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そこな令嬢、ご満悦!  作者: シラスイ
49/55

49 境界交信-3/殺人依頼




『やあ。』


 やあ。神(笑)さんお久しぶり。

 前会ったのって、二ヶ月前ですよね?若干早くないですか?



『うん。今回からちょっと君にも動いて欲しくてね。』



 君()()



『そう。以前、この場には時が流れてないって話はしたよね?』



 あー…、そんなこと言ってましたね。



『うろ覚えなんだ……簡単に言うと、どの時間軸とも繋がってると考えてね。もっとも、自由に干渉できるってわけでもないけど。』



 はい。



『だから、今回は他の転生者…君の時代よりも六十年前の時代に転生した、霧島海翔(きりしま かいと)と協力して欲しい。』



 えっ、協力…って、どういうことですか…?



『彼には、賢廻暦259年の春、ジエム王国のセルグランス領領主邸、その南二階の右から三番目の部屋に、夜忍び込むよう伝えてある。』



 お、おう…完全に私の部屋ですねそこ…。



『多分今日の夜には、君の部屋に見知らぬおじいちゃんが忍び込んでくるだろうけど、不審者じゃないから安心してね。』



 おじいちゃん…その、霧島さんと直接会って、行動するんですか?



『そうだよ。ただ、彼は何というか…ロリコンだから、一応気をつけてね。』



 ロリコン。あ、今私十歳だ。ジャストの年齢じゃないですか!

 え~、他の人じゃダメですか?



『この時間軸では、君と彼だけなんだ。まだ、新しくこの世界に送るだけのエネルギーも溜まってないからね。』



 そうですか…。


 それで?私はその霧島さんと何をすればいいんでしょうか?



『今回の頼みは、今までと打って変わって、君を辛い気持ちにさせてしまうだろう。そうだと分かっていながら、こんな頼みをしてしまう事をまず謝りたい。』



 う、うん。珍しく真面目な雰囲気ですね。

 いいですよ。一応、死ぬだけだった私に新たな人生をくれた恩人もとい恩神(笑)ですし。



『その(笑)は取れないんだね…。でも、ありがとう。

 今回の依頼は……』




 そして少し溜めてから神は、『人を、殺す依頼だよ』と、静かに告げた。







   ・・・・・・・・







 人を、殺す依頼。


 殺人は、重犯罪である。それは、この国でも同じだ。


 学院の中でも、今日言われたことをずっと考えていた。授業も、殆ど頭に入ってこなかった。



「大丈夫かい?今日はやけに暗い顔だったけれど…」

「おねえちゃん、だいじょうぶ?」


「平気よ、タール。ちょっと体調が優れないだけだから。お父様もありがとう。」

「それは平気とは言えないけどね…最近は色々あったし、疲れたのだろう。今日はゆっくりと寝なさい。」

「わかりました。では、おやすみなさい。」

「おやすみ、おねえちゃん!」


 ガチャ、と部屋の扉を閉める。



「……」


「まあ、そりゃ心配されるじゃろ。そんな顔色してたら。」

「っ!」


 窓縁に座る、一人の影。


 窓を開ける音もしなかった。というか、目には見えるのに気配が全くしない。不思議な感覚。



「ホヒッ…にしても、こんな若い子と共闘とは…神の奴、先に言っとくれたら良かったのにの…。」


 パチ、と明かりが付き、その男の姿がはっきりと、そして同時に気配も顕になった。


「霧島さん…ですか?」

「ヒホッ、そうじゃ。儂が、霧島海翔──この世界では、ヘーズと呼ばれておる。その名を知っているとは、お主で正解のようじゃな。」



 この人が、六番目の転生者。



 そして……"雨の賢者"その人か。



「はじめまして、お嬢さん。確か、星条龍美…いや、ルミリエと言ったかの?さあ、二人きりの作戦会議を始めようぞ…!」



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