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そこな令嬢、ご満悦!  作者: シラスイ
8/55

8 帰りの馬車で/ある伯爵令嬢





「ルミリエ、今日は楽しかったかい?」


 パーティーが終わった。


 お兄様から魔王の話を聞いた後、ダンスタイムがあった。他の子達は、今日友達になった子同士で踊っていたけれど、私はお兄様と踊った。だって、他に「Shall we dance?」と誘ってくれる知り合いもいないし……。決して、他の子のお姉様方が、お兄様と踊りたそうな視線を送っていたから奪い取ったわけではない。


 端っこで楽しく踊っていたのに、お父様が来て「もっと真ん中で踊ればいいじゃないか」と強引に寄せられ、結局注目を集めてしまった。胃が物理でも精神でも重い……


「どちらかと言うと楽しかったです。ただ、お友達が出来なかったのですけれど……」


 ダンスタイムが終わった後、ちらちら見てくる子が何人もいたけれど、こちらから行くとやっぱり逃げてしまった。何故なんだ……仲良くしたいだけなのに……


「まあ、学院に行けばすぐに仲いい子が出来るさ。」

「そうですかね………」


 馬車に揺られながら、夜景を見る。



 初めて見た異世界の風景。このジエム王国は階級によって区画が分かれている。


 貧民街の、チェーク区。


 農業が盛んな、エデラー区。


 下町感溢れる、イドルナクス区


 冒険者集まるフェーグン区。


 そして、高貴な者が住まうセルグランス区。



……そう、実は多くの貴族が住んでいるここ、私達セルグランス家、ダイヤモンド公爵領なのだ。とはいえ広いので、中に他の家の領地も入っているけれど………例えば、そういった方々が市長や区長なら、お父様は県長と言ったところ。他の区も、同じように公爵家をトップとして成り立っている。

 ちなみに王は、どこの区にも属さない王城に住んでいるらしい。



 本で読む限り、この世界の文明は中世くらいかな?と思っていたけれど、実際見たら近世くらいはありそう。下手したら近代。電気けっこう普及してるし。雰囲気は西洋だ。

 夜景も、思ったより明るくて綺麗。ここらは豪華な建物が多いこともあって、中々のムーディ。


「ルミィ、学院で何かあったら、すぐ僕が行くからね。だから、何か起きたら僕や父様母様に伝えるんだよ。」

「大丈夫ですって、お兄様。………でも、もしもの時は頼りにしていますわ。」

「ルミィ………家では気楽にしていいからね。」

 

 お兄様は心配症だ。


 正直、私にはトリスタンがあるし、精神年齢も上。同年代に負けるわけないと思う。

 トリスタンは今まで六年間、一度も飲んだことない。パーティーにも持ってきたけれど、結局使わなかったし………これ、消費期限とかあるのかな。気になる。



「二人とも、着いたよ。今日はもう遅いから、お風呂に入ってすぐに寝なさい。」

「はい父様。」

「分かりましたわ!」


 馬車から降りて、お屋敷の門をくぐる。


 入学式は一週間後。緊張するやら楽しみやら………とにかく今日は、お風呂に入ってさっさと寝ますか。






   ・・・・・・・・






 私のうまれは、伯爵家の次女。

 

 この国で五天貴族と呼ばれる五つの公爵家には及ばなくても、シンゼ家はそれに次いで大きなお家らしい。



 そんな私、ロローナ·シンゼ=ブルベリルは、ことしで6歳。学院へはいる年となる。伯爵家のご令嬢は立場がたかいから、あにうえ方も「ロローナは注目の星だよ。すぐ学院で有名になるよ。」といってくれた。……でも、私はそう思わない。だって、同じく今年入学してくる子の中には、私よりすごい人たちがいるから。

 このまえのパーティーでも、いちばんにその人たちを探してみた。


 まず見つけたのは、この国の王様のご子息の、第二王子ジル·ヴァイス=ジュエラリー様。何でもジル様は、この年にして剣の腕も魔術の腕も、すでに達人クラスなんだって。本来、魔術は学院で初めてまなび、つかうもの。でもジル様は、じぶんで魔術をまなび、中級の魔法陣まで描けるようになった、と。

 ふつうの人が初級から中級、王国魔術師が中級から上級をつかうとのことなので、ジル様はすごい。

 剣の腕も師範代といい勝負らしい。

 そのことあってか、天才王子の知名度は高い。イケメンみたいだし、学院へ入学したら大人気になりそう。

 じっさい、私は遠目で見ただけだけれど、確かに整ったお顔の王子。冷めた目をしていて氷のようにクールなお人だった。周りにたくさん人集りができていたけれど、それもずっと無視していた。



 そしてパーティーがはじまる直前きたのが、ルミリエ·セルグランス=ダイヤモンド様。


 五天貴族のダイヤモンド公、セルグランス家。そのご令嬢で、すがたを見たひとは家の者以外だれもいないんだとか。今も、本当は娘などいないのでは、と疑われていたけど、本人がちゃんときていた。今年入学してくるらしい。



 そして、空気がかわった。



 彼女は髪が白かった。白い髪は魔王の象徴、不幸の証。

 それでも、そんなことを忘れるほど彼女は凛としていて、優雅だった。王様に言われても、一言も話さなかった王子が初めて口を開いた。

 立場も理解出来ていないような女子達が、ちょっかいをかけていたけど気にも留めず堂々とするそのお姿。ルミリエ様のお兄様と踊るお姿も優雅でした。

 


 ただ、お声をかけて貰えたのに、気が引けて、結局話せなかったな……


 よし、学院に行ったら、まずはご挨拶でもしなくちゃ。



………そういえば、もう一人すごい人がいるらしい。見かけなかったけれど…いたのかな?





多分、更新速度遅くなります

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