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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ配信中!】  作者: 茨木野
9章

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162/257

162.鑑定士、精霊からバレンタインチョコ貰う



 ダンジョンで小悪党を退けた数日後。


 王都、ジャスパーの屋敷。

 客間にて。


「アイン、さん! 今日は、バレンタイン、です! チョコ、つくり、ます!」


 いつもはニコニコぽわぽわしているユーリだが、戦場に赴く兵士のような顔をしていた。


「ばれん、たいん? なんだそれ」


 聞いたことのない単語に、俺は困惑する。

 そこにユーリの姉妹たちが顕現する。


「美少女たちからチョコレート貰える日だよ☆」


「いいなぁアイちゃん。7人の美少女からチョコもらえるなんて、このこのうらやましいね~」


「とゆーことでお兄さん、アタシたちが作るチョコを期待して待っててね☆」


「は~い、それじゃあキッチンへ移動するよ~ん」


 次女クルシュとともに、精霊姉妹たちがぞろぞろと部屋を出て行く。


 ポツン、と俺だけが残される。

 

 ソファに座り、ぼけーっとしていたそのときだ。


「おや? どうしたんだい少年」


 赤い髪の商人ジャスパーが、俺の元へとやってきた。


 俺の隣に、ジャスパーが座る。


「ほかにも座るとこあるだろ」


「大好きな君の隣に座りたいんだ」


 ほほえみながら、ジャスパーが俺の腕をギュッとつかむ。


 大人の女性の甘い匂いが鼻孔をくすぐり、大きな胸の感触に、ドギマギしてしまう。


俺は恥ずかしくなって、ジャスパーから距離を取る。


「ところで、何し来たんだ?」


「隠しダンジョンの候補リストを持ってきたよ。それと、頼まれていた件の【調査書】ができたから報告しにね」


 ジャスパーから書類を受け取る。


 ユーリの姉妹は、世界各地に存在する隠しダンジョン内で暮らしている。


 今まで7つものダンジョンの居場所を特定できたのは、大商人ジャスパーの力によるところが大きい。


「8つ目の隠しダンジョンの所在はある程度しぼれてきたけど、問題は9人目、長女エキドナの所在だね。正直さっぱりつかめないよ」


「まあもともとエキドナの世界樹は枯れて、精霊核だけがどこかへと消えたって話だもんな。それもだいぶ昔の話だし、見つからなくてもしょうがない」


「ふふっ少年、君は本当に優しいな。ふがいない妻をとがめることなく、フォローするとは。さすが未来の旦那様だ」


「ええっと……それで、【例の件】の調査書はどうなっている?」


「少年の言っていたとおりだった、【魔物の数が減っている】」


 ジャスパーの調査書には、ここ数週間で出現するモンスターの数が激減した、というデータが記載されていた。


「ここ近辺だけの話ではない。よその国でも、全国的にモンスターの出現率は格段に減っているね」


 千里眼を持つ俺は、敵の出現する未来を見通し、さらには広範囲の索敵能力を持つ。


 モンスターが出れば俺に伝わってくるのだが、ここ数日は特に敵の気配を感じなかったのだ。


 気になってジャスパーに調査してもらったところ、俺の予感は的中していたらしい。


「魔族の目撃情報もゼロだ。そこで私は、一つの仮説を立ててみたんだ」


「仮説?」


「魔物や魔族たちが、アイン・レーシックという英雄きょういを恐れ、姿を消した、という仮説さ」


 至極真面目な顔で、ジャスパーが自分の説を唱える。


「いや、それはさすがにないだろ」


「そうかな? 調査によると、君のいる場所付近ほど、モンスターの出現率が低くなっているんだ。王都周辺は、フィールドもダンジョンもモンスターの数はゼロ」


「フィールドにモンスターがいないなんて、あり得るのか?」


「前代未聞さ。街の外にモンスターがいることは当たり前のことだったんだ。これは大変なことだよ」


 ジャスパーは俺を見て、ふふっと微笑んだ。


「君は、すごい男だ。存在するだけで世界を平和にしている。素晴らしいことだよ」


「俺はそんなたいそうな男じゃないけどな」


「ふふっ。やはり君は最高だ。どれだけ強くなろうと謙虚な姿勢を忘れない。君という男のものになれることを、私はとても誇らしく思うよ」


 その後ジャスパーは、俺と雑談した後、部屋を出て行った。


 ややあって。


「アイン、さーん!」


 リビングから、エプロン姿のユーリが、笑顔で駆けてきた。


「でき、ましたー!」


 お皿を持って俺の元へとやってくる。


「お、おお……。ゆ、ユーリ。この……黒い物体は、な、なんですか?」


「ちょこれーと、です!」


 ふんす、と鼻息荒くユーリが言う。


 チョコレートは、知っている。

 だが……皿にのっていたのは、黒く焦げた何かだった。


「愛情、ぎゅぅっと、込めました!」


「う、うん……ありがとう」


 そう言えばユーリは料理下手だったな。


「じー」

「あ、あとでいただきます……」


「熱いうちに、めしあがれ!」


「え、ええっと……今食べるのは、もったいなくてちょっと……」


「熱々、たべて。ほしい……です!」


 一切邪気のない笑みに押されて、俺はユーリの作ったチョコを手に取る。


「えっと……ええっと……い、いただきます!」


 気合いを入れて、俺はチョコにかじりつく。


 シャリッ……!


 今チョコから、しちゃいけない音が!


「おあじ、いかが?」


「お、おおー……うん。いいね!」


 灰をかみしめているような味がした、なんて言えない。


「……アイン君」


「アリス。おまえも作ってくれたのか?」


 薄幸の美少女が、俺に近づいてくる。


 体の後に何かを隠して、もじもじとしている。


 アリスはインドア派だ。

 お菓子作りとか得意そうだし、期待できるな。


「……アイン君。受け取って」


「……お、おお」


 あれ? おかしいな。


 アリスが俺に差し出してきた皿には、黒焦げた何かが乗っていた。


「え? ユーリのチョコ間違ってもってきたの?」


「……え?」


 アリスは本気で、驚いたような表情になった。


 そ、そうか。

 自分で作ったのか。


 別々に作ったのに、全く同じものになっているのはどうしてだろう……。


「……要らない?」


「そんなことないぞ! うれしい! いただきます!」


 シャリッ……!


 ……また、チョコからしちゃいけない音がした。


 味も同じだった。


「お、おいしいぞ」


「……良かった。あなたのために一生懸命作ったの。失敗したらどうしようって不安だったから」


 この雰囲気でマズいなんて言えるわけがなかった。


 アリスもぶきっちょなんだな。

 まあ本の虫だから、料理なんてやったことないか。


「お兄さんめっちゃ困ってる☆ 超ウケる~☆」


「おまえは後で殴る」


「アイン様……わたくしのは、裸にチョコを塗った特別仕様……ですわ。さぁ……食べて」


「おまえも後で殴る!」


 メイのチョコは、クルシュと一緒に作ったからかすごい美味かった。


 ピナは辛子を入れて来やがった。


 マオのチョコは普通だったので特にコメントできなかった。「酷い!」


 その後精霊たちのチョコ全て食べ終わった後、クラウディアやジャスパーなど、知り合いが押し寄せて大量のチョコをもらったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] チョコレート(焼き菓子)は新しいな! と思った。 [気になる点] チョコについてのツッコミ描写が無かったので、 まさか作者は素で···? と勘ぐってしまった。 違いますよね?
[一言] というかアインはバレンタイン知らないんでしょ? てことはさ、少なくともこの世界のものでは無いわけじゃん。 でもずぅ〜っと昔から精霊たちは生きている。 てことはこの世界は俺達が住んでいる世界か…
2020/02/20 18:08 退会済み
管理
[一言] マジで面白いです! これからも投稿頑張ってください!
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