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131/244

131.鑑定士、第6精霊に会いに海底へ向かう




 イオアナを撃破した、半月後。


 俺はエルフ国の沖合までやってきていた。

 海上にて。


「この海の下に、隠しダンジョンがあるんだな」


『そうじゃ。アリスとふたり、エルフ国の所有する図書館で調べた』


『……水深200メートルの深海に隠しダンジョンがあるの』


 飛翔能力で、海面に近づく。


「だいぶ潜らないといけないのか」


『……アイン君。海は潜れば潜るほど水圧というものがかかるわ。生身で潜るのは自殺行為よ。それに酸素もそこまで持たないだろうし』


「忠告ありがとなアリス。だが、問題ない」


『そうか。おぬしは獣人国の聖域にて、水の精霊から【水中呼吸】と【高速水中移動】の能力をコピーしておったな』


「ああ。それにイオアナから【環境適応】ってどんな状況下にも適応できる能力もある。これなら潜っても平気だろ?」


『……その通りよ。さすがね、アイン君』


「どうも。よし、いくか」


 俺は飛翔能力をとき、水のなかへと飛び込む。


 ウンディーネの能力があるため、俺は海のなかでも呼吸でき、そして自在に動ける。

『隠しダンジョンまでのルートを案内するぞ』


 ウルスラのガイドに従って、俺は海底へと降りていく。


 海底を潜っていくと、水棲のモンスターたちに遭遇した。


『アインよ。魚人サハギンの群れじゃ』


 いちいち相手するの、面倒だな。


 俺は禁術を発動させる。


 ーーギャァアアアアアアアアアア!


 俺から出る圧倒的な闘気量にびびり、魚人たちが逃げていった。


「次だ」


 しばらく降りていくと、辺りが暗くなっていく。


『一角竜じゃ。古竜の一種。剣のごとき長く鋭い角を持ち、水中を凄まじいスピードで泳ぐ』


『なっ、なんだ貴様! この化けものめ!』


 一角竜が俺の前に姿を現して叫ぶ。


 いや、バケモノじゃないんだが。


 しかし水のなかなのに、どうして一角竜の言ってることがわかるんだ。


『【水棲言語】という水のなかで会話を可能にする能力があるみたいじゃな。コピーしたぞ』


 さすがウルスラ、仕事が早い。


 俺は一角竜に対話を試みる。


「俺はこの下に用事があるだけだ。害意はない。大人しく通してくれ」


『ふ、ふざけたことを抜かすな! ここを通したら【青嵐せいらん】様に殺される!』


「せいらん、って誰だよ?」


『この海の支配者たる、【青き竜】のことよ!』


 青い竜、ねぇ……。


『というわけで貴様を通すわけにはいかぬ! ぬぉりゃぁああああああ!』


 一角竜が、俺目がけて突進してくる。


 俺は動かない。


 パリィイイイイイイイイイイイイン!


『うぎゃぁあああああああ!』


 禁術オーラの鎧にはじかれ、一角竜がすっ飛んでいく。


『ま、まだまだぁぁあああああ!』


 一角竜が凄まじいスピードで、こちらに向かってくる。


 俺は禁術で強化した【虚無の邪眼】で、一角竜を見やる。


 ボシュッ……!


 敵は跡形もなく消滅した。


「次だ」


『スキュラじゃ。頭が6つ。胴体が蛇の巨大な雌型モンスター。SSランク。【渦潮】という能力を使うぞ』


 馬鹿でかい女が海のなかにいた。


『ここは通さないわよ! 下等生物がぁ!』


 スキュラが両手を広げると、俺の周囲に渦潮が発生。


『この激しい水流のなか、果たして脱出できるかしらぁ!?』


 俺は精霊の剣を取り出す。


 禁術で強化した、強烈な斬撃を放つ。


 ズバァアアアアアアアアアアアアン!


 渦潮を切り裂き、さらにはその奥にいたスキュラすらも、切断する。


『ば、ばかな……渦潮がどうして……?』


「禁術で強化された剣は、万物を斬る」


 なにせ次元すらも切り裂けるからな。


『……異常すぎる。青嵐せいらんさま、後はお任せします……』


 そう言って、スキュラは海底に沈んでいった。


 その後も敵を蹴散らしながら、俺はどんどんと沈んでいった。


 ややあって。


『アインよ、見えてきたぞ』


 そうはいっても、周囲は完全に真っ暗闇に包まれているので、よくわからない。


 ウルスラが魔法の光で、辺りを照らす。


「あれか」


 海底に、ぽつんと、小さな祠のようなものがあった。


 あの下に精霊がいるようだ。


『……アイン君。敵が来るわ。かなり大きい』


 ごごごご……!


 海底の砂が盛り上がり、そこから……凄まじい大きさの、龍が現れた。


『【青龍】様のご登場じゃ。アインよ、失礼の無いようにな』


 どうやらこのデカい龍は、青龍というらしい。


『おー、青嵐せいらんはん、おひさーやなー』


「知り合いか? 朱羽あかはね?」


 守り手の1人、朱雀の娘・朱羽が言う。


『そーやであんちゃん。青嵐はんは、うちらと同じ守り手や』


 なんだ、精霊の守り手だったのか。


 じゃあ戦わなくて良いな。


『……そこの人間』


 じろ……っと青嵐が俺をにらむ。


『……我の海域に何用だ?』


「その下にいる、精霊に会いに来た」


『……我の娘、【マオ】に用事があるのか?』


 マオというのが、第6精霊の名前らしい。


『アタシの妹。8女のマオちゃんね~』


 ピナが言う。

 末っ子メイの姉に当たるらしい。


「メイの姉たちが、マオに会いたがってるんだ。そこを通してくれないか?」


『……良かろう。ただし、我に勝つことが条件だ』


 青嵐の体から、凄まじい量の闘気が吹き出る。


「いや、なんで戦うんだよ?」


『……我の愛しい娘に、変な虫をつけさせたくないのだ。帰れ小僧』


 ギロっと青嵐がにらんでくる。


あんちゃん許したってや。青嵐はちーっと過保護なんや』


 なるほど、可愛い娘に男を近づけたくないのか。


『覚悟は良いか、小僧?』


「いいよ、いつでもかかってこい」


 ぐあっ、と青龍が口を開く。


 そこから激しい水流が吐き出される。


 ビゴォオオオオオオオオオオオオオ!


 ビームかと錯覚するほど早く、高圧の水流だ。


 だが、俺は避けない。


 パリィイイイイイイイイイイイイン!


『なんだと!? わ、我の【水竜息吹】が弾かれた!?』


 俺は余裕で、青龍の顔の元まで近づく。


『くっ! 死ね小僧! 我が愛しのマオには近づけさせぬ!』


 青龍がその長い尾で、俺をたたきつけようとする。


 俺はそれを掴む。


 パシッ……!


 そして海底めがけて、投げる。


 ブンッ……!


 ずずぅううううううううううん……!


『ば、バカな……。水中は我のテリトリーぞ……? なぜそこまで自在に動ける?』


「禁術で体が強化されているからな。水の抵抗なんて、あってないようなもんだ」


『くっ……! 下等生物の分際で!』


 青嵐がまた、息吹を吐き出そうとする。

 

 俺は虚無による瞬間移動で、青嵐の間合いまでテレポート。


『なっ!? は、早い!』


 俺はこぶしを握りしめ、禁術で強化されたアッパーカットを、青嵐のアゴに喰らわせた。

 

 ばごぉおおおおおおおおおおおおん!


『……バカな。四神に素手で勝つなんて。バケモノ、め』


 がくっ、と青嵐が気を失うのだった。

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― 新着の感想 ―
この世界の敵って、基本的に相手を徹底的に蔑んでバカにして、でもって負けても相手を認めずバケモノとか言って結局バカにするんよね。 もう基本性格が拗れすぎてるでしょ。
[気になる点] ビームって?世界観的にどうなの
2020/01/26 21:10 退会済み
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