トーマスの願い
トーマスは王様から問いに答えた。
「私はユリアさんが楽しく料理を作っている姿が好きです。」
トーマスの目線はユリアに向いていた。
「これからもユリアさんに好きな事をしてもらいたい。私と結婚した後も自由に街の人と触れ合いながら、白の力を使えるようにお許しをいただけたら…私はとても嬉しいです。」
「トーマス様……。」
ユリアはトーマスを見る。
トーマスもユリアをしっかり見ていた。
その姿を見た王様は頷いて2人を交互に見た。
「トーマスの気持ちはわかったぞ!よし!では、ユリアに与える褒美を考えよう。」
王様はユリアの方を見る。
「ユリア、もう2日ほど時間をくれるか?それまでにそなたにふさわしい褒美を用意しておこう。」
「ありがとうございます。」
ユリアは深々と王様にお辞儀をした。
謁見室から出たコートは、王宮筆頭魔法使いのセレニウムに会いに先に行ってしまった。
エバンはトーマスにユリアを送る指示をした。
去り際、エバンは小声でトーマスに言う。
「トーマス、今日はもう宿舎には帰らなくていいからな。たまにはユリアさんと羽を伸ばして…まぁなんだ…今夜は帰って来るな。な!」
トーマスはエバンの言葉に顔を真っ赤にした。
「お、お前…まだ何もしていないのか……。」
エバンはトーマスの肩をポンっと叩き、複雑な表情をした。
トーマスは奥手である。
この国の若い男女は恋愛にはかなりオープンな方なので、トーマスやユリアのような人種自体珍しいのである。
「な、トーマス…男もやる時はやらんといかんぞ。」
エバンはそれだけ言うと、ユリアに手を振った。
「ユリアちゃん、また2日後な!」
「はい!エバン様、失礼します。」
トーマスとユリアは、王宮を出て
カフェに向かう前に町外れの公園に来ていた。
季節は、冬も終わりに近づき春の足音が聞こえてくるくらいの時。
「トーマス様。ここに来るのは久しぶりですね。」
「そうですね。色々あり過ぎてなかなかゆっくり出来なかったから。」
ユリアはトーマスと腕を組みながら歩く。
「ユリアさん、ちょっとここで休みましょう。」
トーマスは公園のベンチの埃を払い、自分のマントを敷いた。
「ここに以前来た時は、ユリアさんにその指輪をプレゼントした時だったと思います。」
「はい。その時は温室に連れて行っていただきました。」
ユリアは左手の薬指に輝く指輪をトーマスに見せる。
トーマスはユリアの左手をそっと握り、そのままユリアの目の前に立った。
そして、トーマスはスッと片膝をついた。
「トーマス様…」
トーマスはユリアを顔をしっかりと見て言う。
「ユリアさん。沢山の大変な事がありましたが僕が一生貴方をお守りします。どうか僕と…僕と結婚してください。」
トーマスはユリアの左手を握ったまま、力強くユリアに言った。




