33 親バレ不回避案件
「ど、どどどうしましょうマリー……おと、お父様方が…」
「ああ、本当ですね。どうしましょう、お嬢様。」
「それを聞いているんですよぉ……何か見つからずに戻る打開策とか、ある?」
王子と戦った疲れを癒すため、マリーとお風呂に入ってた間にこんなことになってるだなんて……。
なにか、どこか出れる場所……そうだ窓!脱出といえば、やっぱ窓からでしょ!
「やったわマリー!ここからなら……」
んー、大体高さは一メートル、周囲に人の気配無し!ここなら、飛び降りても全然平気そう。
「お嬢様、そちらからでは馬車に辿りつけません。そもそも、馬車は既に使えないかと。」
あ、そっか。うちの馬車って、家紋というか、紋章が刻まれてるから、お父様たちにはバレちゃってるのか。
てか、なんでここ来たんだろう?激務で追われてるはずなのに。
「お嬢様、どういたしますか?こちらへいらっしゃるようですが。」
「えっ」
どうしよ、どうしよどうしよ!バレたらお菓s……神(笑)からの課題がクリア出来なくなる!いや、頑張ればできるけど、王子がチクッたりしたら一巻の終わりだ。あ、王子気絶中か。
そう、私が焦ってテンパっていると、あっという間にタイムリミットが来てしまった。
「……ルミリエ。」
「お、お父様……。」
案外来るのが早かった。扉は全開になって、後ろにはお母様、そして執事数人と学院長らがくっついている。
……どうやって言い訳しよう。
・・・・・・・・
「──つまり、ジル殿下が勝負を持ちかけてきたと。」
コト、とティーカップを置いたお父様の言葉に、こくこくと頷き肯定する。
だって、あながち間違ってないし……というか合ってるし。立ちはだかってきたのはあっちだし。
「殿下のため、魔法陣を描いていることも知らなかった。道理で最近、いつにも増して魔法紙を使っていたんだね。」
「はい…。」
気づいてたんだ。確かに、自分用だけじゃなくなったから1.2倍は使ってた。でも王子に回すのは落書きとかゴミばっかだから、すごい差って訳でもないと思う。
……そういや、王子の魔術の威力がなんか弱いなーって思ってたけど、あれ本気で描いたわけじゃないの回してたからかな。王子ならもっと強く撃てるはずだもんね。
「マリーさんは、なぜ教えてくれなかったんだい?」
「お教え致しますと、旦那様方がお止めに入るだろうと予測したまでです。特に、お嬢様は戦闘経験など皆無。怪我をなさる可能性は大きく、反対に殿下を傷つけてしまう可能性もございますから。」
……ごめんなさい、殿下傷つけました。主に名誉的に。物理でも相当。
「ルミリエを止めなかった理由は?」
「それは……」
あ、その理由ってかなり変態的だった気が……マリーも口をつぐんでる。
「お父様、マリーは何も悪くありません。色々と手伝っていただきましたし、それにマリーも、危ないと私に言っていました。それを聞かなかったのは私ですから……。」
「そういう訳にもいかないよ、ルミリエ。監督責任がマリーさんにはあったんだ。実際、今回は訓練場がめちゃくちゃになってしまったし、殿下もお怪我をなさったそうじゃないか。」
いやいや怪我はそうですけど、ここ破壊したのドラゴンですよ?私達は壊してません……と言おうと思ったけれど、お父様の圧が思ったより重く、言えなかった。
「いいかいルミリエ。今回のことは、君が思っている以上に大事だ。爆発によって飛散した瓦礫が、街の建物に落ちたり、人的被害も出ている。特に、殿下を負傷させたのはまずい。あちらから勝負を仕掛けてきたからといっても、悪いのはこちらになるんだ。」
「そういうものでしょうか……」
「そういうものなんだよ。」
理不尽な世の中だなぁ。王族なら何でも許されそうな勢いだ。
というか、あの王子と王がこんなことで怒るとは思わないけれど………。
そこで、何故か脳裏にイラシャちゃんの姿が浮かんだ。
…なんとなくわかったわ、うん。貴族だもんね、仕方ないね……。
「とにかく、マリーさんの処遇はこちらで決めておくよ。最も、重い罰とかは与えないよ。色々世話になっているからね。ルミリエも、今からでも殿下に謝罪に行かないと。」
「承知致しました。」
「…わかりました。その、マリー……ごめんなさい。私のせいで。」
お父様も、渋々という感じだし、本当は別に何もしない気だったのだろう。でも、他の人から見ればマリーは『白髪の令嬢に、殿下を傷つけるよう仄めかした者』って認識になる可能性も無きにしも非ずで……。
あー、もうよくわかんない!特権階級てほんとめんどくさい!
「お嬢様も悪くありませんよ。真に非があるのは殿下ですし。」
「…ですよね。」
結局、悪いのは大体王子だ。いつも魔法陣描いてあげてるし、しかも最初に何かやるって言ったの王子なのに、簡単に短剣くれないし。
「旦那様……」
「……なるほど、あそこか。分かった、情報収集ご苦労。…どうやら、殿下は一度王城へお戻りになられたそうだよ。ルミリエ、行こうか。」
可愛いバッジをつけた執事が、お父様に伝えたみたい。
……そういや、お屋敷で務めてる執事っぽい人達の中で、たまにこんな感じのお花バッジつけてる人見かけるけど、何なんだろう?
まあいいや。どっと疲れたし、早く王子に謝って、それで、早く帰って……あれ……
「どうしたの、ルミリエ?」
「おか、あ様……立ちくらみが………」
あ、これ、やばい……。
また、倒れ………




