重荷
明け方、コートは目を覚ました。
ふと見るとユリアが枕元に顔を埋めて寝ていた。
「はぁ、ユリアちゃん…」
コートがユリアの頭をそっと撫でるとユリアが目を覚ました。
「コートおばあちゃん!」
「ユリアちゃん、ごめんね。」
ユリアはコートに抱きついた。
コートはユリアの背中を優しく撫でる。
「どうして、どうして何も言ってくれなかったんですか。どうして1人でなんて…」
「ごめんね、ユリアちゃん。私が浅はかだったよ。」
しばらくしてユリアが落ち着いたのを見て、コートが話し出した。
「ユリアちゃん。ガダルーシャ国の話は確か前にしたね?」
「はい。それにエバン様が言ってました。コートおばあちゃんが戦ったのは、ガダルーシャの元国王だって。」
「そいかい、ならば話は早い。」
コートはユリアの手を握って話し出した。
「ガダルーシャの元国王のアストロ・ジーラスは、昔より強くなっている。何十年も黒魔術に囚われて魔力が増していたんだ。」
ユリアは黙って話を聞いていた。
「いいかい?これはもう私には無理だ。ユリアちゃん、貴方が倒すんだよ。」
「えっ!私が!」
「そう!もう王宮にまで入り込むようになってしまった。時間はない。私も助けてあげたいが、こんな身体になっちゃったしね。」
コートはユリアの手をさする。
「もうアストロ・ジーラスには白の魔法使いしか太刀打ちできない。この国にいる白の魔法使いはユリアちゃん、貴方だよ!」
「で、でも…私にはまだそんな力は…」
コートは首を横に振る。
「大丈夫!ユリアちゃんはもうしっかりやれるさ。」
コートはしっかりユリアの手を握った。
「アストロ・ジーラスとの戦いの時は近い。怖くてもやらなければならないんだ。いいかい?諦めてはいけないよ?何があっても最後まで諦めてはダメだ。」
ユリアはこんな自分にアストロ・ジーラスに勝ち目があるとは思えなかった。
白の魔法使いになったとは言え、実戦などした事がない。
「いつアストロ・ジーラスが王宮に攻めてくるがわからない。ユリアちゃん、エバンを呼んで来ておくれ。」
ユリアは医務室から出て、執務室にいるエバンに声をかけた。
1人騎士団の宿舎の廊下を歩くユリア。
手を見ると微かに震えていた。
そこにトーマスが通りかかった。
トーマスはいつもと違う様子のユリアに声をかける。
「ユリアさん。」
「……ト、トーマス様。」
ユリアはトーマスの顔を見た瞬間、涙が溢れて来た。
「どうしたんです!ユリアさん!マグゴナル様に何かあったのですか!」
ユリアはトーマスに抱きついた。
「トーマス様…どうしたらいいんですか。私はどうしたら…」
トーマスは泣いているユリアが落ち着くように背中をさすり、しばらく抱きしめていた。




