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《現実》


「あんたいい加減にしなさいよ!自分の職業(ジョブ)を改めろ、この淫乱メイド!」

「汚い言葉使いは醜悪に繋がりますよ……失礼、お顔の方は手遅れですわね」

「なんですって!?」


「なあ二人とも、少し落ち着いて……」

「ツベロスは黙ってて!」

「私は至って冷静ですわ」

 

 

 飛び火してしまった。

 チャロルは目が笑っていないし、メルティが怒ってるのは火を見るより明らかだし……いや膨れっ面も可愛いんだけどね?


 とは言っても……。


「元を辿れば、悪いのはツベロスよ!薄っぺらい誘惑にホイホイ乗って……!」

「薄っぺらいのはあなたの胸囲ですわね。その粗末なものでは魅力もなにも……ね?ご主人さま……?」


 そう言って、俺の腕に妖艶に絡む彼女。上目使いがやばい。

 うむ、やはり大きい。この果実が昨夜俺の手でもぎもぎされていた……げふんげふん!これ以上は俺も大きくなってしまうから止めよう。


 それにそんな事態になれば、メルティの爆斬刃が俺どころか彼女とこの家すら吹き飛ばしかねない。


 ……今正にやりそうだし。


「メルティ、だから落ち着け」

「ツベロス、私知ってるんだからね!?道具屋の一人娘ジーナ、スクア王国第三王女のシルベア姫、半獣族のクァールちゃん……果ては十歳にも満たないニャルミルまで!!

 手を出しすぎでしょ変態!ロリコン!獣好き~!」


「そんなつもりはなかったけどな……」


 皆たまたま助けられただけだし、その時敵対した相手が運良く弱かったから倒せただけ。

 それがいわゆる……つり橋効果?によって好意に繋がったのだ。

 この世界ならそのくらい誰でも出来るだろう?一体何をそこまで怒っているのやら……。


 ま、美少女に寄られて嫌がるはずもないが。




 ……さて、そろそろ……。


 

「そもそもツベロスは……!」

「メルティ」


 彼女の名前を呼ぶ。それは俺の声。

 それだけで、彼女は魅入られたように静かになった。実際、魅入られたのだろう。まるで子犬みたいに儚げな視線を向けてくる。

 

 揺れる瞳が言っている。慰めて、と。


 背筋がゾクリとした。


「……俺は皆を愛してるんだ。当然、お前も含め、この世界にいる者全てを」

「じゃあ……証明して?今、ここで……」

「……」

「お願い、ツベロス……」


 不安なのか、期待なのか。

 俺には分かる。自分だけが、その両方を満たすことができると。


「メルティ、チャロル」


 誰も不幸になんてさせない。


 

「おいで。喧嘩なんてする暇ないほどに、目一杯愛してやるよ」





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