174.鑑定士、精霊にメイド服でご奉仕される
俺は軍神アレスを討伐した数日後。
ジャスパーの屋敷にて。
「ご主人、さま♡ 今日は、ごほーし、します♡」
俺の部屋に、メイド服姿のユーリがやってきて、そう言ったのだ。
「……えっと、ユーリ? どうしたんだ?」
ユーリは紺のワンピースに白いフリルのエプロンを身につけていた。
ソファに座っていた俺のそばに立つ。
「毎日、アインさん、おつかれです。だから今日は、癒やすために、わたし、1日メイド、なります!」
ぐっ……! とユーリが拳を握りしめる。
「そんな、気を遣わなくていいぞ。俺は自分の意思で敵と戦ってるわけだし」
「しょぼーん……」
「え、えっと……じゃ、じゃあお願いしようかな」
「はいっ♡ わかり、ました! ご主人様♡」
ニコニコと笑顔のユーリ。
メイドになれるのがそんなに嬉しいのだろうか……。
「ご主人さま。まずは、なに……します? ご飯、ですか? お風呂? それとも……ぽっ♡」
「ぽってなんだよ、ぽっ、て」
ユーリは自分の体を抱いて、いやんいやんと体を振る。
エプロンに包まれたたわわな果実が、ぷるぷると震えて思わずガン見してしまった……。
「はずかしい、です……けど、ご主人様になら……きゃっ♡」
「……お茶でお願いします」
「むー。いけ、ず。いいのに。アインさんになら、いいのにっ」
ユーリは不満そうにぷくっとほおを膨らませて、お茶をいれるため、部屋を出て行った。
「またクルシュとピナあたりに、妙な知識を吹き込まれたんだろうな……」
ため息をついていた、そのときだ。
ガチャッ。
「ユーリ? ……って、アリスか」
「……おはようございます、旦那様」
アリスもまた、ユーリ同様にメイド服を着ていた。
彼女はユーリのものよりも、スカートの丈が短かった。
「だ、旦那様って……なに?」
「……今日は、アイン君の1日メイド……です」
「そ、そうですか……」
アリスは恥ずかしそうにスカートの丈を押さえながら、俺のそばまでやってくる。
太ももの間の隙間やら、ショーツの端やらが見え隠れして、それが気になって仕方なかった。
アリスは妹同様、普段疲れている俺を今日はもてなしくてくれるらしい。
「……旦那様。ケーキをお持ちしました」
カートを押してくる。
その上には、色とりどりのケーキがのっていた。
「美味そうだけど……これ、どうしたんだ?」
「……旦那様のために、頑張って作りました」
アリス曰く、あれから料理を猛特訓したらしい。
「俺のために、すまんな」
「……いいの。あなたは、私にとっての特別な人だから」
淡く微笑むアリスは、本当に美人だった。
「……どのケーキに、いたしましょう?」
「じゃあ……イチゴショートで」
アリスはうなずくと、お皿にケーキをのせて、俺の前にひざまずく。
「あの……アリスさん?」
「……だ、旦那様。あ、あーん」
アリスが、顔を耳の先まで真っ赤にして、フォークを向けてくる。
「いや……自分で食べられるよ」
「…………」しゅーん。
「あ、あーん!」
俺は口を前に突き出す。
ほおを紅潮させたアリスが、俺にケーキを差し出してくる。
アリスはバレンタインのとき、お菓子作りに失敗してたからな。
今回は大丈夫だろうか……? と思ったのだが。
「う、うまい……」
普通に、美味かった。
「……旦那様のためだけに、真心込めて作りました」
「いやほんと、マジで美味いよ。頑張ったな」
「…………」
アリスは顔を湯気が出るほど真っ赤にすると、ぽろ……っとお皿を落とす。
ガシャンッ!
「だ、大丈夫かアリス……?」
ハッ……! とアリスが正気に戻る。
「……ご、ごめんなさい旦那様。おけがはありませんか?」
「俺は平気だよ。すぐに片付けるからおまえは……って、アリスさん?」
アリスは立ち上がると、後ろを向く。
スカートの端をつまんで、ぴら……っと持ち上げる。
「ちょっ!?」
彼女の細くしかし意外とむちっとした太ももが見える。
そして、ぷりっとした張りのある、真っ白なお尻がのぞいた。
「って、なにやってるんだよ!?」
「……だ、旦那様。ど、どうかこの失敗してしまった駄目なメイドに、お、お仕置きしてください……」
目を潤ませ、ぷるぷると体を震わせながら、そんな台詞をアリスが吐く。
「いやそんなのいいから!」
「……旦那様。どうか、折檻を」
と、そのときだった。
ガチャッ!
「ご主人、さま~♡ お紅茶入れてきましたー♡」
「どうして最悪のタイミングで来るんだよ!?」
ほわほわ笑いながら、ユーリが紅茶を持って現れる。
「ハッ! ねえ、さま!」
あわわ、とユーリが俺とアリスを見て口もとを震わせる。
「いやユーリ違うんだこれは違うんだマジで違うんだよ!」
「……旦那様。はやく……して?」
アリスはまだスカートをめくり、お尻を突き出すポーズをしている。
普段物静かな彼女が、こんなはしたないポーズをすることに、俺はドキドキしていた。
「なる……ほど!」
ユーリは真面目な表情でうなずくと、俺の前まで歩いてくる。
ずるっ……!
がしゃーんっ!
「あー、転んで、しまい、ましたー。ティーセット、壊しちゃったなー」
ユーリは足を滑らせ、ティーポットを割ってしまった。
「ご主人さまっ♡ もうしわけ、ございません♡ 悪いメイド、を、お仕置きしてください!」
ユーリが俺の前で跪き、両手を組んで、俺を見上げる。
ぐにゅっ♡
腕に挟まれて、ユーリの巨乳がいやらしくひしゃげていた。
「鞭、ですかっ! それとも……縄、ですかっ!」
「何でそんなご機嫌なんだよ! てゆーか誰だ教えたの!?」
「「あたしたちでーす☆」」
「アホどもがぁあああああああああ!」
残りの精霊たちが、わいわいと俺たちのもとへとやってきた。
全員がメイド姿だった。
「おっと~☆ これはアダルトプレイの最中だったかな☆」
「おっとっと~。アイちゃん、避妊はちゃーんとしないとね~」
「おまえらがふたりに妙なこと吹き込んだせいで、妙な空気になっただろうが!」
メイド姿のメイが、マオに尋ねる。
「まーちゃん、ひにんってー?」
「うぇ!? し、知らんよそんなもん!」
一方で三女が、真剣な表情で俺の前に座る。
「アイン様……♡ わたくし、毎晩アイン様で熱い妄想……していますの。こんなメイドに……どうか罰をお与えくださいまし」
テレジアが俺にしなだれかかって言う。
「なんでみんな、俺にお仕置きされたがってるんだよ!」
「「「相手がアインさんだから!」」」
「訳がわからねえよ!」
……その後も美少女メイドたちとご飯食べたり、お風呂で体洗われたりして過ごした。
癒やしではあったんだが、それ以上に疲れたのだった。