白い光と黒い霧
コートはエバンの前に立ち塞がり、アストロ・ジーラスに向かって赤い火の玉を出した。
虹色の魔法使いであるコートは、攻撃魔法や回復魔法を使いこなす。
コートの魔法使いは現役の王宮魔法使いであった頃からその威力に定評があった。
コートの火の玉を全身浴びたアストロ・ジーラスは、一瞬にしてその火を消し去る。
「ふん!こんなもので私を倒せると思うのか。」
「いや、思ってないよ。」
コートは鼻で笑う。
そして、魔法の杖を振りかざした。
杖の先には真っ白な石がはめ込んであり、そこから白い光が祭壇全体に広がる。
「な、なんだ!これは!」
アストロ・ジーラスが後ずさる。
「あんたには白の魔法が効くからね。さぁ!お遊びは終わりだ!とっとと水晶に封印されてしまいな!」
コートは光りを思い切り振りかざすと、アストロ・ジーラスの身体から湯気が立ち始めた。
「うっ、なんだ!この力は…」
アストロ・ジーラスはその白い光に対抗する様に身体に黒い力を溜め込んでいた。
そして、その白い光と同じくらいの大きさの黒い霧を発した。
白い光と黒い霧は、空中でぶつかり合う。
次第にコートの身体からも湯気が出始めた。
「やるね…。」
コートはありったけの力を振り絞り白い光りを放つ。
アストロ・ジーラスもまたありったけの力を振り絞り黒い霧を出した。
その瞬間、空中でぶつかり合っていた白い光と黒い霧が爆発する。
エバンは爆発で見えなくなった2人を必死に探す。
辺りに立ち込めていた煙は次第に消えていく。
そして、床に倒れているコートを見つけた。
「マグゴナル様!」
エバンはコートに走り寄ると身体を起こして話しかける。
「マグゴナル様!マグゴナル様!」
すると、コートが少し動いた。
「エ…バン…。アストロ…は…アストロはどう…なった…。」
エバンがアストロのいた方向を見ると、そこには真っ黒に焦げたアストロ・ジーラスが膝をついていた。
「まだ生きております。」
コートは舌打ちをして目を閉じる。
「ダメ…だったか…。一旦…退散だ。」
「分かりました。」
エバンは懐から水晶を出した。
そして、それを握りしめるとエバンとコートの周りに不思議な魔法陣が出来る。
「逃げるのか…。まだ終わっていないのではないのか?」
アストロ・ジーラスが手に黒い霧を作る。
その黒い霧をコートとエバンに向けて投げつけたと同時に2人は消えていた。
「クソ!…逃したか!……」
アストロが祭壇の周りを見ると、集まった信者達が倒れていた。
その者たちは皆はコートの発した白い光にやられ、ほとんどの者は消えてなくなっていた。
「やられたな…見てろ。次はもう容赦しない。」
胸に手を当てヨロヨロと祭壇から降りる。
「しかし、やられたな。少し休息が必要だ。」
アストロ・ジーラスは身体中に出来た傷を確かめるように、手を当てた。




