡


「アインさん、嘘は……めっ、です!」


 アインさんは、優しいのです。

 いつもわたしに気を遣ってくれる、だいすきっ。


 でも、恋人同士になったのに、そういう遠慮みたいなのは……いやです!


「アインさん、もう隠し事……いやです。前みたいに……黙ってて、実は辛かった……みたいなの、いやです」


 アンリちゃんを討伐したアインさん。


 あのとき、実は悪い魂が入っていたそうです。


 それで体調が悪くなったみたい。


 でも……アインさん、辛いそぶりいっさいみせないから。


 強いひとだけど……そういう強がりは、好きじゃないです。


「わたし、のまえでは……正直で居て欲しーです」


「……わかった」


 アインさんは、真面目な顔で、わたしにハッキリ言いました。


「ユーリ。おまえのメシは……マズい」



    ☆



「とゆーことで、アリス姉さま! お料理……教えてください!」


 やってきたのは、ジャスパーさんちの厨房です。


 となりには四女のアリスねえさまがいます。


「……別に良いけど、ユーリ。私よりもっと料理が美味いひとは多いわよ?」


「アリスねえさまは、最近までお料理、へたでした。でもっ、見違えるように上手になりました! その秘訣……ぜひしりたいです!」


 ウルスラおかーさんが言ってました。


 精霊は、食事を基本、必要としないと。


 なので、何世紀も長い間、わたしたちは地下で暮らすことができました。


 ですがここで一つ大きな弊害がっ。


 お料理……作ったことない!


「……なんだか気恥ずかしいわ。ウルスラさんに頼めないの?」


「おかーさん、料理へたです!」


「下手なの?」


「ド下手です!」


 わたしと良い勝負します。


 おかーさんは『いや……基本引きこもりじゃったし……守り手の仕事に料理は入ってなかったし……そもそも王族で料理したことなかったし……』と弁解してました。


「……そう。でも、私も多くを教えられないわ」


「おしえてください! わたし……料理上手な、お嫁さんに……なりたいの!」


 わたしがまっすぐねえさまを見て言います。


 ねえさまは、「……そう」なんだかまぶしい物を見たような、目をしていました。


 目を細めて……けど、どこか羨ましそうな目です。


「……わかった。できる限りのことは教えるわ」


 こうして、ねえさまのお料理教室……スタートです!



    ☆



 ねえさまとカレーライスを作ることにしました。


 カレーは大好き! おいしいもん!

 

【あっち】にいたときも、よく食べてました!


 ……【あっち】って?


 まあそれはいいです。


「……料理のこつは、レシピ通り作ること。アレンジを下手に加えようとすると失敗するわ」


「え?」


「……だからユーリ、そのチョコレートを仕舞ってきなさい」


「で、でも……カレーにチョコいれると、隠し味になっておいしいって! 漫画で読みました!」


 ……漫画? おや? なんでしょうかそれ。


「……アレンジは、基本を守ってから。基礎ができてないうちから応用はよくないわ」


「なる、ほど! 一理あります!」


 わたしはポリポリとチョコを頬張るのです。


 うーん……うまい!


 ねえさまに手ほどきを受けながら、わたしはカレーライスを作ります。


 お野菜の皮をムキムキ。


 とんとん。


「……そう、上手よ。野菜を切るときは猫の手」


「猫! にゃー!」


「…………」


「じー……」


「……な、なに?」


 わたしは、ねえさまに猫の手を強要します。


「にゃー!」


「……わ、私にやれと?」


 そのとおり。

 わたしは知っているのです。


 ねえさまが猫ちゃん大好きだということを!


 どこからか拾ってきた猫を、いつもねえさまは愛でています。


「時々、ねえさまやってるじゃないですか。おいしいですか、にゃー♡ って」


「…………」


 アリス姉さまは顔を赤くして、うつむいてしまいました。


「やってくれなきゃ、可愛いことしてるって、ばらしちゃいますよ?」


 ふふ、ちょっといけない女です。


 ピナちゃんはよくわたしをいじります。


 その気持ち……よくわかります!

 ねえさまを見てると!


「…………」


 アリス姉さまは、耳の先まで真っ赤にしたあと、小さくつぶやきます。


「……にゃ、にゃー」


 なんとかわいいことでしょう。


 とってもねえさま……かわいい!


「動画撮影しておけばよかった、です!」


「……動画?」


「……どうが?」


 ……はて?



    ☆



 食材諸々をお鍋にぶち込んで、あとは待つだけです!


 わたしと姉さまは、お鍋の前で完成を待ちます。


「……ユーリ、貴女がまぶしいわ」


 唐突に、ねえさまがわたしを見上げて、そう言ってきました。


 身長的には、わたしの方が上なので、自然とそうなるのです。


「まぶ、しー?」


 ぴかぴか輝いてるのでしょうか?


 でも世界樹の姿でないときは光りませんし……。


 ちなみに、あの光は魔力の光です。

 

 自然と発光するのです。


「貴女が、羨ましいわ。……私は、あの人に、まっすぐ思いを伝えられないもの……」


 きゅっ、とねえさまが胸の前で手を組んで言います。


 あの人って、たぶんアインさんのことです。


 ねえさまは、アインさんが好きなんです。

「ねえさま。どうして、遠慮、するのですか?」


「……遠慮なんて、してないわ。ただ勇気が出ないだけよ」


 ねえさまは、あんまり心の奥にしまってることを、口に出しません。


 慎み深く、上品な姉さまは、とても素敵だと思います。


 でも……言いたいことを言えないのは、辛いです。


 わたしは隣に立つ姉さまを、抱きしめます。


「ねえさまは……遠慮してます」


「……してないわ」


「してるんです! わたしには、わかります! だってねえさま、最近ずっと……浮かない顔をしています」


 特に、わたしとアインさんが、付き合ってから、ずぅっとです。


「……普段から、こんな顔よ」


「ちがいます! ねえさまはもっとこう……ぱー! って。ぱーって! 笑います!」


 ああ、語彙力がたりません!


 でも、言いたいことは伝わったようです。

「……そう、かしら?」


 わたしはしっかりと、うなずきます。


「ねえさま、遠慮しないで。わたし、ねえさまも、みんなも……しあわせになって、ほしーです」


 ねえさまたちや、妹たち。

 みんなみんな幸せになる。


 それが、わたしにとって最高なのです!


「……そう」


 アリスねえさまは、ちいさくつぶやきます。


「……そうね。言われてみると……遠慮してたかも」


「遠慮、無用です! ねえさまも、がんがんアタック、です!」


 むんっ、とわたしは鼻息荒く言います。


「……でも、どうすればいいの? 私、あなたみたいに綺麗じゃないし、胸も小さいし……」


「ねえさまは綺麗です! お胸は……のーこめんとで!」


 ずぅん、とアリス姉さまが落ち込んでしまいました! 


「気持ちです。気持ち、あればだいじょーぶ! だいじ!」


「……そうね。そうして、みるわ」



    ☆



 お料理完成したので、わたしとねえさまは、アインさんのところへカレーを持って行きます。


「美味そう……これ、おまえが作ったのか、ユーリ?」


 ソファに座るアインさんが、右目を丸くさせます。


「はい! ねえさまと一緒に、です!」


「そうか。じゃあ安心だな」


 じゃあってなんですかじゃあって!

 まあいいです。


「愛情、たっぷりです♡ 食べてください♡」


「…………」


 ねえさまが、顔を真っ赤にしてうつむいています。


 わたしは恋のキューピットととして、すすっ、とねえさまの背中を押します。


「ねえさまの愛情も……たっぷりです!」


「そ、そう……なのか?」


 アインさんが、ねえさまを見て尋ねます。

「…………」


 ねえさまは耳の先を真っ赤にして、ぱくぱくと口を閉じ開きします。


 がんばれー! ねえさま!


「……そう」


 長い沈黙のあと、一言だけ、ねえさまは言いました。


 たたっ! と足早に逃げていきます。


「とゆーこと、です!」


「あ、ああ……そうなのか。……うん、わかったよ」


 アインさんはカレーライスをパクッと一口食べます。


「お味は?」


「うん、美味い」


 こうして、初めて、お料理は成功したのでした!

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― 新着の感想 ―
[一言] 読みづらい、これに尽きる
2020/05/07 02:55 退会済み
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