作戦開始
その日は、真っ暗な夜であった。
エバンは小さな鷹を道案内に山奥の洞窟を歩いている。
その後ろを赤いマントを深く被った小柄な人間が歩いていく。
洞窟の中に入ると、そこには黒い鷹の紋章が。
その前に待っていた腰の曲がった男が、紋章に触れると紋章は消え入り口に変わる。
「どうぞ、お入りください。」
エバンと赤いマントを被った小柄な人間は中に入る。
「待っていましたよ。」
セレニウムがエバンに近づいて来た。
「貴方には我が妃を取られましたからね。元通りに返してもらうだけです。エバン総長殿はそちらで待機して、不審者が来たら追い払いなさい。」
エバンは黙って頷いた。
セレニウムは目線を赤いマントを被った小柄な人間に移す。
「ついに来たな。」
セレニウムから黒い霧が漂い、それは大きな鷹の形になった。
そして、セレニウムの口から出た黒い霧と合わさり人の形になる。
セレニウムから出たアストロ・ジーラスは自分の手で赤いマントの人間を洞窟の奥に案内する。
「我が妃よ、こちらへ。」
洞窟の奥は祭壇になっており、いくつもの蝋燭が灯してある。
その真ん中に台があり、その前まで来るとアストロ・ジーラスは祭壇の周りに集まった黒魔術の信者達に大声です話し出した。
「今、ここで無念を晴らす時が来た!」
信者達は大きな歓声を送る。
「我が妃が戻った!黒の鷹の神のお告げを今実行する!」
そう言うとアストロ・ジーラスは後ろを振り返り、赤いマントの人間のマントに手をかけた。
と、その時その赤いマントの人間はひょいと祭壇の生け贄の台に飛び乗り自分でマントを脱いだ。
「お、お前は!」
「久しぶりだね、アストロ・ジーラス!私の顔を覚えてるかい?あんたを追い詰めた魔法使いの顔を!」
赤いマントを被っていたのは、コートだった。
コートはアストロ・ジーラスに言うと懐に隠してあった大きな水晶と魔法の杖を取り出した。
「アストロ・ジーラス!あんたはここで封印してやる!」
すると、コートの身体から虹色のオーラが出る。
そのオーラが出す風に当たった信者達が悲鳴を上げてうずくまる。
「あたしの虹色のオーラが怖いだろう!」
アストロ・ジーラスはとっさに結界を張る。
「ふん!そんな子供騙し効かないよ!」
コートは更に大きなオーラを出してアストロに襲いかかる。
そこへ、エバン総長が入ってきた。
「マグゴナル様!出口は塞ぎました!」
その声を聞いてアストロは物凄い形相でエバンを睨む。
「クソ!お前!私の魔術にやられたのではなかったのか!」
すると、エバンは懐にしまってあった手のひらに乗るくらいの水晶をチラつかせる。
「これは白の魔法使いが力を吹き込んだ水晶だ。お前ごときの魔術にかかる訳がないだろう!何が我が妃だ!私の妻だ!ふざけんな!」
そのエバンの言葉にアストロ・ジーラスから黒いオーラが出た。
「おのれー!許さん!」
エバンは剣に手を置く。
しかし、コートがそれを遮った。
「アストロ・ジーラス!私が相手だよ!」
コートは一瞬でエバンの前に移動した。




