大人になったな
「カフェとな。」
王様は興味しんしんで聞く。
「そのカフェに騎士団を通わせるのはいかがでしょう?実は前々から騎士団の食事について改善しなければと考えておりました。」
コートはエバンをチラッとと見た。
すると、エバンが言う。
「王様。恐れながら、騎士団は訓練が終わる時間が個々で違います。その為、城の食堂での食事にありつけないのが現状でございます。ユリアさんの所に通えば、騎士団の栄養面と穢れによる侵食を一気に解決するする方法かと。」
「なるほど。その食事にも白のチカラを使うという事だな?」
「はい。そのように普段から白の力を注いでいれば、穢れにも耐性が付くのではないかと。」
「うむ。それはよい考えじゃ。ユリアと言ったな。」
「はい。」
「そなたは、その様に騎士団が訪れても問題はないか?」
「あ、は、はい!それは大丈夫です。」
「そうか。騎士団の栄養と穢れの問題が一気に解決するな!ははははは!」
「ありがとうございます。」
コートは深々と頭を下げた。
「では、当面の費用は王宮で用意するのでしっかり頼むぞ!ユリア!」
「はい。頑張ります。」
「うむ。では、誰か騎士団からユリアの元に護衛兼監視役で誰かつかせなさい。」
「それには、このトーマスが適任かと。」
「ん?トーマスがか?しかし、トーマスは…。」
王様がその後の事を少し言いにくくしたので
エバンが続けた。
「王様。トーマスは最近変わりました。ユリアさんはトーマスの婚約者でございます。」
「何!婚約者だと!トーマス!そなた、わしの知らない間に随分と大人になったものだな!」
トーマスは少し笑いながら頭を下げた。
「よし!では、それはトーマスに任せよう。」
「ありがとうございます。」
「ユリア。頼んだぞ!」
「は、はい。一生懸命頑張ります。」
謁見が終わり、謁見室の外に出る。
するとセレニウムがユリアに言った。
「王宮魔法使いでない貴方に、王様直々にご命令が下る事など異例中の異例。」
コートがユリアの横に来て言った。
「なんだい、マルトゥ。あんた納得していないのかい。」
「私達王宮魔法使いにもプライドがございます。」
ユリアは黙って聞いているしかなかった。
コートは見えない所でユリアの背中に手を当てて庇ってくれている。
「その意味のないプライドなんて無い方がマシだね。」
「な、な!!マグゴナル様!」
セレニウムは目を丸くして憤慨している。
コートは穏やかに続けた。
「人を助ける事に王宮魔法使いのプライドなんて関係ない。お前達が出来ないからユリアがやるんだ。その事を忘れるな。」
言葉では優しいが、コートの目は少しいつもより鋭くなっていた。
「今回は王様のご命令ですので、王宮魔法使いは従います。この者が失敗しないように、マグゴナル様もお気をつけください。」
「お前に言われなくても分かっている。それに白の魔法使いをこの者呼ばわりするのは関心しないねぇ。」
セレニウムはビクッとして、ユリアの方を向いて言い直した。
「失礼いたしました。白の魔法使いとして、どうぞお力をお貸しください。では、これで。」
セレニウムは足早に去っていった。
「ふんっ。あいつはユリアに仕事を取られて気に入らないのさ。ユリアちゃん、気にする事はないよ。」
「は、はい。」
ユリアは去っていくセレニウムの後ろ姿を見ながら
なんとも言えない気持ちになっていた。




