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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
10章

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182/245

182.エキドナ、四天王と人間界に進出する



 鑑定士アインが、精霊たちとお花見をした、2週間後。


 魔界にて。


 かつて魔族たちの暮らしていた世界は、もはやかつての面影を残していない。


 町中に木の根が張り、魔族たちは世界樹に栄養として取り込まれている。


 もはや魔界に人は一人もおらず、全員がミクトランの養分にされていた。


 さて。


 かつて魔王城だった場所にて。


 地下から伸びる世界樹によって、この城も世界樹に浸食されていた。


 ユーリたちと違って、この世界樹は全体が黒々としている。


 木の根をたどっていった地下には、大広間がある。


 巨大な樹木の根元には玉座があり、そのそばに、美貌のダークエルフが立っていた。


「さて、機は熟したわ」


 エキドナが見下ろす先には、魔神たちが跪いている。


 全員が人の形をしてはいるが、尋常ではない闘気オーラが漏れ出ていた。


「いよいよ人間界へと進出し、あなたたち四天王には、思う存分暴れてもらうわ」


 にこりと笑うエキドナ。


 そう、この魔神たちは魔王四天王。


 ミクトランの細胞から作られた、別格の魔神たちだ。


「えきどなさま。いいの? 【にゃる】あばれていいの?」


 先日、ゼウスを切断した魔神の一人が、エキドナにキラキラした目を向ける。


「にゃる。たくさん。ひところすの。すき」


「ええ、良いのよ。好きなだけ殺しなさい。人間界には人をはじめとして、生き物がうじのようにわいているわ」


「うぉー。てんしょん。あがるー」


 ふすふす、と【ニャル】と名乗った魔神が鼻息荒く言う。


「カカッ! まこと楽しみよのぉ」


 着物を着た魔神が、にまりと笑って言う。


「我ら【理の外にいる神】に恐怖し、うろたえる害虫にんげんどもを見るのは……まこと、愉快愉快」


「【シュブ】。にゃる。えもの。とるの。だめ」


 むー、とニャルと名乗った神がほおを膨らませる。


「にんげん。のこらず。にゃる。くう。シュブ。やらない」


【シュブ】と呼ばれた魔神は苦笑すると、こう答える。


「わらわはおぬしと違って、人間を食う気にはなれぬ。わらわが欲するは恐怖という感情。おぬしが人を食うことでそれが発生するからのぉ、邪魔する気は毛頭ない」


「ならいい」


 満足げにニャルがうなずく。


「エキドナ様。ここには3人しかおらぬ。【白痴】が見当たらぬのじゃが、どこへ……?」


 シュブはキョロキョロとあたりを見渡す。

 この場に集まっているのは、3人の魔王四天王たちだ。


 残り一人の姿が見えない。


「あの子は出番が来るまで眠ってもらっているわ。ニャルやシュブ、それに【ヨグ】と違って知性が無いから」


「確かに、われらとてあやつに暴れられたら命はないからな」


 やれやれ、とシュブが首を振る。


「【ヨグ】は何か言うことはないのかの? やっと外に出れるのじゃぞ?」


 ヨグと呼ばれた大男は、しかし口を開かない。


 ぼろ布を纏った魔神からは、何も覗けない。


 顔も手足も布の奥にある。


 ぼた……ぼた……と粘液とも唾液ともいえない液体が、常に体から分泌されていた。


「ーーーーーーー」


「なるほど、待ちきれないか。カカッ、わしも同じじゃ」


【ヨグ】は言葉を発していないにも関わらず、シュブと意思疎通ができていた。


「ーーーーーーー」


 ヨグはエキドナに顔を向ける。


「良いのよ、アインのことは気にしないで。あなたたちが殺してしまっても、全然かまわないわ」


 エキドナは微笑む。


「アイン。にゃる。ごはん。じゃまする。きらい。……ぶっころす」


「アイン・レーシック。人類最後の希望にして、我らの唯一敵となる存在……か」


 シュブは懐疑的なまなざしをエキドナに向ける。


「しかし本当に、アインは我らに対抗しうる力を持っておるのかの……?」


「ええ。それはもう。下手したら全滅もあり得ると思っているわ」


 実に嬉しそうに、エキドナが微笑む。


 そしてうっとりとしたまなざしを背後の大樹に向ける。


「だってあの御方が収まる器ですもの……それくらいできて当然よ」


「ふぅむ。我ら【外なる神】をも倒しうる存在か……面白い」


 シュブが邪悪に笑う。


「ーーーーーーー」


「ヨグよ、駄目じゃ。まずはわらわがアインを殺す」


「にゃる。やる。おまえら。じゃま」


 魔神たちはみなやる気をみなぎらせていた。


「みんなが楽しそうで、私はとても嬉しいわ。けど足を掬われないように気をつけてね」


 するとニャルとシュブが、余裕の表情を浮かべる。


「にゃる。にんげんごとき。まけるはず。ない」


「エキドナ様、それは我らへの侮辱に当たるぞ? 失礼ながら発言を撤回してほしいかの」


「ーーーーーー」


「ごめんなさい、ヨグも。別にあなたたちの力を軽く見ているわけじゃない。ただ、そうやって何人も何十人も殺されていっているから、ね」


 シュブはハンッと鼻で笑う。


「あり得ぬ。我らが負けることなど、100%な」


「てんち。ひっくりかえっても。ない」


 自信に満ちあふれた四天王たちの表情を見て、エキドナが静かに微笑む。


「そうね……。さて、じゃあ参りましょう。ヨグ、お願い」


 ヨグはうなずくと、その場を後にする。


 ややあって。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!!


 城全体が、揺れ出す。


 否、空間が直接揺さぶられていた。


 バキッ、バキバキバキバキ……!


 エキドナは眼前にゲートを開く。


 緑色の巨大な触手があちこちに伸びている。


 触手は次元と次元の合間にある【壁】を、力尽くで破壊していく。


「次元の壁すら無に返すとはの。【最極の空虚】の名は伊達では無いか」


 シュブが感心したようにつぶやく。


 ヨグの触手は、振れたそばからあらゆる者を虚空に返す。


 ベリベリと、まるで壁板をはずすかのごとく、魔界と人間界とを隔てていたものを無理矢理引き剥がしていた。


 ややあって。


「これで人間界と魔界とが、つながったわ。さぁみんな、進軍よ。シュブ、雑魚どもを先行させて」


「わかっておる」


 シュブがパチンッ、と指を鳴らす。


 魔界の地面から、ずぁあああああ! と【異形の何か】が這い出る。


 それは化け物たちは人間界めがけて、亡者のような足取りで進み出す。


「しかしエキドナ様。こんな雑魚ども、アインには通用せぬぞ?」


「わかっているわ。私たちが攻めてきた。その恐怖を人間どもに知らしめて欲しいのよ」


「委細承知」


 化け物たちは、影から無限に湧き出てくる。


 それらは獣人国、エルフ国など、様々な国にも発生した。


「ここまですれば、愚かな人間たちも気がつくじゃろう」


「そうね……。ああ、素晴らしいわ」


 エキドナはほおを紅潮させ、背後の世界樹へと近づく。


「ミクトラン。聞こえる? 人間たちの恐怖の声が……」


 ミクトランはまだ半分覚醒状態、といったところか。


 ぼんやりとした表情で、人間界を見ている。


「待っててミクトラン。すぐにあなたを裏切ったゴミどもを掃除して、この地にあなたを復活させるから」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 神様まで倒しちゃったし、 次に戦うとしたらエキドナか地球外生物だろうと思ってたんだけど・・・ まだ地球人と戦うのかwwwwもう無理だってばw 主人公には勝てないって地球人じゃ また定…
[一言] 堂々と差別用語を使うのか。呆れるね。
[一言] エキドナ(仮)は馬鹿なのかな? アインに勝てないの知っててわざわざ作り出すとか。
2020/03/11 00:02 退会済み
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