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そこな令嬢、ご満悦!  作者: シラスイ
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3 転生から一年





 私がこの世界に転生してから一年が過ぎた。



 早くも一年。されども一年。まだまだ私はベイビーなので、喋ろうとしても上手く喋れない。


 ただ、必死こいて言葉を理解しようと努力をした結果、なんとか聞き取りはできるようになった。努力の成果だ。



「ほらルミリエ~、たかいたかーい」


 この、デレデレな顔で高い高いをしてくるぽっちゃりは、父であるグロウル·セルグランス=ダイヤモンド。優しめの顔立ちながら、どこかカッコいいお父様だ。ぽっちゃり体型なのが玉に瑕。



 そして、隣でその光景を見守っているのが、母であるスエラ·セルグランス=ダイヤモンド。使用人に厳しいことを言う時もあるけど、私達の前ではおっとりしていて優しいお母様。すっごい美人。


 セルグランス家は、王国の公爵家であり、相当な権力を持つ大貴族。私はその長女で、他にも兄が一人いる。


 住んでいるお屋敷もまさに豪邸。最近ハイハイが出来るようになったお陰で行動範囲が格段に広がったのだけど、それでも全域回ることは出来なかった。広すぎる。

 それでもちょくちょく探検はしていたけれども、途中でお母様に見つかったから断念。

 今では毎日、ベビーベッドで寝て飲んで、部屋の中でハイハイをして寝る。そんな生活だ。


 正直とてつもなく暇。ああ、アニメ見ながらゲームしたい………



「そうだスエラ、明日は大事なパーティーがあって、帰りが遅くなるんだけど……大丈夫かな?」

「平気ですわあなた。私は子供たちと待っています。ルミィも平気よね?」



 おっとお母様、お父様から私を奪いとったな。

 ちょっとお父様が不機嫌に。仕方ない。手をのばしてやるか。


「おおっ、ルミリエどうしたんだ?そんなにお父様と離れるのが寂しいのかい。」



 ん、今度はお母様が不満気だ。

 亀が甲羅へ隠れるように、お母様の胸に顔を埋める。


「あらあら……ルミィはやっぱり私のほうが良いみたいですよ?」

「そんなこともないだろう。」


 お母様とお父様は、私を巡ってたびたび対立する。主に『どちらの方がルミリエに懐かれているか』だけど。

 しかーし!確かにお母様もお父様も好きだけど!私が一番好きなのは………



「母様、父様。ただいま戻りました。」


 来たぁー!お兄様ぁ!


 一生懸命手を伸ばす。


「エレイ、おかえりなさい。」

「おかえりなさい、エレイ。」

「ただいま。ルミィもただいま。」


 退屈な生活の中で、数少ない至福の時間。それは、お兄様に頭を撫でてもらう時。


 エレイ·セルグランス=ダイヤモンド。セルグランス家の世継ぎで、今年で6歳の美少年。幼いながらも、お父様とお母様にも引けをとらないくらい気品がある。話を聞くと、つい最近学校らしき教育機関に通い始めたようで、会える時間が少ない。ああ、妹は兄に会えなくて寂しいです……



「エレイ、今日はどうだったかい?」

「はい父様。お友達も出来たし、授業も毎日楽しいです。今日は、剣の授業もありました。」

「剣か。本物を使うのかな?」

「いえ、木で出来た剣を素振りしました。お陰で肩が少し痛いです。」


 木刀って案外重いものね。分かるわぁ………


 私も前世、剣道部の友達に木刀を触らせて貰ったことがあるけど、想像以上にずっしりしていた。それを6歳児に持たせるのは、結構きついと思う。


「大丈夫?一応、肩にヒールをかけておきましょうか。」

「お願いします、母様。」


 おおっ!これも、私の『至福の時間』シリーズの一つ!


 神(笑)が言っていた通り、この世界には魔法がある。どうやら、魔法というより魔術と呼んでいるみたいだけど。


 そして稀に、お母様は回復魔術のヒールを使う時があるのだ。



「遍く光の精霊よ、どうか天の安らぎを…〈ヒール〉」


 お母様がぶつぶつと詠唱をし終えると、エレイお兄様の肩がポウっと光った。これは人体発光ではなく、魔術が効いたしるしだ。



「ありがとうございます、母様。お陰で肩が軽くなりました。」

「どういたしまして。あまり無理はしないことよ?」



 いいなあ、魔術。他にもたくさん種類があるらしいし………いつか私も使ってみたい。


 あ、トリスタン使えば、もしかしたら使えるようになるかも………?

 でも怖いなあ……副作用が無いわけじゃないみたいだし。うん、飲むのはまだ先にしておこう。そもそも、この手ではまだフタが開けられない。

 ちなみにあのチート薬、今はボタンを押して誰にも気づかれないように隠している。

 


……そういえばこの前、お父様が書斎があるやら言ってたなー。歩けるようになったら行ってみよう。


 異世界知識を蓄えるために!




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