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怪しい目

エバンはセレニウムの執務室にいた。


「セレニウム殿。その後お加減はいかがですか?」


「ええ、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました。」


セレニウムは笑顔で話した。


「されど、今王宮は慌ただしいですな。黒い鷹の問題で騎士団も魔法使いも皆んなバタバタとしております。」


「そうですね。黒い鷹はあの後現れていないのですから、心配は無用かと思います。」


「そうですな。私もこの何日か自宅に帰っておりません。妻に何を言われるか。」


その時、セレニウムの目にぐっと力が入った。


「そう言えば、エバン総長殿の奥方は王女様でしたね。」


「ええ。そうですよ。ガダルーシャに囚われた後、私と結婚しました。」


「ああ、そうでした。王女様はお元気ですか?」


「ええ、元気にしております。あの時、ガダルーシャから救い出して良かった。あのまま汚らしい魔術の生け贄にされず本当に良かったと思います。」


その言葉を聞いてセレニウムはゆっくり振り返る。


「エバン総長殿。黒魔術とはその様に汚らしい物ばかりではありませんよ。神聖な物も沢山あります。」


「なんと!王宮筆頭魔法使いともあろうお方が黒魔術を神聖化なさるとは!」


「いえ、最近色々調べていて分かったのですが例のガダルーシャで行われていた黒魔術は鷹の神を祀る神聖な物でした。それを邪魔したのは過ちだったのではないかも思いましてね。」


セレニウムはニヤリとした。

そして、少しずつエバンに近づき話し出す。


「エバン総長殿は、もっと権力が欲しくはないですか?」


「え?」


「その権力でこの国を乗っ取ることもできるのです。」


「い、いや。それは…ないと言えば嘘になりますな。」


「そうでしょう!ならば、私と一緒にこの国を正しく導いては行きませんか?貴方と私がチカラを合わせれば国王を引き摺り下ろす事も出来る…」


そう言ったセレニウムの目は怪しく光る。

エバンはその目を見つめていた。

更にセレニウムの目が光ると身体から黒い霧が漂って来た。


「お前は、私と共にこの国を乗っ取るのだ。私の言う事を聞けるね?」


セレニウムの声は怪しく低くなる。

エバンはコクンと頷く。


「まずは、お前の妻をアジトに連れて来い。道案内はつけてやる。」


目線の合わない目でエバンは頷くと部屋を出て行った。


セレニウムの身体から出た霧は大きさを増し、一瞬黒い鷹の形になったかと思うとセレニウムの身体ごと消えてしまった。


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