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135/244

135.鑑定士、内通者を捕まえに行く



 族長コモノグースを捕縛した数十分後。


 俺は、エルフ国内にある、別の街へとやってきていた。


『おかー、さん。アイン、さんは、何をしようと、してるの?』


『【ダ・ヤタマ】の族長コモノグースは、魔族と通じていた。フランシス国王以外の族長は、魔族サイドのエルフである危険性が高いのじゃ』


「だから残りの族長のもとへいって確認し、黒の場合は捕縛するってこと」


 俺はまず、【ジ・ミタ】の街へとやってきた。


「そこのおまえ! 止まれ!」


 街の入り口には、槍を持ったエルフの青年が立っていた。


「ここはエルフ以外の立ち入りが禁じられている!」


「どいてくれ。国王からの許可はもらっている。おまえらのところの族長が魔族に通じてる可能性があるんだ」


「なっ、なんだと!? わ、わかった……」


 俺は門番に案内してもらい、【ジ・ミタ】の族長の元へと連れて行ってもらった。


 族長の館にて。


「なんだ貴様は!」


 がちゃがちゃ、と族長の周りを、エルフの騎士たちが囲む。


「あんた、魔族と内通してるんだろ?」


「し、知らぬ!」


『……アイン君。族長は嘘ついてるわ。内通者よ』


 コモノグースもそうだったのだが、エルフたちは防御魔法によって【読心術】対策をしている。


 そこで禁術で千里眼を強化することで、族長の心を読んだのである。


「く、クソ! ものども、アインを殺せ!」


 ガチャガチャガチャ……!


 エルフの騎士に偽装していた、魔族たちが武装を解除して降伏する。


「何をしているんだ貴様らぁ!」


「バカが! アインに勝てるわけないんだよ!」


「こいつの強さは異常なんだ! 挑むことは死を意味するんだよ!」


「くっ、くそぉ……」


 がくっ、と族長が膝を折る。

【ジ・ミタ】の族長、確保。


『次は【ミ・ノ】じゃな』


 別の街へと、飛翔能力で向かう。


『アインよ。貫通能力を付与した魔法の矢が雨のごとく降ってくるぞ』


「わかった。ピナ、結界を」


【ミ・ノ】の街から、俺めがけて魔法矢が降ってくる。


 ガギィイイイイイイイイイイイン!


 その全てが結界によって阻まれる。


「ばかな! 防御貫通の矢だぞ!?」


 眼下でエルフの射手たちが、驚愕の表情を浮かべている。


「禁術で強化されてるんだよ」


『お兄さん、禁術オーラの鎧どうして使わなかったの?』


「それやると矢を弾いて、下のひとたちをケガさせちゃうだろ? 今回の目的は捕縛だから」


『そっか! さっすがお兄さん! 優しい!』


 俺は【ミ・ノ】の街へと降り立つ。


 凄まじい数の、弓矢を構えたエルフの弓使いたちがいた。


 ガチャガチャガチャ……!


 エルフたちは弓を落として、俺の前で土下座する。


「すみませんでした!」

「族長に命令されたんです!」


 俺は彼らを放置し、族長の元へと向かう。

 だがしかし……。


「もぬけの殻だな」


『くくくっ! アインよ……我が浄眼の隠されし能力を解放してやろう……』


 左目が淡く輝く。

 すると、青い光が、族長の館から外へと向かって伸びていた。


『わが目は生体反応を、正確に言えば生命の持つ【闘気オーラ】を見ているのだ。つまりオーラの残滓を追跡していけば!』


「辿っていった先にやつがいるんだな。アリス、千里眼で場所の特定を」


 千里眼で、族長のオーラの後を追跡し、位置を把握。


 そこまで【虚無】によるテレポートで一瞬で飛ぶ。


 相手との距離が見えているのなら、虚無によってその距離を消すことで、一瞬で転移できるのだ。


「すみませんでしたぁあああああ! 命だけは勘弁してさいぃいいいいいい!」


『さすがじゃな、アインよ。精霊たちの能力を、ここまで自在に使うとはな』


「サンキュー。さて、次だ」


 最後は【ガ・キオ】の街。


「ここまで全て黒だとすると、どうせここも魔族に内通してるんだろうな……」


 街へ到着。


「だ、誰だ貴様は!」


 門番の兵士たちが、俺に剣を向ける。


「俺はアイン・レーシック。フランシス王の命令で族長に会いに来た」


「そ、そうか……」


 いやにあっさりと、門番たちが剣を下ろす。


「しかし、人間よ。族長は……族長は……」


 ぐすぐす……と門番たちが涙を流す。


「何があった?」


「……コモノグースたちによって、我らの族長は、殺害されたのだ」


 門番たちが悲嘆に暮れた表情となる。


「大丈夫だ、問題ない」


「え……? ど、どういう……?」


「族長の埋葬はもうしたのか?」


「い、いや……今は葬儀の最中だ」


「そうか。なら族長の元へ連れて行ってくれ」


 俺は【ガ・キオ】族長の家へと向かう。


 ちょうど葬式の最中だった。


 棺桶に入っている族長の元へと、やってくる。


「い、いったい何をするんだ……?」


 参列者のひとりが、俺に恐る恐る尋ねる。


「今から蘇生を行う」


「ば、バカなことを言うな!」


「蘇生魔術なんてこの世には存在しない!」


 いきり立つエルフたちに、俺は説明する。


「俺には【完全再生パーフェクト・リバース】がある」


 それを聞いたエルフたちが、「「「「おお!」」」と感嘆の声を上げる。


「あの、失われし伝説の能力を持っているのか!」


「それなら希望があるぞ!」


 エルフたちの表情が明るくなる。


「いや、待つのじゃ!」


 年老いたエルフが、俺の前へとやってくる。


「アイン殿。たしかに【完全再生】は、死者すらも復活させる。しかし、それは死の直後でしか適用されぬのじゃ」


「族長が死んだのは?」


「数日前じゃ。……もう、手遅れじゃよ」


 それを聞いた参列者たちが、「ああ……」「そんな……」「終わった……」と気落ちする。


「問題ない」


 俺は族長の遺体に、手を掲げる。


「ユーリ。力を貸してくれ」


『は、い。アイン、さん!』


 俺は禁術を使用。


 俺の左目に、【痣】が浮かび上がる。


「おおっ! そ、その痣は! かつて存在した魔王ミクトランが持っていた【聖痕】と同じじゃ!」


 老エルフが驚愕の表情を浮かべる。


 俺の痣が、翡翠の色に染まる。


 左目が、より強く輝いた。


 すると……。


「げほっ、ゴホッ……! わ、私は……いったい……?」


「「「族長……!!」」」


【ガ・キオ】の族長が、目を覚ましたのだ。

 葬式の参列者たちが、泣きながら族長に駆け寄る。


「し、信じられぬ……! どうして……?」


 呆然と立ち尽くす老エルフに、俺は説明する。


「禁術によって【完全再生】能力を強化したんだ。死後数日の死体も、蘇生できるようになった」


「なんと……奇跡だ……。おぬしは、神か……?」


 ずしゃっ、と老エルフが膝をつき、涙を流しながら俺を見上げる。


「そんなたいそうなもんじゃない。俺は、1人じゃ何もできない、ただの人間だよ」


 その場にいたエルフたち全員が、俺の前で土下座する。


「アイン殿、部族を代表し、あなたに最上級の感謝を」


「「「ありがとうございました、アイン様!」」」

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― 新着の感想 ―
魔王にもあった聖痕があるアイン=新たな魔王もしくは魔族ってならないんですかね? これが勇者にもあった聖痕ってなら良いのですけど
[気になる点] 痣?なんすかそれ?前に説明出てたっけ?
[良い点] 更新も展開もはっやwwww そしてエルフ達の言うとおり、もうほぼ神と大差ないだろこれ 何度も上記の様なこと言ってきたけど、 そういうものと割り切って読むしかない テンポがよすぎではあるけ…
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