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団員の食事事情

あっという間にパンを平らげた団員を見て言った。


「みなさん、お腹すいていたんですね?」


すると、団員達は少し悲しそうに言った。


「私達はいつも冷めたご飯を食べているので…」


「え?それはどういう事ですか?」


団員の1人が言った。


「実は王宮には食堂があるのですが、私達はなかなか営業時間内に行けないのです。」


「営業時間外でも食事は出来ますが、作り置きの物なので冷めてしまってるんです。」


「え!そんな……。みなさん、一生懸命に訓練しているのに!」


団員達はユリアの言葉にじーんと来た。


「ユリア様はお優しいですね。先輩達は終わってから街に出て食事したりお酒を飲んだり出来ますが…なっ?」


団員が隣の団員を見る。


「まだ僕達は下っ端なのでそんな余裕はないですし。貴族の出ならまぁ…お金にも余裕がありますが、僕らはの中には庶民の出身者もおりますので。」


「それに恋人でも居れば……お弁当を差し入れしてくれたりするのですが出会いもなかなかなくて。」


ユリアは団員達にパンをまた差し出した。


「もう1つずつ食べてください!」


「えっ?いいんですか?」


「もちろん!パンはまた焼けばいいんですから。」


団員達はまたみんな美味しそうにパンを頬張る。

やっぱり、トーマス団長殿の女神は俺達にも女神だった!と思った。



夕方の鐘が鳴り、王宮で働く者達が帰宅し始めていた。

半数は自宅から通っているので、帰宅ラッシュという所だろうか。

そんな中でもまだまだ騎士団の訓練は終わらない。


ユリアはシチューを煮込みながら、騎士団の食事事情について考えていた。


「どう考えてもかわいそうだわ……」


トーマスはユリアの家以外はあまり出掛けないと聞いていたので、家に来ない時はどんな食事をしているのだろうかと考える。


「何かいい方法ないかしら……」


ユリアはシチューをかき混ぜながら、あれこれ考えていた。

そこにコートがやって来た。


「こら!ユリアちゃん!ボーッとしながら料理をしない!」


「あ、すみません!」


「今日の料理はただの料理じゃないんだよ?訓練の1つなんだから、気を抜かない!」


ユリアはコートに気になっていた事を話した。


「実は、騎士団のみなさんの普段の食事の事なんですが……」


先ほど、団員達に聞いた話をしたユリア。

コートも昔王宮に居たので、食堂の営業時間の短さは知っていた。


「そうだねぇ。王宮の食堂ってのは朝・昼・晩の食事時しかやらないのは昔からなんだよ。私もよくお昼を食べ損ねてたよ。」


「そうだったんですか。何だか騎士団のみなさんが気の毒で…冷めた食事ばかりじゃ味気ないし元気も出ないんじゃないかと。」


「ユリアちゃんの言う通りだねぇ。美味しい物を食べるのは元気の基本だからね。私も何かいい方法がないか考えてみるよ。」


「ありがとうございます!」


そうこうしているうちにシチューが出来上がった。

蓋を開けるとシチューのいい香りが漂う。


「さぁ!出来上がったね!それじゃあ、これを訓練場まで運んでもらおう。」


訓練場には臨時の椅子やテーブルが並べられ臨時の食堂が出来上がっていた。


ユリアが訓練場に来るとトーマスがすかさず隣に来た。


「ユリアさん、僕がいない間に何か困った事はありませんでしたか?」


「大丈夫です。団員のみなさんがお手伝いしてくださいましたよ!」


「え?うちの団員が!」


後ろを見ると鍋やパンを運ぶ若い団員がニコニコと笑顔で並んでいた。


「あいつら……」


「トーマス様。怒らないでくださいね!みなさん、頑張ってお手伝いしてくださったんですから。」


トーマスはじとっとした眼差しで後ろの団員達を見た。



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