表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/244

112.鑑定士、部下たちにお宅訪問される



 国王に訓練の成果を見せてから、数日後。

 今日は訓練の休養日だった。


「「「団長! おじゃましまーす!」」」


 昼前。

 ジャスパーの屋敷に、【レーシック近衛騎士団】の団員たちがやってきたのだ。


「おまえら……なにしに来たんだよ?」


「す、すみません団長……わたし、とめたんですけど、どうしてもみんな団長のお家みたいって……」


 パメラが申し訳なさそうに肩をすぼめる。


「団長すっごい豪邸すんでるーって前からうわされてたし~。気になったから来ちゃったんだ~」


 先日極大魔法を放った女騎士、【シビア】がヘラヘラ笑って言う。


「いやここ俺の家じゃないんだが……」


 と、そのときだ。


「おや? 少年、どうしたんだい?」


 屋敷の主であるジャスパーが、俺たちに気付いて近づいてくる。


「ちょっと部下たちが来ててさ。ちょっと中見せてあげていいか?」


「なにを言ってるんだい? ここは君の家だよ。私の許可など不要さ」


 ジャスパーは微笑むと、俺のことを正面からハグする。


「だって将来わたしは君の物になるんだ。だったらここは君の家ってことだろう?」


「「「きゃ~~~~~♡」」」


 女騎士たちが、好機の目線を俺に向ける。

「えー! 団長って大富豪のジャスパー様と結婚するんですか~?」


 シビアが目をキラキラさせながら俺に問い詰めてくる。


「うう……こんなすごい人と付き合ってるんだ……わたし、かなわないよぅ……」


 パメラはなんだかしょぼくれていた。


「というわけで騎士様、どうぞゆっくりしていってくれ」


「「「はーい!」」」

 

 かくして部下たちがお宅訪問に来たわけだが……。


「うわー! でっけー廊下!」


「すごい! こんな大きなお風呂場があるなんて!」


「屋敷でけえ! どこまで廊下続いてるんだよ!」


 中を見せるたび、部下たちが歓声を上げる。


「こんなすごいところに住んでいるなんて……!」


「めっちゃ金持ちじゃないですか~。いや~これはますます団長と結婚したくなっちゃったな~」


「「「さすがですアイン団長!」」」


 なぜか俺にキラキラした目を、部下たちが向けてくる。


「いや、だから俺んちじゃないってば」


「さっきジャスパー様が将来のフィアンセって言ってたじゃ~ん? あれは嘘だったの~?」


 シビアがニタニタ笑いながら、俺の脇腹をつつく。


「し、シビア! アイン団長に失礼ですよ! 離れなさい!」


 パメラは顔を赤くして、シビアの腕を引っ張る。


 と、そのときだ。


「じ~」


 柱の陰から、金髪の美しい少女が、こちらの様子をうかがっていた。


「ユーリ。何やってるんだ?」


 柱の陰から、ユーリがにゅっ、と顔を出す。


 たたっ、と俺の元まで駆けてくる。


「こ、こほんっ。み、みなさま……ごきげんよう。アイン、の、妻、です♡」


「「「え~~~~~~!?」」」


「ユーリおまえ……なにをアホなことを……」


 するとユーリが、ぷくっ、と頬を膨らませる。


「これ以上、こーほ、ふやすの……えぬじー!」


「だだっ、団長! 誰なんですかその人!」


 パメラがすごい剣幕で詰め寄ってくる。


「ええっと……その……」


 俺が困っていた、そのときだ。


「ほほー。お兄さんがなにやら、楽しそうなことをしてる気配~☆」


「これは恋の戦争が勃発ですかな~?」


 にゅっ、と部屋から顔出したのは、クルシュとピナだ。


「ま、また美少女が! ど、どちらさまでしょうかっ!」


 パメラがクルシュたちを見やる。


「お姉さんはアイちゃんの……愛人1号だよ~ん」


「アタシはお兄さんのセフレ1号だよ☆」


「「「え~~~~~~~!?」」」」


 このアホ姉と妹が……!


 俺は二人の手を引いて離れる。


「おまえら! 妙なこと言うなよ!」


「いや~。ごめんねアイちゃん。ほら、楽しそうだったからつい~」


「お兄さんとユーリお姉ちゃんってほら、いじられキャラじゃん?」


 意味がわからん……!


「とにかく部下に余計なことを言うな。大人しくしてろ」


「「わかってるってー☆」」


 絶対わかってないこいつら……。


 パメラたちのもとへいくと、ユーリが騎士たちに囲まれていた。


「すっごー。超美人じゃーん。おはだすべすべ~」


「髪もこんなにサラサラ……どんなシャンプーを使ってるんですかっ?」


 シビアとパメラが、ユーリの体を触っていた。


「毎日、女……みがいてますので!」


「「おー!」」


 ユーリが初対面の人と楽しそうに話していた。


 そう言えば三人とも同い年くらいだろうか。


 友達が増えるのは良いことだ。


「団長……」


 ゆらり……と男騎士が俺に声をかけてくる。


「ずるいっす団長!」

「こんな美少女の園で暮らしてるなんて! うらやましいっす!」


 血涙を流しながら、男の騎士たちが俺の肩を掴んで揺らす。


「お姉さん美少女に正統派の金髪美少女! 小悪魔系妹美少女に文学少女に元気なロリ娘までいるなんて!」


 え? と思って周りを見る。


 いつの間にかメイとアリスもいた。


「こっちが、メイちゃん。こっちはアリス、お姉様。みんな、アインさん、の、妻、です!」


「「「ええ~~~~!?」」」


 ユーリが姉と妹を、どや顔で紹介していた。


「ユーリおまえ! 何やってるんだよ!」


 金髪美少女の肩を掴む。


「アイン、さんは……わたしたち、姉妹……みんなの、アインさん、です! なわばり……しゅちょー、です!」


 ふんすっ、鼻息荒く言う。


「アリスおねーちゃん、妻ってなんですか~?」


「……さ、さぁ。子供はまだ早いかしら」


「むー! めぃはこどもじゃないですけど! もーおとなのれでーですけど!」


 一方で、パメラはその場にしゃがみ込んでいた。


「しくしく……こんなたくさんの美少女に囲まれて……わたしみたいなダサい女じゃ……太刀打ちできないよぅ」


「落ち着けってパメラちゃんにはその大きな武器が2つあるじゃないか。それを使ってこうぜ~」


 ぐっ、とシビアが親指を立てる。


「そうだよ~☆ パメラお姉ちゃん、実のところね、お兄さん胸フェチなんだよ~」


 ニヤニヤ笑いながらピナがパメラに妙なことを吹き込んでいた。


「そ、そうなんですかっ?」


「そうさ~。アイちゃんってばお姉さんの胸、いっつも釘付けでさ~。いやまいったね~」


 こいつらこの状況楽しんでやがる!


「あ、アイン団長! わ、わたし……む、胸は結構ありますから!」


 パメラが俺の腕に抱きついてくる。


「アイン、さん……」


 ちょんちょん、とユーリが俺の肩をつつく。


「わたし、も……胸、結構あり、ます!」


 逆の腕を、ユーリが抱きついてくる。


「美少女を両手にかかえてやがる!」


「さすがアイン団長だ!」

「おれたちにできないことを容易くやってのける!」

「そこにしびれるあこがれるぅ~!」


「おまえら馬鹿にしてるだろ!」


「「「そんなことありません! 尊敬してます!」」」


 ……その後騎士たちが散々俺をいじった後、楽しそうに帰っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
コキュートスどこ行った? まさか能力だけ貰ってポイ捨て?
[一言] DIO様やないか
[良い点] ベタだけど楽し過ぎるお宅訪問でしたw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ