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143/244

143.鑑定士、サクサク街を取り返していく




 トロールから街を取り戻すと決意した、数分後。


 ニサラキの街にて。


「アイン殿、ありがとう!」

「街を取り戻してくれてありがとう!」


 トロールによって殺されていたドワーフたちは、【完全再生パーフェクト・リバース】の効果で蘇生した。


 すっかり元気になったドワーフたちが、俺の周りを取り囲んでいる。


「俺は街を回ってトロールを倒してくる」


「し、しかし……」

「わしらだけではトロールに対処できないですじゃ……」


「問題ない。メイ。【創樹】を」

『めぇ、だいかつやく! にんきものですなぁ~』


 俺の左目が空色に輝く。


 地面に手をやり、能力を発動。


 ずぉおおおおおおおおおお!


「すごい! 大量の樹が街を囲っていく」


 地面から生えた木々が、複雑に絡み合い、街を囲む城壁を作った。


「これならトロールは入ってこれないだろ?」


「す、すごい!」「さすがアイン様だ!」


「万一に備えて分身を残しておく」


 能力【偏在】を使い、自分の分身を生み出す。


「アイン殿、なにからなにまで、本当にありがとう!」


 ニサラキの町長というドワーフが、俺の手を握って、深々と頭を下げる。


「気にするな。できることしてるだけだから」


「おお! なんと謙虚で素晴らしい御方だろうか!」


「ところで世界樹って知らないか? この国にあるらしいんだが」


「そう言えば【ウフコ】の街に巨大な樹がある、と聞いたことがありますじゃ」


「なるほど、情報感謝する」


 俺は飛翔能力を使い、ニサラキの街を出る。


『アインよ。これからどうする?』


「とりあえず各地の街を助けながら、最終的にその【ウフコ】の街を目指す」


 ややあって。


『【カイ】の街じゃ。トロールが約100匹ほどいるな』


 俺は、上級魔族リザードラからコピーした【爆撃攻撃】を発動。


 右手を掲げ、そこから炎の羽が、無数に射出される。


 さらにイオアナからコピーした【精密射撃】を使い、上空から爆炎を降らせる。


 ズドドドドドドドドドドド…………!


『アインよ。トロールのみを正確に射貫いたようじゃ。建物への被害もゼロ。さすがじゃな』


「よし、次だ」


『【ヤマシナ】の街じゃ。ここは一つ目の巨人【サイクロプス】が占拠しておる。Sランクで、【石化】能力を持つぞ』


 眼下には3メートルほどの、一つ目の巨人がうろちょろしている。


「おい! なんだおまえは!?」


 サイクロプスの1人が、上空の俺に気付いて言う。


「アイン。訳あってドワーフの味方をしている。抵抗しないなら殺さないでやる」


「はっ! ちびの分際で調子乗るんじゃねえ! おい野郎ども! 石化攻撃だ!」


 ぞろぞろとサイクロプスたちが集まり、くわっ、と目を見開く。


 目から灰色の光線が射出された。


 ビゴォオオオオオオオオオオオオオオ!


「はーっはっは! おれたちの石化光線だ! 当たったら最後! 石になって窒息死よ!」


「そうなのか? 問題ないんだが」


「なにぃいいいいいいいいい!?」


 巨人たちが、その一つ目を大きく見開く。

「な、なぜだ!? 石化光線があたったはずなのに!」


『くくく……わが【浄眼】の前に、状態異常は無意味よ!』


 精霊マオの能力【浄眼】の光は、状態異常を無効化する能力を持つのだ。


「く、くそ! 撃てぇ! 撃てぇええ!」


 サイクロプスたちが、石化光線の雨あられを俺に降らせる。


 俺は精霊の剣を取り出し、光線が当たる瞬間【攻撃反射パリィ】する。


 パリィイイイイイイイイイイン!


「おれたちの光線をはじき返しただと!?」

「ぐわぁああああ!」


 はじき返した光線が、サイクロプスたちに命中。


 やつらは自分の攻撃で、全員が石化し死亡。


「よし、次だ」


『【ゴーシュー】の街じゃ。【ギガンテス】と呼ばれる氷結能力を持った巨人が占拠しておる』


 眼下には10メートルほどの、青い肌をした巨人たちがうろついている。


「なんだ人間! えらそうに上から見下ろすんじゃねえぞ!」


「おい殺せ! 【氷結ブレス】だ!」


 ギガンテスたちが胸を反らし、俺めがけてブレスを撃ってくる。


 びょぉおおおおおおおおおおおお!


 氷の突風が俺に襲いかかる。


「はーはっは! この広範囲攻撃! よけれるものならよけてみろぉ!」


「アリス。敵の位置をロックオンしてくれ。黒姫くろひめは結界を張って街を守ってくれ」


 俺は上空から、禁術で強化した極大魔法をぶっ放す。


「【煉獄業火球ノヴァ・ストライク】」


 ドガァアアアアアアアアアアアアアン!


 氷雪の風ごと、爆風でギガンテスたちを焼き尽くす。


 街が火事にならないように、建物は保護した。


『アインよ。今の一撃で全員が死亡した。魔法をも禁術で強化するとはな。まったく、その発想力にいつも脱帽させられるのじゃ』


「サンキュー。さて、次だ」


 その後も俺は、ドワーフ国【カイ・パゴス】の街に住む巨人を、せん滅しまくった。

 数時間後。


『アインよ。残るはこの国の王都である【ウフコ】のみじゃ』


「なんだ、あれは?」


 最初、俺はそれが【世界樹】だと思った。

 だが近づくにつれて、それが世界樹ではなく【巨人】であることに気付いた。


 それほどまでに、でかい巨人だった。


『【ダイダラボッチ】じゃ。数百メートルはある超大型の巨人。特級魔族じゃ』


「貴様かぁ? ポーンごときを倒して、調子乗ってるって言うサルは~?」


 巨人がぎょろっ、とそのデカすぎる目を俺に向けて言う。


「兵士倒して良いご身分だな。だがおれは違う! おれは【ナイト】! ポーンの上を行く実力の持ち主よ!」


「序列がわからん。懲罰部隊の階級はどうなってるんだ?」


「はっ! 冥途の土産に教えてやろう! 下から順に【ポーン】【ナイト】【ビショップ】【ルーク】【クイーン】そして【キング】」


「なんだ、おまえビリから2番目なのか。大したことないな」


 ビキッ……! とダイダラぼっちの額に青筋が立つ。


「死ね! サルがぁああああああ!」


 その巨大すぎる腕を、ゆっくりと振り上げて、上空にいる俺めがけて振り下ろす。


 俺は禁術で体を強化する。


 パシッ……!


「ば、バカなぁ!? この超大型巨人の一撃を、正面からうけとめるだとぉ!?」


 俺はダイダラボッチの腕の上に乗り、精霊の剣を取りだす。


 禁術強化した剣の一撃を、やつの首めがけて、放つ。


 ズバァアアアアアアアアアアアン!


「ば……かな。おれをたおす……なんて……この、バケモノ……め……」


 首を失った巨人の死体を、虚無を連続使用して消し飛ばす。


 跡形もなく相手は消滅。


 ややあって。

 トトたちドワーフが、ウコフの街へとやってくる。


「信じられない……ワタシたちが長く苦しめられた巨人たちを、数時間で撃退するなんて……」


 ドワーフたちが、俺の前で土下座する。


「ありがとうございます、アイン様!」

「我らがドワーフの救世主!」

「アイン・レーシック様、ばんざーい!」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「それを言うなら冥土の土産だ。 ・・・なんだ、おまえビリから2番目なのか。大したことないな」 ・・・にアインの台詞を直した方が判りやすいですね 確かに現状だと、間違えてるのかキャラ作…
[気になる点] クイーンよりキングが強いって点が意外すぎる チェスって言うと飛車角合わせた様な動きをするクイーンが、 最強って印象が強すぎるよね キングは将棋の王と同じだからナイトと同じレベル これ…
[一言] メイドの見上げ ⇒冥土の土産 魔族が馬鹿という設定で敢えてでしたらすみません
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