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そこな令嬢、ご満悦!  作者: シラスイ
44/55

44 遠足へゴー!




「ルミリエ様ルミリエ様!見てくださいこれ!」

「すごいですね。区によって、ここまで景色が変わるなんて、驚きです。」


 私たちは現在、学院の遠足でエデラー区のライルット草原…つまり、こないだ黒スライムと戦ったあの地に向かっている。


 遠足は、早朝に学年皆で出発し、馬車で移動からの草原でマターリする予定らしい。帰りは夕方頃。日帰りである。



「ジル様も、少しは景色を見てみては?」

「ああ…。」


 馬車は一台に一班の六人ずつ、御者や護衛をあわせて十人くらいが乗っている。


 そして班決めは、それぞれ好きな子同士で六人ずつ組めることになったのですが……まあ、当然というかなんというか、王子がウルトラスーパー大人気でして…。


 王子争奪戦がクラスで行われ、収拾がつかなくなった結果…先生によって仲良し五人で固まっていた私たちの班に、王子がねじ込まれました。正直言って爆弾です。イラシャちゃんにめっちゃ睨まれました。


 まあ、それは仕方ないのでいいとして…。


「ジル様、酔ってます?」

「酔ってない……俺は酔ってなどいないぞ…」


 王子が馬車酔いしている。揺れが苦手なようで、大きく馬車が揺れると、毎度ビクッと反応していて、ちょっと面白い。



「…酔い止め、いりますか?」

「いr……酔ってないから、大丈夫だ。」

「痩せ我慢は良くないですよ。ほら。」

「…分かった。」


 念の為、私が持ってきた酔い止め薬を渋々受け取る王子。


 あれ、酔い止めって酔ってる時飲むんだっけ?酔う前に飲むんだっけ?…ま、いっか。


「それにしても、いい景色ですね~。こんなところに来るのは初めてです。」

「そうだね~」

「ですね~」


 サリエちゃんとリラちゃん、ロローナちゃん三人は、初めて見る田舎の風景に魅入っている。


 私も、この前は夜中だったから真っ暗で景色なんか見えなかったし、実質ここには初めて来たようなものだ。馬車から外の景色を覗くだけで楽しい。


 あ~、空気がおいしい~!変わりは無いだろうけどおいしい~!



「あれは…!」

「遠視で見てみろ。…スライムだ。」


「えっ!?」


 御者の人と、護衛騎士の会話だったものの、私は聞き逃さなかった。


 あわてて外を見てみる。


「どうしました?」

「あ、ああ、大丈夫ですよお嬢さん。小さいスライムが通る道に出ただけですので。魔物はいないという話でしたがね…。」

「僕たちが駆除してくるから、安心してね。」


 馬車を止め、護衛の人らが前に出る。



「"ロックスマッシュ"!!」


 騎士たちが剣を抜いた瞬間、突然スライムの上から岩石が落ちてきた。魔術だ。


 あれ、騎士たちが魔術使った素振りは見えなかったけれど…。



「お前ら、大丈夫かー?」

「あ、先生!」


 スタッ、と上空から私たちの目の前に着地した先生。


「ストラグさん!お疲れです!」


 護衛騎士たちが一斉に、先生に向かって敬礼をした。


「なに、ちょうど俺が見つけただけだしな。全く、念の為見回りしといてよかったぜ。」


 見回り?馬車は移動してるのに?…でも、今の身体能力見ればありえなくないかも…。


「ああ、うちの五班か。偶然だな。ちょいと邪魔するぞ。」

「えっ、乗るんですか?」

「ちょっと休憩をな。なに、すぐ降りるからよ、そしたらジルと好きなだけ話してろ。」

「いや、この人酔ってるんですよ。」


 そんなこんなで、先生も乗せて馬車は再出発した。


 先生の言っていた『見回り』は、この間この地区に、あの黒スライムが現れたことから、一応通り道の安全確保…という名の暇潰しをしていたようで、ミニ黒スライムと遭遇したのは偶然。結局、目的地に着くまでうちの馬車に乗っていた。この人も大概、よく分からない人ですよほんと。


 あ、あと、王子と先生が思ったより仲良しで、先生という立場というよりかは、叔父さんみたいな接し方だった。馬車酔いしてたけど。



 そして、目的地のライルット草原に着いた私たちは、先生方の目につく範囲なら自由行動。ランチ食べても鬼ごっこしても良い。


 しかし何より、着いて一番驚いたのは…。



「…庶民院と合同なんですね。」


 少し離れた場所に、子どもたちがたくさん。


 どうやら今回のイベントは、貴族と庶民の交流目的らしいです。…白髪の私、死にました。



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