100分ライティング:気まぐれラジオ
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『さあ! 始まりました! イズモの『気まぐれラジオ』。本日も耳寄りな情報を、音楽と共に、ここ、バッドランド・イズモ臨時ステーションより、お届けしたいと思いまーす』
『本日のオープニングナンバーは、『Queen』の『It's A Beautiful Day』をお送りしました』
『曲から察した人は古参のリスナーさんですね(笑い)。はい、その通りです』
『本日のバッドランドのプラズマ乱流は、かなり安定しております。絶好の航海日和です』
『宙賊の皆さん、稼ぎ時ですよー。商人さんはちゃんと護衛雇いましょうねー?』
『詳しくは番組の最後にお送りしますので、チャンネルはそのままで、よろしくお願いします!』
『さて! プラズマ乱流が安定するのは久々ですね』
『私がバッドランドに派遣されてから、ええーっと、九百七十八年経ちますが、前回安定したのは、実に十二年前のことです』
『このプラズマ乱流を引き起こしているのは、ジギタリスαというパルサーにオオバコという三重連星が引き寄せられているのが大元なのですが、』
『千年ほど前まで、バッドランド、当時はグリーンヒルズと呼ばれたこの辺りで行われていた種々の戦争で使われた兵器や軍艦の残骸が、このプラズマ乱流の動きを複雑化させています』
『この宙域の鉱山の幾つかは、当時の軍艦の残骸だったりするのですよね』
『今の人達からすると壮大な話に思えるでしょうが、私のような化石じみた人からすると、諸行無常、と言える話です』
『そんな元軍艦な鉱山、ジライヤ35鉱山より、お便りを貰っておりまーす』
『R.N.『ホリラーの孫』さん、お便りありがとうございます!』
『《イズモさん、こんにちは。いつも楽しく聞かせて貰っています》』
『《私の働く鉱山では、極々稀にデータクリスタルが発掘されます》』
『《その中で、先日発掘したデータクリスタルに、予想外なことに、音楽データらしきものがありました》』
『《ですが、破損が酷く、題名と作詞作曲家は分かったものの、肝心の曲が再生出来ませんでした》』
『《同僚達も、私も、上司も、この曲が気になって、仕事に身が入りません》』
『《イズモさん、どうかこの曲を、流してもらえませんか?》』
『……ということです。いやー、データクリスタル自体、貴重なものなのですが、音楽データの入っているものとなると、更に貴重ですね。イズモ臨時ステーションまで送ってくだされば、データを修復出来るのですが……』
『おっと、これは完全に私的な話でしたね(苦笑)。すみません』
『しかし、中々ロマンのある出会い方ですねー。こういう、思いもよらない出会いがあるのも、音楽の魅力だと思います』
『さて、リクエスト頂いた曲ですが、『ウェーバー』の『狩人の合唱』とのことです』
『となると、恐らく、『カール・マリア・フォン・ウェーバー』が作曲したオペラ『魔弾の射手』第三幕に流れるコーラス『狩人の合唱』と思われます』
『昔々、人類が母なる星から離れていなかった時代。野生の動物を自らの手で狩猟する楽しみを高らかに歌った曲です』
『今の時代、どころか、私が生まれた約千二百年前でも、野生の動物を狩ることは禁止されていますし、そもそも狩猟が行える程動物の繁殖している星自体希少なので良く分かりませんが、』
『この曲を聞くと、狩猟という行為は、とても楽しいものだった、ということが伺えます』
『そんな、軽快な曲です』
『では、お聞き下さい』
『カール・マリア・フォン・ウェーバー、『魔弾の射手』第三幕より、『狩人の合唱』』
色々余裕があったので、知人にお題を出して貰って100分ライティングを久々にやりました。難しいけれど楽しいですね。
普段書くことの無い人でも、割とお手軽に出来ますし。
あなたも、書いてみませんか?