気になる事
ユリアはいつものように騎士団の食事の支度をしている。
トーマスはその傍らで食材を運んだり、薪を運んだり忙しく動いていた。
ユリアはコートが先程話した事を思い出していた。
「王宮にある穢れってどのくらい手強いのかな…」
ユリアはとても不安だった。
コートはまだ誰にも話してはいけないと言っていたので、この不安を誰かに打ち明ける事もできない。
ボーッとしてしまったユリアは、誤ってなべを吹きこぼしてしまった。
「ダメだな…気が散ってる。」
一人前になる為に沢山の経験をしなければ…
今できる事をやるのが私のやるべき事なんだから…
ユリアは深呼吸をした。
まだ言わないという事は、これからきちんと調べるという事なのだろうから…今は騎士団の為にきちんと力を集中しよう…
騎士団の食事をしっかりと力を使いながら何とか作り終えたユリアは、椅子に座りホッとひと息つく。
しかし、考えてはいけないと思ってもコートの言葉が気になって仕方がない。
そんなユリアを見てトーマスが隣に座った。
「ユリアさん、どうしました?何か気になる事でも?」
トーマスは優しい笑顔でユリアを見つめる。
「あ、いえ!なんでもないです!ちょっと疲れたなぁって思ってただけです。」
「そうですよね。毎日あれだけの食事を用意するんですから…しかも白の魔力を込めながら。本当にユリアさんにはご迷惑をおかけしてしまって。」
トーマスはすまなそうに頭を下げる。
「そんなの!お役に立ててるんですから、気にしないでください。私も修行になってますし。ただ…」
「ただ?」
「あ、いえ。…今の私はまだ一人前の白の魔法使いではないし。今の私に出来る事は何かなってちょっと考えたりして。」
「ユリアさん。」
トーマスはユリアに向かい合い、手を握る。
「大丈夫です、僕が側にいます。何があっても必ずユリアさんの事を助けます。僕は魔法使いではありませんが、騎士です。剣が使える僕と魔法が使えるユリアさんが合わされば必ず道はありますよ。」
トーマスはユリアに微笑んだ。
ユリアはその言葉を聞いて、1人ではなくトーマスが居てくれる事を改めて感じる。
「ありがとうございます。」
トーマスはユリアに優しく微笑むと、ユリアをそっと抱きしめた。
ユリアもトーマスの背中にそっと手をまわした。




