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149.イオアナ、禁術を使うが全く歯が立たない



 鑑定士アインが、ドワーフ国の復興を手伝った、翌日。


 ニサラキの街郊外にて。


「アーーーーイーーーーンぅうううう! ひさしぶりだねぇえ!!!」


 赤髪の魔族イオアナが、特級魔族【ポーン】5体を連れて、アインの元へやってきたのだ。


「……イオアナ。もうそろそろ俺に勝てないって学習しろよ」


 イオアナは【ポーン】のネックレスを、アインに見せつける。


「どぉだ! ボクは特級に進化したんだ! しかも残り5体のポーンたちの隊長に抜擢されたんだよぉ!」


 勝ち誇った笑みをイオアナが浮かべる。


「上級魔族だったボクが特級になったぁ! これが何を意味するかわかるかい!?」


「知らん。人数合わせに入れてもらったんじゃないのか?」


「はっ! せいぜいほざいてろよ。ボクの【新しい力】を見て、腰を抜かすなよぉ!」


 イオアナは両手を広げる。


「さぁ兵士ども! ボクの時間をかせげ!」


 指揮権はエキドナから任されているため、ポーンたちは言うことを聞くのだ。


 兵士たちはダッ……! とアインに突っ込む。


 アインは左目を黄金に染め、兵士たちを見て言う。


「【ひれ伏せ】」


 ズシャッ……! と1体がその場に倒れる。


 だが残り4体はアインに向かう。


 目をつぶり、アインの攻撃をかわした兵士たちが、にやりと笑う。


 誓約の蛇眼は視界に入らなければ発動しない。


「アホか、おまえら」


 アインは今度は、目を赤くする。


 ボシュッ……!


「目をつむったら俺の次の攻撃が見えないだろうが」


 これで残り3体。


 ダッ……! と3体の兵士が走る。


 速さが自慢の奴らだけが残った。


 素早い動きで、アインを翻弄。


 残り3人が銃や弓などを使って、アインに遠距離から攻撃をする。


 アインは両手を広げる。


 左右に魔力と闘気を出し、それを胸の前で合成。


 ゴォオオオオオオオオオオオオ!


 アインの体からは、凄まじい闘気があふれ出る。


 禁術。

 魔力を闘気で強化することで、莫大な力を身に付ける禁忌の術だ。


 特級たちの攻撃を、禁術オーラによる鎧で、弾く。


 パリィイイイイイイイイイイイイン!


 弾かれた弾丸や弓を受けて、兵士たちは負傷。


 2名重体。

 1名は死亡した。


「終わりか?」


「く……くくく……はーーーはっはっはーーーーー!」


 イオアナがギラついた目でアインをにらみ付ける。


「よく時間をかせいだザコどもぉ! あとはボクに任せろぉ!」


 イオアナの胸の前には、小さなエネルギーの球体ができていた。


「それは、まさか……」


 慎重に、ゆっくりと、そのエネルギーの塊を、イオアナは自分の体に取り込んだ。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオ!


 イオアナの体から、凄まじい闘気が吹き出る。


 イオアナの腕には、痣が浮かび上がっていた。


 それは炎のような形をしていた。


「禁術……。おまえも身に付けていたのか?」


「そうだよぉ! おまえを殺すために必死こいてこの技術を身に付けたんだよぉ!」


 イオアナが軽く手を振る。


 それだけで、近くにいた兵士たちが吹き飛んだ。


「ははっ! すごい! この力! まさに最強のボクにふさわしい力だぁ!」


 勝ち誇った笑みをイオアンがアインに向ける。


「禁術を身に付けたことで、これで君と互角になったわけだよアインぅ!」


 イオアナはパキパキ……と指を鳴らしながら、アインに近づく。


「今まで散々、ボクをこけにしてくたね。けど……ようやく、よーーーやく、君をぶっ殺せるよ……」


 歓喜と狂気の入り交じった、凶悪な笑みをイオアナが向ける。


「調子に乗っていられるのも今日までだ! 今日からはボクが強者だ! ボクに震えろサルがぁ!」


 ダッ……! とイオアナはアインめがけて走り出す。


「死ねぇえええええええええ!」


 禁術で強化したことで、イオアナの身体能力は超向上している。


 凄まじい速さで、アインに突っ込む。


 イオアナの拳が、アインのオーラの鎧に触れた……その瞬間だった。


 ボッ……!


「な、なにぃいいいいいいいい!?」


 イオアナの腕が、突如として消失したのだ。


 バッ……! と距離を取る。


「な、なんだ!? 何が起きたんだ!?」


 困惑するイオアナ。

 消失する術を、アインは使っていない……?


 と、そのときだった。


「う、うぎゃぁああああああああ!」


 突如、失った方の腕の付け根から、凄まじい痛みを感じたのだ。


「体がぁ! 焼けるぅうううう!」


 イオアナは痛みに耐えきれず、その場で倒れ込む。


 じゅぅううう…………。


 左腕はまるで炎であぶられたように、湯気がでている。


 それだけじゃない。


「う、腕が再生しない! ど、どうなってるんだぁ!?」


 特級となったイオアナは、部位欠損など一瞬で元通りになるはず。


 だというのに、失った腕は再生する兆しがない。


「簡単だ。神の力を俺は取り込んだからな」


「か、神の力!? なんだそれは!? 聞いてないよ!?」


「この間、トールっていう神の一柱を討伐した。やつのもっていた神の闘気を吸収したんだが、対魔族に有効なんだとさ」


「な、なんだよそれは……」


 イオアナは呆然とつぶやく。


「聞いてない……そんなこと、聞いてないよ……!」


「おまえに言う必要がどこにあるんだよ」


「くっ! こ、殺せ! おいおまえら殺すんだよぉ!」


 生き残った2体の兵士に、イオアナは命令する。


 躊躇する兵士たちだが、アインに向かって攻撃を放とうとする。


「少し、本気出すか」


 アインは両手を胸の前で構える。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


「な、なんだその莫大なオーラはぁ!?」


 さっきまでとは比べものにならない闘気が、アインから噴出していた。


 彼の左目の痣が、より大きく、濃くなっていた。


 アインの出したオーラは、兵士の攻撃は愚か、兵士たちの体をも飲み込む。


 ジュッ……!


 ポーンたちは、アインの出したオーラに触れただけで、完全消滅した。


「おまえ……さっきまで手を抜いてたのか……」


 アインの纏うオーラ量に、イオアナは愕然とつぶやく。


 ぽた……と涙がこぼれ落ちる。


「ふざけるなよぉ……。こっちが必死こいて力をつけ、やっと追いついたと思ったら……おまえはいっつも、一足飛びで凄まじい力を身に付けてさぁ……」


 アインが近づいてくる。


 あのオーラに触れたら死んでしまう。


「もういい加減あきらめろ」


「くそ……くそくそくそぉおおおお!」


 イオアナは奥歯をかみしめる。


 カチッ……!


 ドガァアアアアアアアアアアアアアン!


 突如、イオアナの体が破裂した。


 体の中に仕込んであった爆発の魔法を発動させたのだ。


 無論アインは禁術の鎧により全くの無傷。


 しかし爆発が目眩しとなり、イオアナはその隙に逃亡。

 

「アイン覚えてろぉ! 次こそ……次こそは貴様を地獄に送ってやるからなぁあ!」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「重体」は意識がない状態なので、すぐには動けません。 「重傷」はケガがひどいだけなので、痛みを我慢すれば動けるケースがあります。(運動機能が残存してる場合) 「重体」は通常死に至るかど…
[一言] ランキングが下がっている原因は、ただ、つおいだけでメリハリのない話で飽きるから
[一言] イオアナがマリオストーリーのコワッパみたい
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