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【WEB版】不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜【アニメ放送中!】  作者: 茨木野
6章

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114.上級魔族、結託し奇襲をかけるが失敗



 鑑定士アインの騎士団が、魔族を撃破した、数日後。


 魔界。

 大会議場にて。


「まったく嘆かわしいのである。上級魔族は3人死亡。1人は敵の軍門に降るとは……」


 黒い巨体に、二足歩行する亀【マックスガメ】が、ため息をつく。

 

「ほーんとどいつもこいつも雑魚ばっかで嫌になるぜ~」


 炎の翼を持つ竜、【リザードラ】が小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。


「まったく、負け犬どものせいで、わたくしたちの評価まで下がってしまうじゃないですの」


 下半身が巨大花のドライアド、【不死姫花ふしぎばな】が、同意するようにうなずく。


「そう言わないで3人とも。死んでいったみんなは、よくやってくれたわ」


 エキドナが、空席を見て言う。


「しっかしあいつらが連敗したことで、サルに調子づかれるのは、なんつーかしゃくなんだがよぉ」


 リザードラの言葉に、マックスガメがうなずいて言う。


「では、ここらで上級魔族の恐ろしさを、サルどもに教えてやるのはどうだ?」


「あん? どーゆーことよ、亀さんよ」


「つまり我、リザードラ、そして不死姫花の3人で、総攻撃を仕掛けるというのはどうかね?」


 はぁ~? と二人が首をかしげる。


「おいおい亀さんよぉ。3人もまとまっていったら過剰戦力にならねーか?」


「あんなサルごときに、上級魔族が3人なんて必要ないですわ!」


「まあ落ち着くのである。サルたちにこれ以上自信をつけさせないためにも、調子に乗っている今ここで一気に叩く必要があるとは思わぬか?」


 マックスガメの説明を聞いても、リザードラと不死姫花は、不服そうにしていた。


「エキドナ殿はどう思われるか?」


「そうね……マックスガメの言うとおり、今回は三人で仲良く、アインを殺してきて欲しいわ」


 それを聞いたリザードラと不死姫花が、不承不承、立ち上がる。


「じゃあマックスガメ、指揮は頼むわね」


「お任せあれ、エキドナ殿。ゆくぞ、盟友たちよ」


 マックスガメは、残りふたりを連れ、会議室を出る。


「で? 亀さんよ、作戦はどうする?」


「我が【閉鎖領域】で鑑定士を閉じ込めるから、不死姫花は【植物軍団プラント・レギオン】で地上から。リザードラは上空から【爆撃攻撃】で総攻撃を仕掛けるぞ」


「そんな最初から本気を出して良いのかしら? 少々華がなくって?」


「ま、いいんじゃね? サルがいつまでも幅をきかせてるのは腹立ってたし~」


 かくして、魔族3人は、鑑定士アイン討伐のため、人間界に向かった。


 ややあって。


「ふむ、どうやらここは王都郊外の森の中のようだ。不死姫花、準備を」


「しかたありませんわね」


 不死姫花は指の腹を歯で噛み切って、その血を地面にぽた……ぽた……と垂らす。


 血が地面を、そして地に根付く植物たちへと染み渡る。


 ずぞぞぞぞぞぉ…………!


 周囲の木々が、突如として動き出した。


 枝が手足のように伸び、幹には人面が浮かぶ。


「相変わらず不死姫花の【植物軍団】はチートだわ。血を与えた植物を魔族に変える能力アビリティなんてよ」


「無数に自生する植物たちが、いっせいに魔族となって襲いかかってくる。サルにしてみれば悪夢であるな」


 ふっ……と不死姫花が優雅に微笑む。


「お行きなさい。アインを町ごとすりつぶすのです」


 ずぞぞぞぞぉ……!


 木の魔族【上級トレント】たちが、いっせいに動き出す。


 津波の如く、大量のトレントたちが、王都に押し寄せる。


 そのときだ。


 ボシュッ……!


 先頭を走るトレントの一群が、いっせいに消滅したのだ。


「来たな、非魔族のサルよ」


 上空に浮揚しているのは、鑑定士の少年アイン・レーシックだ。


「おサルよぉ。わりぃけど、最初からマジでいかせてもらうぜぇ?」


「【閉鎖領域】!」 


 マックスガメが柏手を打つ。

 突如、彼を中心として、魔法陣が展開。


 ブシュゥウウウ…………!!!


 魔法陣から黒いガスが噴出し、アインと上級魔族、そしてトレントたちを覆い尽くす。


 やがて、黒いドームが、アインたちの周囲を包んだ。


「……対象を閉じ込める結界か?」


 アインが周りを見渡していう。


「ご明察。術を解かぬ限り何人たりとも破れぬ絶対防御の結界である」


「外からの救援は絶望的ですわ。なぜなら、結界の外のトレントたちが、お仲間たちの住む王都を今頃破壊し尽くしてますの」


 にやにやと不死姫花が余裕の笑みを浮かべる。


「孤立無援、周囲には大量の魔族。街の危機にかけつけないとという焦燥感の中、上級魔族3体と戦わないとイケナイなんてよぉ。こりゃ終わったな」


 3人は、アインの絶望した顔を期待した。


「問題ない」


 だが彼は至って冷静だった。


 アインの左目が、鮮血に染まる。


「【虚無】の力であるか? 無駄である! 我が【閉鎖領域】は四方八方を囲むガスの結界! 消失させるそばからガスが覆い穴を防ぐ! 絶対に破れぬ結界よ!」


 ボシュゥウウ…………!


「な、なんだとぉおおおおおおお!?」


 突如として、周囲を覆っていた暗闇が消失したのだ。


 アインは結界を破り、全員は青空の下にさらされる。


「ば、バカな!? なぜ四方を囲む結界が全て破られる!? 視界に入れたものしか消せないのだろうが!?」


「俺の【千里眼】は、正面だけでなく四方八方を視界に入れることができる。あとは虚無で消し飛ばした」


「瞳術の複合技だと!? い、いつの間にそんなことができるようになったのだ!?」


「おまえらが偉そうにイスにふんぞり返ってる間、俺たち人間は常に進化し続けてきているんだよ」


 マックスガメは動揺を隠しきれなかった。


「慌てないでマックスガメ。こちらにはわたくしの植物軍団がいる。街の人間たちを人質に、有利に戦闘を進めればいいわ」


 不死姫花がにやりと邪悪に笑って言う。


「おまえら、ほんとアホだな。後ろ見てみろよ?」


 アインが後を指さす。


 そこには王都の城壁がある。


「なっ!? む、無傷ですって!?」


 城の城壁はいっさい傷ついていなかった。

 あわてて不死姫花は、植物軍団の目を通して、中の状態を確認する。


「ば、バカな!? サルたちが、わが軍団を殲滅していっていますわ?」


 上級トレントは、1体で男爵級の魔族の強さを持つ。


 それが無数に襲いかかっているのに、騎士たちは余裕でそれらを退けていた。


「ご自慢の軍団が壊滅したら、俺の仲間が大量にこっちに流れ込んでくるぜ?」


「くっ……! おいやべえぞ! おれは撤退するからな!」


 バサッ……! とリザードラが翼を広げ、逃げようとする。


 ブシュウウウ…………!!


 周囲を黒いガスが覆い、リザードラたちを閉じ込める。


「なっ!? 閉鎖領域だと!?」


「亀からコピらせてもらったよ」


 アインが右手に剣を出現させる。


 その瞳に、マックスガメたちは恐怖を覚えた。


「遊びは終わりか? なら次は、俺のターンだ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 上級魔族にカメックス、リザードン、フシギバナをあてはめるセンス。 [一言] 特に不死姫花が個人的には。当て字っていいですよね
[一言] 「おまえらが偉そうにイスにふんぞり返ってる間、俺たち人間は常に進化し続けてきているんだよ」 ないない ┓(´д`;)┏ 進化してるのはあんただけだ
[良い点] ・ 毎日更新しかも3回やってる事 ・設定 [気になる点] 1話から毎日追って来ましたが 流石に展開が同じ事の繰り返し過ぎて飽きて来ました 周りの人もNPCみたいな受け答え 魔族もバカ過…
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